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261.お使いピンチヒッターの小話

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「湊、なんか部屋の前に置き手紙ある」
「ほんとだ。妹の字だ……クリーニングの受け取り、今日中なるはや」
「ミサキのやつ、さっき出掛けて行かなかったっけ」
「行った。部活だったかな……僕も午後は課題を書いてしまいたかったけど、仕方ないね」
「フーン。オレ行く?」
「晴海ひとりで?」
「そう。箱崎家のメンバーになりすまして」
「初めてのお使い的なやつだ。ついていきたくなっちゃうね」
「初めてじゃねえし、湊は課題やるんだろ」
「ふふふ。じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」
「ん。そんでちゃんとできたら超褒めて」
「超褒めお任せ。具体的なお礼のリクエストも受け付けます」
「よっし。考えとく」
 晴海は早速ダウンジャケットを羽織ると、クリーニングの引き換えのための伝票を手に「箱崎です」と練習をした。



(了)220227
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