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冒険者ギルド
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街は結構な活気にあふれていた。
ひと際大きな建物がギルドが集まった所だと聞いて、メトロポリタン美術館の様な階段と扉の前で上を見上げていた。
離婚した事で、今まで使えなかったスキルが自由に使えるようになっていた僕は、大きな扉を開けていくつかのギルドが集まってる受付へと足を運んだ。
「冒険者登録でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
受付のお姉さんはニコニコと優しく対応してくれて、冒険者登録でスキルがあるなら追記をする様に言われて、筆記台でゴソゴソとやっていた。
「うーん、鑑定スキルは実家も王室も知ってるし、ギルドでは封印だな
他のスキルだと、錬金か土工だけど……、錬金もこの国ではレアみたいだし、土工かな、やっぱ」
実家で鑑定スキルを使わされていた事で、王室にバレてしまった事を考えると安易にスキルを登録するのはどうかと思った。
だけど、受付のお姉さんの説明を聞くと、スキルが無いと国を跨いでの冒険者にはなれないらしく、何れかのスキルは登録しなくてはならなかった。
国を出なければすぐにでも追手に捕まる事は明白で、公爵家と実家の名ばかりの貴族、どちらが良いかと言われれば、どちらも無理だった。
名ばかりの貴族の実家は、商売で叙爵した新興貴族で一代限りで詐欺まがいの美術品を扱う商人だった。
詐欺まがいだったのを、僕の鑑定で真偽を確かめられたから叙爵出来たんだけど。
鑑定スキル、しかもSクラススキル『真実の目』は国にとって重要らしく、間違いなくこの離婚で問題が大きくなる事は分り切っていた。
「土工ってスキルがあります」
「土工? ですか?」
土工もレアだった?
生産系の土工って、掘って良し固めて良し、開発しても良しな万能スキル、だったな。
「あ、穴掘りが出来るので、罠を作れるんですよ」
嘘じゃない、嘘じゃ。
「罠ですか! それなら魔物をを狩るのにいいですね」
お姉さんは納得してくれて、冒険者登録をしてくれた。
「最初の依頼は、このギルドで受けて下さいね。
今はFランクですが、一つ達成するだけでEランクへ昇格できます。
その後はどこの街でもどこの国でも依頼を受ける事が出来ますから」
世界一簡単なパスポートみたいなもんだな。
「一番近い場所で達成できる依頼は無いですか?」
とにもかくにも、さっさと熟して今日中にこの街を出て、国を出る準備をしたかった。
「でしたら、独居老人のお手伝い、と言うのがあります。
ほんの一時間ほど、老人のお手伝いをすると言うものです。
ただ、結構大変で未だに達成できる人がいないんですよ。
初回は達成できなくてもペナルティはありませんが、二回目からは違約金が発生しますから、どうしますか?」
「その老人のお手伝いに行きます。
一時間で終わるなら、今日中に街を出て次の場所へ行けますから」
「分かりました。
この地図の場所へお願いします」
お姉さんから渡された地図は郊外の一軒家が示されていた。
すぐに動かした衛兵もローレンツォの顔も知らず、似顔絵を作る事から始めなければならなかった。
「絵師のスキルを持つ者がいないのか?」
「この屋敷にスキル持ちはおりません。
それに、誰も奥様の正確なお顔を存じ上げておりません」
関係ないと無視していた結果、悪い方向へとしか向かっていなかった。
「誰でもいい! ローレンツォの顔を描ける者はいないのか!」
ちゃんと書けたら減罰すると言うと、使用人たちが競って描き始めた。
「旦那様、お止めになった方が」
「衛兵が負えないと言うのであれば仕方あるまい」
数十人の使用人がそれぞれ出して来た似顔絵は、もはや人の顔ではない物から性別すら超えていた。
そしてそんな似顔絵を見過ぎて、ローレンツォの顔を思い出す事すら難しくなった。
下手な似顔絵が印象に残り過ぎた結果だった。
ひと際大きな建物がギルドが集まった所だと聞いて、メトロポリタン美術館の様な階段と扉の前で上を見上げていた。
離婚した事で、今まで使えなかったスキルが自由に使えるようになっていた僕は、大きな扉を開けていくつかのギルドが集まってる受付へと足を運んだ。
「冒険者登録でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
受付のお姉さんはニコニコと優しく対応してくれて、冒険者登録でスキルがあるなら追記をする様に言われて、筆記台でゴソゴソとやっていた。
「うーん、鑑定スキルは実家も王室も知ってるし、ギルドでは封印だな
他のスキルだと、錬金か土工だけど……、錬金もこの国ではレアみたいだし、土工かな、やっぱ」
実家で鑑定スキルを使わされていた事で、王室にバレてしまった事を考えると安易にスキルを登録するのはどうかと思った。
だけど、受付のお姉さんの説明を聞くと、スキルが無いと国を跨いでの冒険者にはなれないらしく、何れかのスキルは登録しなくてはならなかった。
国を出なければすぐにでも追手に捕まる事は明白で、公爵家と実家の名ばかりの貴族、どちらが良いかと言われれば、どちらも無理だった。
名ばかりの貴族の実家は、商売で叙爵した新興貴族で一代限りで詐欺まがいの美術品を扱う商人だった。
詐欺まがいだったのを、僕の鑑定で真偽を確かめられたから叙爵出来たんだけど。
鑑定スキル、しかもSクラススキル『真実の目』は国にとって重要らしく、間違いなくこの離婚で問題が大きくなる事は分り切っていた。
「土工ってスキルがあります」
「土工? ですか?」
土工もレアだった?
生産系の土工って、掘って良し固めて良し、開発しても良しな万能スキル、だったな。
「あ、穴掘りが出来るので、罠を作れるんですよ」
嘘じゃない、嘘じゃ。
「罠ですか! それなら魔物をを狩るのにいいですね」
お姉さんは納得してくれて、冒険者登録をしてくれた。
「最初の依頼は、このギルドで受けて下さいね。
今はFランクですが、一つ達成するだけでEランクへ昇格できます。
その後はどこの街でもどこの国でも依頼を受ける事が出来ますから」
世界一簡単なパスポートみたいなもんだな。
「一番近い場所で達成できる依頼は無いですか?」
とにもかくにも、さっさと熟して今日中にこの街を出て、国を出る準備をしたかった。
「でしたら、独居老人のお手伝い、と言うのがあります。
ほんの一時間ほど、老人のお手伝いをすると言うものです。
ただ、結構大変で未だに達成できる人がいないんですよ。
初回は達成できなくてもペナルティはありませんが、二回目からは違約金が発生しますから、どうしますか?」
「その老人のお手伝いに行きます。
一時間で終わるなら、今日中に街を出て次の場所へ行けますから」
「分かりました。
この地図の場所へお願いします」
お姉さんから渡された地図は郊外の一軒家が示されていた。
すぐに動かした衛兵もローレンツォの顔も知らず、似顔絵を作る事から始めなければならなかった。
「絵師のスキルを持つ者がいないのか?」
「この屋敷にスキル持ちはおりません。
それに、誰も奥様の正確なお顔を存じ上げておりません」
関係ないと無視していた結果、悪い方向へとしか向かっていなかった。
「誰でもいい! ローレンツォの顔を描ける者はいないのか!」
ちゃんと書けたら減罰すると言うと、使用人たちが競って描き始めた。
「旦那様、お止めになった方が」
「衛兵が負えないと言うのであれば仕方あるまい」
数十人の使用人がそれぞれ出して来た似顔絵は、もはや人の顔ではない物から性別すら超えていた。
そしてそんな似顔絵を見過ぎて、ローレンツォの顔を思い出す事すら難しくなった。
下手な似顔絵が印象に残り過ぎた結果だった。
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