【共依存DK】幼なじみのハルミナト

434.筆跡を真似る小話（定家忌）

「あれ。湊、なんかいつもの字とちがくねえ？」
「さすが晴海。そうだよ、これは昔の人の字体を真似てるんだ」
「昔の？　ゆーめーじん？」
「有名人。晴海も知ってる、藤原定家さんて人」
「フジワラ、むちゃくちゃいるからピンとこねーな」
「百人一首を作った人だよ」
「アー！　それなら知ってる」
「定家の書にはクセがあって、定家様とか定家流とか言われて書道の流派として確立したんだよねえ」
「なんか強弱あるっつーか、線が丸っこくて太えとことしゅって細えとこあってカワイーな」
「そう。僕も好き。流行ったのも分かるよねえ」
　定家本人は悪筆だと思っていたと伝えられるが、近年になってパソコンのフォントデザインにも取り入れられたというからその魅力は本物なのだ。



（了）220820