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460.小さな礼儀の小話(スカウトの日)

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「そういや陸上部からスカウトされた」
「正式な部員になってほしいってこと?」
「そう。でも断った」
「けんもほろろだ」
「知ってんだろ。オレは飽きるから」
「知ってる。それが晴海なりの礼儀だもんねえ」
「たぶんまた助っ人はすっけど」
「そのときは見に行くよ。晴海が走るところはとっても格好いいから」
 飽きてしまうことが分かっているから近付かない。そういう晴海が、湊の傍にだけはずっといる。これまでもこれからも。



(了)220915
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