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237.年の数だけの豆の小話

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「節分だ!」
「商店街で豆を買って帰らないとね」
「鬼のお面とか被ってやろーか?」
「見てみたいけど、僕が晴海に向かって鬼は外って言えると思う?」
「そういやそうか……言われたら泣くかもしんねー……」
「ちいちゃい晴海は保育園に来た鬼にわんわん泣いてたよね」
「よく覚えてんな」
「可愛かったから。今も可愛いけど」
「そのうち泣きながら立ち向かうようになったのはオレも覚えてる」
「ちいちゃい晴海、手とか足とか出てたよね? 豆だけじゃなくて」
「出してた。湊を守らなきゃと思ったし」
「ふふふ、ありがとう」
「あんときのセンセーごめん、とはちょっと思う」
「大人になったね」
 何しろ「年の数の豆」だってずいぶん増えた。晴海のために豆を選り分けるのは湊の仕事だけれど、また一粒数が加わったのだと思うと感慨深い。



(了)220203
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