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316.本を贈る小話(サン・ジョルディの日)

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「これ、湊にやる」
「わ。写真集かな」
「駅ビルの本屋で、オレが一番キレーって思った本」
「一番を僕に? どうしよう、すごく嬉しい」
 湊もとっておきを用意してある。本を贈るということは、相手の好みと自分の選択を勘案し、時間を掛けて丁寧に考えた結果だ。少なくとも湊はそういうふうに選ぶ。だから晴海がこの日に本をくれたことに、湊は殊更に感じ入る。
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