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一学期 二章 球技大会の準備
012 クラス委員長は、これが青春だと声を上げる。
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翌週の五時間目のロングホームルームは、球技大会についての話し合いであった。
結局のところ、投票の結果、今年の二年生の球技大会は、男子はサッカーの一種目、女子はテニスとバトミントンの二種目に決まった。
リア充しねしね団による卓球推しの組織票は、惜しくもグローバル人気を誇るサッカーに届かなかったようだ。
クラス委員長の張り切り系女子が、これぞ青春だと言わんばかりに声をあげる。
「一致団結して、絶対に優勝するわよ!」
彼女は教室に響く声で発破をかけた。
「「おー!!!!」」
ノリ気で全力で声を上げる者、声は出てないが口パクだけする者、全く興味を示さず、スマホをいじる者、一致団結とは一体なんなのか。
そもそもみんなで運動したら、交流が深まるというのが安直な考えではないだろうか。正直あんまりやる気がでない。もともと青春っぽいノリが少し苦手ではあるが、ここまでやる気がない理由はもう一つある。
五時間目のロングホームルームの最初、女子はテニスかバドミントンの二種目から、どちらに出るかを決めており、男子は前半後半のどちらに出場するかを決めていた。
男子は人数的に、前半と後半の両方に出るメンバーが数人いる。俺はサッカー部だからという理由で、すぐさま前後半ともに出場メンバーとして名前を入れられてしまった。
暇なので女子の出場種目決めの様子を観察する。というか、神崎さんの様子を観察する。
「私はテニス下手だから……バドミントンかなぁ。」
神崎さんのその言葉に、俺はもう球技大会とかどうでもいいや……と投げやりになった。
なぜなら、テニスなら校庭と隣接したテニスコートで行われるため、試合のない時間、神崎さんが男子のサッカーの応援に来てくれる可能性が大いにあったのだ。
しかし、バドミントンは風の影響をもろに受けるため、グラウンドから離れた体育館で執り行われる。そのため、わざわざ体育館から足を運んで応援に来てくれるのは、せいぜい男好きなイケイケ女子だけである。
おっとり天然清楚系女子の神崎さんは、おそらく休憩の間も他の女子とのんびりおしゃべりしたり、何ならクラスに貢献しようと一人自主練し始めたりする可能性が高い。
よって神崎さんがグランドまで応援に来てくれるのは限りなくゼロに近い。
大前提として、男子が球技大会に参加する意味は、好きな子にいいところを見せるという一点に集約していると言ってもいい。
ということは、好きな子にいいところが見せれない球技大会に、意味は皆無ということになる。よって俺は、今回の球技大会において、何も意味を見いだせないのだった。
こうなると、サッカー部だから活躍しなければいけないというクラスの期待も面倒だ。活躍しないと「あいつサッカー部のくせに……」と影口叩かれそうだし、かといって、本気でやると「初心者相手になにマジになってんの?」みたいな相手からの視線がきつい。
そして何より、いくら頑張っても、神崎さんにその雄姿を見てもらえない、というのが決定的に俺のやる気を低迷させていた。
ロングホームルームの後半は、球技大会のクラスの応援スローガン、クラス旗のデザインを考えようという謎の時間であった。
「クラスのスローガン何にする?」
正直どうでもいい。クラスの応援スローガン、クラス旗、それにどれほどの意味があるのだろうか。無駄な時間は嫌いだ。
しかし、青春はそんな無駄な時間がたくさんある。みんなで何かを成し遂げる……みんなで何かを決める……それが民主主義のこの日本を支えるうえで、重要な教育の一つということだろうか。そこにどれほどの意味があるのかは知らないが、きっと意味を見出せるのは一部の積極的に意見をいう人間だけだろう。
っじゃあ積極的に意見を言って参加すればいい……というのは野暮である。意見を言いたくても、クラス内ヒエラルキーが低くて意見を言えない者だっているのだ。俺のような控えめな生徒には無論発言権はない。神崎さんもあまり目立つことはしない方の生徒だ。こんな場面でわざわざ挙手して発表したりはしない。
「一組最強ナンバーワン!とかどう?」
「それいいねー!」
イケイケ連中が少し寒い感じのスローガンを発表しているが、文句があるなら代案を出せと言われると困るので、表面上の作り笑いで受け止める時間。一部の人間が意見を出し、にこにこと波風たたずに受け入れるのが大多数である。
これもまた、社会に出るうえで必要な経験なのかもしれない。この会議、自分も参加する意味あります? と疑問を感じる会議に長時間付き合わされることに備えて、忍耐力を鍛えるためだと言われたら、少し納得できる気もしてくる。
神崎さんもまた、にこにことクラスの様子を見守っており、俺もまた神崎さんの様子をにやにやと……いや、のんびりと眺めていた。決してにやにや眺めたりなどはしていない。
神崎さんを眺めている間に、クラスのスローガンは決まったようで、ロングホームルームは終了し、俺は部活へと向かった。
結局のところ、投票の結果、今年の二年生の球技大会は、男子はサッカーの一種目、女子はテニスとバトミントンの二種目に決まった。
リア充しねしね団による卓球推しの組織票は、惜しくもグローバル人気を誇るサッカーに届かなかったようだ。
クラス委員長の張り切り系女子が、これぞ青春だと言わんばかりに声をあげる。
「一致団結して、絶対に優勝するわよ!」
彼女は教室に響く声で発破をかけた。
「「おー!!!!」」
ノリ気で全力で声を上げる者、声は出てないが口パクだけする者、全く興味を示さず、スマホをいじる者、一致団結とは一体なんなのか。
そもそもみんなで運動したら、交流が深まるというのが安直な考えではないだろうか。正直あんまりやる気がでない。もともと青春っぽいノリが少し苦手ではあるが、ここまでやる気がない理由はもう一つある。
五時間目のロングホームルームの最初、女子はテニスかバドミントンの二種目から、どちらに出るかを決めており、男子は前半後半のどちらに出場するかを決めていた。
男子は人数的に、前半と後半の両方に出るメンバーが数人いる。俺はサッカー部だからという理由で、すぐさま前後半ともに出場メンバーとして名前を入れられてしまった。
暇なので女子の出場種目決めの様子を観察する。というか、神崎さんの様子を観察する。
「私はテニス下手だから……バドミントンかなぁ。」
神崎さんのその言葉に、俺はもう球技大会とかどうでもいいや……と投げやりになった。
なぜなら、テニスなら校庭と隣接したテニスコートで行われるため、試合のない時間、神崎さんが男子のサッカーの応援に来てくれる可能性が大いにあったのだ。
しかし、バドミントンは風の影響をもろに受けるため、グラウンドから離れた体育館で執り行われる。そのため、わざわざ体育館から足を運んで応援に来てくれるのは、せいぜい男好きなイケイケ女子だけである。
おっとり天然清楚系女子の神崎さんは、おそらく休憩の間も他の女子とのんびりおしゃべりしたり、何ならクラスに貢献しようと一人自主練し始めたりする可能性が高い。
よって神崎さんがグランドまで応援に来てくれるのは限りなくゼロに近い。
大前提として、男子が球技大会に参加する意味は、好きな子にいいところを見せるという一点に集約していると言ってもいい。
ということは、好きな子にいいところが見せれない球技大会に、意味は皆無ということになる。よって俺は、今回の球技大会において、何も意味を見いだせないのだった。
こうなると、サッカー部だから活躍しなければいけないというクラスの期待も面倒だ。活躍しないと「あいつサッカー部のくせに……」と影口叩かれそうだし、かといって、本気でやると「初心者相手になにマジになってんの?」みたいな相手からの視線がきつい。
そして何より、いくら頑張っても、神崎さんにその雄姿を見てもらえない、というのが決定的に俺のやる気を低迷させていた。
ロングホームルームの後半は、球技大会のクラスの応援スローガン、クラス旗のデザインを考えようという謎の時間であった。
「クラスのスローガン何にする?」
正直どうでもいい。クラスの応援スローガン、クラス旗、それにどれほどの意味があるのだろうか。無駄な時間は嫌いだ。
しかし、青春はそんな無駄な時間がたくさんある。みんなで何かを成し遂げる……みんなで何かを決める……それが民主主義のこの日本を支えるうえで、重要な教育の一つということだろうか。そこにどれほどの意味があるのかは知らないが、きっと意味を見出せるのは一部の積極的に意見をいう人間だけだろう。
っじゃあ積極的に意見を言って参加すればいい……というのは野暮である。意見を言いたくても、クラス内ヒエラルキーが低くて意見を言えない者だっているのだ。俺のような控えめな生徒には無論発言権はない。神崎さんもあまり目立つことはしない方の生徒だ。こんな場面でわざわざ挙手して発表したりはしない。
「一組最強ナンバーワン!とかどう?」
「それいいねー!」
イケイケ連中が少し寒い感じのスローガンを発表しているが、文句があるなら代案を出せと言われると困るので、表面上の作り笑いで受け止める時間。一部の人間が意見を出し、にこにこと波風たたずに受け入れるのが大多数である。
これもまた、社会に出るうえで必要な経験なのかもしれない。この会議、自分も参加する意味あります? と疑問を感じる会議に長時間付き合わされることに備えて、忍耐力を鍛えるためだと言われたら、少し納得できる気もしてくる。
神崎さんもまた、にこにことクラスの様子を見守っており、俺もまた神崎さんの様子をにやにやと……いや、のんびりと眺めていた。決してにやにや眺めたりなどはしていない。
神崎さんを眺めている間に、クラスのスローガンは決まったようで、ロングホームルームは終了し、俺は部活へと向かった。
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