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調教の成果

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「なんと破廉恥な!」

「やだ、破廉恥って実際に言葉に出す人初めてだわ」
 
 顔を真っ赤にして怒る公爵をミルフィーユは適当にあしらって、ギモーブを尋問するヌガーに協力をしていた。

「さぁ、ムギチョコちゃん、答えてちょうだい」

「あぁ、私の女王様、なんなりと聞いてください」

 これが調教なのか。
 ムギチョコちゃんて、なんだよ。
 アソコをぎゅってされた形? いやいや、感化されすぎ。

「ふふ、ギモーブは隠れマゾって設定だったの。
 ヒロインから平手打ちを喰らって、その衝撃が忘れられなくなるってストーリーでね」

 お、おお、それを実践できるミルフィーユさん、凄いです。

「やってみたかったのよ~、女王様」

「調教するとかそういうのもあったの?」

「ないわよ、だから実践したかったんじゃない!
 こんな風に気位が高そうな男を組み敷くっていいじゃない、そそるわぁ」

 本職の人では無いだろうか。

「そう、なんだ。 
 は、はは、は」

 ミルフィーユを女王様と呼び、恍惚とした表情で聞かれた事を全て答え始めた。

「じゃぁ、フィナンシェって奴はローレンツォを殺して、陛下を玉座から引きずり降ろそうとしてるって事で良いのね?」

「はい、その通りでございます」

「それでお前は私に黙ってそれに加担したと」

「まだ女王様を知る前でございます!」

 ピシッ!

「あっん」

 パシッ!

「ん、」

 ミルフィーユは手慣れた感じで、ギモーブの頬を往復ビンタした。
 黒い皮のピッタリした女王様の衣装が見えるようだった。

「お前、誰に向かって口を開いたの?
 謝罪しなさい」

「はい! 大変申し訳ありませんでした!」

 既にぎっちぎちに縛られているのに、まだ体を折って土下座というか芋虫の様に謝罪した。

「ん、それ以上は醜いから良いわ」

「はい、女王様」

 嬉しそうにミルフィーユの足にすりついていた。

「あ、まぁ、ねぇちゃん、そいつはもうこっちの味方って考えて良いのか?」

 ヌガーが顔を引きつらせながら、こんな趣味はもちたくないと呟いた。

「ムギチョコちゃん、どうなのかしら?」

「私は女王様の為に生きております!」 

「そう、なら私のムギチョコちゃんを取られたくないわ。
 フィナンシェって奴、ここに呼び出せるかしら」

「もちろんでございます。
 あんな偽物の主人は罰を受けるべきでございます」

 なんか、あの名前を言えないあの人ってのが出てくる話の妖精みたいだった。






 やはり、あの女はおかしい。
 その点、ローレンツォは控えめで気配りをしながら相手を思いやるあの眼差し!

 ああ、その瞳が私だけを映せばいいのに。
 君が流した涙の分だけ、君を愛すよ。
 私の愛で、全てを包み込んであげたい。

「公爵様、いま、気持ち悪い詩が聞こえたきがするのですが、まさかですよね?」

「ピンク頭のように、人を叩いたり縛ったり、その、陵辱したりなどするものか!」

「あら、コレは愛情よ?
 愛がなきゃただの暴力ですもの。
 アナタみたいに、愛もなく、自分の都合だけで生きてきた人には分からないでしょうね」

 高らかに笑うミルフィーユが、本物のSM女王に見えた。
 
「愛なのよ、愛、お互い尊重した、究極の束縛と快感なのよ、坊や」

 うわー!! 絶対本物! 本職の人だよ!

「あの、ミルフィーユさん、もしや本職の女王様でしたか?」

「あら、私の元の家が古い人情ヤクザってだけよぉ」

 あ、違う意味で本物だった。

 




 
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