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傭兵団カヌレ
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「盗賊団カヌレ副団長!!」
「ばっ!バカ野郎! 声がでけーって!」
だってわざとだもーん。
「無事だったんですね」
一応社交辞令で言ってみた。
「すっげー警戒してんな」
にやにや笑う副団長に、言葉には出さずとも当たり前だろって思った。
「そんなに警戒するなよ。
昨日言った強盗団は嘘だからさ」
「今更、嘘って言われても信じられませんよ!」
つい、言い返してしまった。
「俺たち傭兵団って最初から悪いイメージだから、それを逆手に取ってんのさ。
敵に潜入する時とか便利だからな。
あと、俺の名前はカヌレじゃねー、それは団の名称だからな」
「傭兵が悪いとは思いませんけど、わざわざ強盗団ってする方が面倒じゃないですか?
仮に、嘘でも犯罪者じゃないですか」
やってないって言われたって、自ら強盗団って名乗ってんだからそれなりに強盗やってんじゃね?って普通は思うよ。
「だがな、これも王室の意向でな。
王室が抱える暗部を俺たちが引き受けてる分、なるべく王家から離れた存在でいなければいけない、だから強盗団さ」
それ、僕に言ったらだめでしょ。
「聞かなかった事にします」
街道をせかせかと歩いて、なんとか引き離したいけど、さすがに傭兵だか強盗だかで体力は僕の千倍はありそうだった。
「ふぅ、ふぅ、早く、街に着かなきゃ」
「街で何するんだ?」
「大丈夫です、聞かないでください」
「えー、なんでだよ~」
無視だ無視。
さっきまで米粒だったサイズの人たちが、やっと普通サイズつまり挨拶出来る距離になった。
「あの! こんにちは! 街まではあとどのくらいですか?」
前を行く大きな荷物を荷車で運んでいる夫婦者に声をかけてみた。
「お、あぁ、こんにちは。
街はもうすぐだよ。
だから人が増えて来ただろ? 門番が身分証を確認して通行料を払ったら入れるからその順番待ちだ」
通行料! 考えて無かった。
「ちなみに通行料ってどのくらいですか?」
「身分証によって違うけど、私ら夫婦は移住して商売をするから三割ほど高い。
ただ通過するだけなら、通常の料金で銅貨一枚だよ。
冒険者は確か免除だったはずだけど、君は冒険者ではないだろうから、仕事を探すなら一割ほど高くなるよ」
「あ、冒険者なら免除なんですね、良かった。
手持ちが怪しかったので、ホッとしました」
冒険者、優遇されてるなぁ。
「え!? 君、冒険者なの?
そんな華奢な体で? あ、魔法使いって希少だし、剣士でもなさそうだけど」
「ははは、まだ駆け出しで剣士とかの職ではなく、生産職なんです」
「へぇ、ならお店でもやるのかい?」
さすが商売をしようとしてる夫婦だ。
「まだ、決めてないんですけど、家財道具を作ろうかと思ってます」
相手に警戒させないように、でも、そんなにすごくないって風で。
「家事道具か……、確かに鍋とかいいかもね。
私らは衣料品を扱う店をやる予定なんだ。
良かったら、君、その、すごく汚れてるから、着替えを買いにおいで、安くするから」
この服装で気の毒がられるのには、慣れた。
旅支度の為にロープを買うときに、それよりも服を買えって言われたっけ。
木に登ったりしたせいで、あちこち小さな破れは出来てるし、泥汚れなんかは当たり前についてた。
「今手持ちのをギルドで換金したら、買いに行かせてください」
「うん、待ってるよ。
私の店の名前はクイニーアマンだからね」
うぉ、ここでもスイーツ、って事はこの夫婦も何かしら関係が出て来るって事?
それなら、後ろにいる傭兵団カヌレもそれなのか。
財政とローレンツォ捜索と、やらなければいけないことが山積みの時に、王室、つまり国王からの呼び出しを受けてしまった。
王城に到着して謁見室で待っていると、城の給仕係がお茶とお菓子を運んできた。
「何奴だ? 給仕係はここまで入って来れるはずがない!」
ピンクの髪に目を涙ぐませてこちらを見つめる給仕の女が、いきなり私の手を触って来た。
「無礼者!!!」
「あ、あの! 助けてください!! 私はミルフィーユ、神の加護を持っています」
神の加護だと?
「それはスキル持ちと言う事か」
「はい、『息吹』というスキルで、治癒再生能力です」
「そうか、ならば教会か修道院に行くとよいだろう。
だが、今私への無礼とは別問題だ」
「えぇ、なんで、なんでよ? この魔具、どうなってんのよ?
息吹が使える私は聖女でもおかしくないのに!!」
ピンクの髪の女はあろう事か、聖女とまで言い出した。
「誰か! 衛兵!! この女を捕らえろ!」
謁見室が一瞬で、賊を取り押さえる現場と化した。
「ばっ!バカ野郎! 声がでけーって!」
だってわざとだもーん。
「無事だったんですね」
一応社交辞令で言ってみた。
「すっげー警戒してんな」
にやにや笑う副団長に、言葉には出さずとも当たり前だろって思った。
「そんなに警戒するなよ。
昨日言った強盗団は嘘だからさ」
「今更、嘘って言われても信じられませんよ!」
つい、言い返してしまった。
「俺たち傭兵団って最初から悪いイメージだから、それを逆手に取ってんのさ。
敵に潜入する時とか便利だからな。
あと、俺の名前はカヌレじゃねー、それは団の名称だからな」
「傭兵が悪いとは思いませんけど、わざわざ強盗団ってする方が面倒じゃないですか?
仮に、嘘でも犯罪者じゃないですか」
やってないって言われたって、自ら強盗団って名乗ってんだからそれなりに強盗やってんじゃね?って普通は思うよ。
「だがな、これも王室の意向でな。
王室が抱える暗部を俺たちが引き受けてる分、なるべく王家から離れた存在でいなければいけない、だから強盗団さ」
それ、僕に言ったらだめでしょ。
「聞かなかった事にします」
街道をせかせかと歩いて、なんとか引き離したいけど、さすがに傭兵だか強盗だかで体力は僕の千倍はありそうだった。
「ふぅ、ふぅ、早く、街に着かなきゃ」
「街で何するんだ?」
「大丈夫です、聞かないでください」
「えー、なんでだよ~」
無視だ無視。
さっきまで米粒だったサイズの人たちが、やっと普通サイズつまり挨拶出来る距離になった。
「あの! こんにちは! 街まではあとどのくらいですか?」
前を行く大きな荷物を荷車で運んでいる夫婦者に声をかけてみた。
「お、あぁ、こんにちは。
街はもうすぐだよ。
だから人が増えて来ただろ? 門番が身分証を確認して通行料を払ったら入れるからその順番待ちだ」
通行料! 考えて無かった。
「ちなみに通行料ってどのくらいですか?」
「身分証によって違うけど、私ら夫婦は移住して商売をするから三割ほど高い。
ただ通過するだけなら、通常の料金で銅貨一枚だよ。
冒険者は確か免除だったはずだけど、君は冒険者ではないだろうから、仕事を探すなら一割ほど高くなるよ」
「あ、冒険者なら免除なんですね、良かった。
手持ちが怪しかったので、ホッとしました」
冒険者、優遇されてるなぁ。
「え!? 君、冒険者なの?
そんな華奢な体で? あ、魔法使いって希少だし、剣士でもなさそうだけど」
「ははは、まだ駆け出しで剣士とかの職ではなく、生産職なんです」
「へぇ、ならお店でもやるのかい?」
さすが商売をしようとしてる夫婦だ。
「まだ、決めてないんですけど、家財道具を作ろうかと思ってます」
相手に警戒させないように、でも、そんなにすごくないって風で。
「家事道具か……、確かに鍋とかいいかもね。
私らは衣料品を扱う店をやる予定なんだ。
良かったら、君、その、すごく汚れてるから、着替えを買いにおいで、安くするから」
この服装で気の毒がられるのには、慣れた。
旅支度の為にロープを買うときに、それよりも服を買えって言われたっけ。
木に登ったりしたせいで、あちこち小さな破れは出来てるし、泥汚れなんかは当たり前についてた。
「今手持ちのをギルドで換金したら、買いに行かせてください」
「うん、待ってるよ。
私の店の名前はクイニーアマンだからね」
うぉ、ここでもスイーツ、って事はこの夫婦も何かしら関係が出て来るって事?
それなら、後ろにいる傭兵団カヌレもそれなのか。
財政とローレンツォ捜索と、やらなければいけないことが山積みの時に、王室、つまり国王からの呼び出しを受けてしまった。
王城に到着して謁見室で待っていると、城の給仕係がお茶とお菓子を運んできた。
「何奴だ? 給仕係はここまで入って来れるはずがない!」
ピンクの髪に目を涙ぐませてこちらを見つめる給仕の女が、いきなり私の手を触って来た。
「無礼者!!!」
「あ、あの! 助けてください!! 私はミルフィーユ、神の加護を持っています」
神の加護だと?
「それはスキル持ちと言う事か」
「はい、『息吹』というスキルで、治癒再生能力です」
「そうか、ならば教会か修道院に行くとよいだろう。
だが、今私への無礼とは別問題だ」
「えぇ、なんで、なんでよ? この魔具、どうなってんのよ?
息吹が使える私は聖女でもおかしくないのに!!」
ピンクの髪の女はあろう事か、聖女とまで言い出した。
「誰か! 衛兵!! この女を捕らえろ!」
謁見室が一瞬で、賊を取り押さえる現場と化した。
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