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489.守られる小話(鉄道の日)

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「ホーム、すげー人だな」
「ずっと遅延してるもんね。乗れるかなあ」
「滑り込む? そのあとでもいーけど」
「どんどん混むかもしれないし、滑り込みたいかな」
「確かに。そしたらオレ、湊のために壁になっから」
「守ってくれるんだ」
「そう。湊に苦しい思いはさせねーぜ!」
「ありがとう。晴海もしんどくないようにしてね?」
「だいじょぶ。ぎゅうぎゅうされんのはヤダけど、息はそんな苦しくねーから」
 電車がホームに滑り込んでくる。湊は晴海に守られる特権を甘受する。



(了)221014
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