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158.水分補給の小話(day16「水の」) #ノベルバー

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 肌寒い季節なのに汗みずくだ。朝早の公園ではしゃぐ幼なじみを見守りながら、湊はあちらとこちらが別世界であるような不思議な気分だった。閑散とした時間帯を選んでやってきたのは、晴海が一度やってみたかったというスケートボードに挑戦するためだ。運動神経のよい晴海は小さな板をすっかり乗りこなしてご機嫌だった。何やら技らしきものに挑んだりしている。湊は手のひらでペットボトルの水を弄びながら、その様子をほのぼのと眺めていた。
「湊!」
 晴海が大きく手を振った。白々とした冬の日差しに汗が散る。湊が持つペットボトルの水も陽光を反射してきらめいた。
「おいで」
 湊は立ち上がって呼んだ。晴海はすぐさま地面を蹴って滑ってくる。湊の前でぴたりと止まる。
「ん」
 湊が口を開けたペットボトルを差し出すのを待たず、晴海は長身を折り曲げ、湊のほうに体を傾ける。無防備に開いた唇に飲み口を当てた。晴海は喉を鳴らして飲み下した。
「湊の水は命の水!」
 口の端に垂れた雫をぺろりと舐め取り、晴海は再び滑り出す。



(了)211116
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