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21.幼なじみの「大丈夫」がときどき信用できない小話

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「湊……お前」
「なに、そんなじろじろ見て」
「あんま調子よくないんじゃねーの」
「そんなことないよ」
「休めよ。オレ付き添いする」
「平気だってば。今日は部のほうでやることもあるし」
「そりゃお前はブッ倒れたりはしねーだろーけど……」
「ヤバいときは晴海が駆けつけてくれるんでしょ」
「当然」
「そのときはちゃんと呼ぶから、大丈夫」
「つーかヤバくなくてもいつも呼べよ、軽率に。じゃねーと心労で死ぬからオレが。マジで」
「呼ぶ呼ぶ。約束」
 湊は小指を差し出してみせる。晴海はその指先を危険物でもあるかのように疑り深く観察し、ため息を吐くと自分の小指を絡めた。指切りげんまん。嘘ついたら針千本の重罰なのである。



(了)210702
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