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領地インフラ
しおりを挟む「私は、再婚なんてするつもりは無い。
そのまま断ってくれ」
「この国の伯爵令嬢ですからねぇ。
外交問題になりませんか?」
「その前に私は王族だぞ。
こちらが断るのに、支障はないだろう」
ギルマスとモンブラン公爵とのやり取りを聞く必要もないと、その場を離れようとしたのになぜか公爵に腕を掴まれて、振りほどこうにもびくともしなかった。
あの軟弱な人がこんな短い期間で変わるものだろうか。
そんな事より、この茶番に付き合う意味が無い。
「御尤もです。
では、お断りの手紙を出させて頂きます」
なんだか引っかかるものがあるのは気のせいだろうか?
「公爵様、もう一度よく考えてみてください。
この国の伯爵令嬢との婚姻でなにか享受出来る事があるのではないですか?」
もうこの人の妻でも無いのに、公爵家の事を気にする必要なんてないじゃないか。
「ルイ、いや、ローレンツォと呼ばせてくれ。
伯爵令嬢が魔石鉱山を所有している家門なのであれば、交易の為だと思う。
だが、自分勝手ではあるが、二度とローレンツォを失いたくないんだ。
こうやって話して、いつか笑顔を見られればそれでいい。
その時に私の側には誰一人として立っていて欲しくはないのだ」
諦めないって、本気だったのか。
「あー、こちらが元奥様でしたか。
公爵家の収益が目まぐるしく伸びた一年でしたから、有名でしたよ」
うーん?
領地経営は公爵にお任せしてたと思うんだけどなぁ。
「配水の整備で伝染病が無くなって、その設備を他の領地や国が購入してましたよね」
あ、土工のスキルでやったあれだ。
契約で制限が掛かってたのは『真実の目』だけだったから配管を使って排水設備を作ったんだ。
それも全て、あの屋敷での生活苦から考えた事だった。
「排水出来ないと、衛生的に困ったから」
「スラム街を一番に整備したと聞いてびっくりしましたよ」
「僕が手を付けられるのはそこしかなかったし、生活の殆どをそこで賄っていたから」
屋敷の食事が残り物から残飯になり、生ごみになっていくと、スラム街の方がまだマシなものを口にする事が出来たから、少しでも衛生的にしたくて思いついたことだった。
領地の繁華街は石畳で整備されているから、配管を通すには面倒だったし、スラム街はぬかるんだ土の道ばかりだったから、土工のスキルを使えば簡単に作ることが出来たから。
「生きて行くためには、やれることをやっただけです」
あの頃の辛くて惨めな気持ちを思い出して、俯いてしまった。
無人島生活にも大分慣れて来たわ。
魔獣関係さえ片付けば、食料も豊富で緑豊かなリゾート地みたいな島だった。
「さて、ポチ、私を置いて行った連中を探せるかしら?」
さすが、ワンちゃん。
しかも魔獣だから匂いとかそういうので追うのも半端ないみたい。
「うおん、わんわん、わっふ」
モフモフっていいわよねぇ。
あら、ついて来いって感じかしら? 先を走っては振り返る仕草が可愛くて、ポチ~って呼んでみる。
嬉しそうにそれぞれの頭を振って、早くって促されてるみたいだわ。
「よーしよし! 良い子ね!
頭が三つもあれば、それこそ、三倍に頭もいいわよねぇ」
頭は三つ、体は一つ! なんかのアニメの、なんだっけ? 頭は大人体は子供だっけ?
そんな感じだわ。
そして連れて来られた所は、島の反対側の入り江っぽくなってる辺りにある洞窟だった。
「あら、こんなところに、座礁したのかしら?
船があるじゃない」
修理が必要そうなのが見て取れた。
「わふん!」
奥の方へポチが鳴くと、膝くらいの身長の小人さん達が現れて、修理を始めてくれたわ。
どう言った関係なのか分からないけど、私の母性が目覚め騒だった。
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J.GARDEN
2023/4/2 参加します。
金色シリーズの番外編を加筆して出します。
良ければ、手に取って下さい。
な15a beaverfamily
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