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472.触れたがる小話

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「湊、うちにつくまで手え繋いでてくんね?」
「役得だねえ、喜んで。でもどうしたの?」
「スマホの充電ヤベーから。いま湊とはぐれたら湊に会えなくなる」
「なーるほどね」
「予防? 保険?」
「そんな晴海に、実は携帯型充電器が」
「えっ。あんの」
「……ないんでしたー」
「なかった」
「ふふふ、あったら嬉しかった?」
「んん……ほっとするのと、合法手繋ぎを逃したくねー気持ちとある」
「分かるよ。おんなじ」
 便利な電子機器よりも、湊の手は晴海の体温に触れたがる。



(了)220927
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