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新たな始まり
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しおりを挟むそんなこんなで、俺とルインはがっつりとレベル上げを行った。
ルインは≪侵食融合≫のお陰で一気に強くなった。
が、ルインが融合した分の経験値は入ってこないから、程々のところでやめてもらった。
若干不服そうではあったが、それでもかなり強くなっていたこともあって、援護にまわってくれた。
というかほぼ一人で倒してた。
ルインが倒した場合でも経験値のほとんどは俺に入るから、レベル上げ的には問題ない。
けど、ちょっと複雑な気持ちだ。
せっかくのVRゲームで保護者プレイとはいただけない。
今日はシュシュを守る為ということで妥協したが、これからは可能な限り一人でレベルを上げよう。
ルインは適当なエリアに解き放っておけばいいんじゃないだろうか。
これが、四時間程狩りをした成果だ。
スキルはまだ取得していない。
一度シュシュの部屋に戻って、ゆっくり考えるつもりだ。
名前:ゼノガルド
種族:人
Lv:11(8↑)
Str:1
Vit:1
Agi:1
Dex:40(15↑)
Int:71(25↑)
Luc:1
職業:ノービス
職業Lv:12(6↑)
スキル
魔法の心構え Lv1
リラックス Lv1
魔法適性 Lv1
属性適性・水 Lv1
魔力修練 Lv1
雷撃散弾 Lv1
魔法一筋 Lv1
いつも通りDexとIntに振った。
結構数値が高くなってきたし、AgiやVitなんかの防御系のステータスに振るのもありだな。
装備にもよるが、StrやLucもありだ。
うーん、悩ましい。
ま、これは追々、だな。
寂れた宿屋の、シュシュが借りている部屋の扉をノックする。
もう帰ってきているようだ。
返事を確認してから、ドアを開けた。
ルインが勢いよく飛び込んでいく。
「たっだいまー!」
「お邪魔します」
「あ、おかえりなさい!」
「まるで自分ちみたいだな」
「もうあたしの家みたいなもんよ!」
「お、おう」
ルイン的にはもうここは自分の家らしい。
なんて適応力の高さだ。
ルインは今はコインの姿に戻っており、シュシュの周囲を飛び回っている。
実に鬱陶しそうだ。
叩き落としていいぞ。
「うわあ、ルインさん、動きが早くなったね! レベル上げ順調だった?」
「ええ、それはもうモリモリ強くなったわよ! このままいけば最強ね!」
「すごぉい!」
盛り上がっている二人を眺めながら、空いている床に腰を下ろす。
土足だけどここはゲームだ。
特に汚れとかを気にする必要もない。
「俺も結構レベルが上がったから、スキル振りをここでさせてもらってもいいか?」
「いいよー」
「ありがとう。終わったら、ギルドに転職に行くつもりだ」
「もう職業レベルが10になったの!?」
「えっ、あ、ああ。今は12だ」
この後の予定を話したら、シュシュが驚いたような声をあげた。
むしろそれに驚いた。
ちょっとどもってしまった気がする。
「ゼノさん、すごいね。私なんて転職出来るようになるまで三日くらいかかったのに……」
「ああ、まぁシュシュは戦闘ステじゃないし。それに相棒もサポート型だからな。俺は魔法型で、ルインがかなり強いから」
「ふふん!」
「わあ、すごい!」
シュシュの相棒は大きなバッグだ。
アイテムを運んだりするのに便利なだけで、ステータスの上乗せくらいしか戦闘に影響がない。
対して俺は純魔法型で、便利な魔法も既に使える。
そして相棒はバリバリの戦闘型。
効率が段違いになっても仕方がない。
それに、βの時よりも経験値効率を高めたって話だしな。
自慢げにしてるルインに水を差すのも悪いから言うのは止めておこう。
大したことじゃない。
βというのははテストだから、正式リリースの時に変更になってることなんていくらでもある。
レベルアップ時のステータスポイントの量とか、特徴スキルの最大レベルとか。
掲示板に載ってた以外にも、もっとある筈だ。
バランス調整ご苦労様です。
「それじゃあゼノさん、助けてくれたお礼にいいこと教えてあげるね!」
「いいこと?」
「うん! ≪パートナーリンク≫っていうシステムなんだけど――」
パートナーリンク。
それは、相棒とスキルを一個ずつ指定して、共有するというシステムだった。
なんか分かりにくいな。
俺がルインのスキルの中から一つ、ルインが俺のスキルの中から一つ、指定して、まるで自分のスキルのように使うことが出来る、らしい。
「なにそれ、すごいわね!」
「確かに、夢と可能性が広がるな」
良い情報だ。
このシステムを利用すれば、本来は取得出来ないような系統が違うスキルを、相方から引っ張って来れる。
ユニークスキルも指定出来るみたいだから、本来は俺しか取得出来ない≪魔法一筋≫の恩恵をルインも受けることが出来る。
「ありがとうシュシュ、おかげでもっと強くなれそうだ」
「助けてもらってるんだから気にしないで。まだ全然足りないくらいだよ!」
「それでも感謝は感謝よ。きっとそのお礼にゼノが何か美味しいもの買ってくれるに違いないわね」
「ほんと?」
シュシュにお礼を言うと、すごく謙遜された。
気にしなくていいと俺が言う前に、ルインに横から入られてしまった。
しかも何か初耳なことを言っている。
まあ、それくらい構わないけどな。
きっちりお礼はしようと思ったし。
それに、シュシュの期待の籠った眼差しは裏切れない。なんだこの輝きは。
「ああ、任せとけ」
「やったー!」
「ゼノ、あたしお肉食べたい!」
「お前まで食べるのかよ。まぁ、いいけど」
「やった」
ルインは、まるで小さくガッツポーズをしているかのように喜んでいる。
やっぱりコインの姿のままでも感情が伝わってくる。
NPCはみんなこうなのか、それともルインが特別ダダ洩れなのか。
シュシュがコインの姿でも、似たような感じになりそうな気はする。
てことはNPC全般こうなのかな。
技術力がやばすぎる。
「それじゃあさっそく活用させてもらおうかな」
パートナーリンクシステム。
ルインのスキルで、どれを使いたいだろうか。
逆に、俺のスキルの中からルインが使いたいスキルを選んでもらう必要がある。
もし取得済みの中でこれといったのが無ければ、取得可能スキルからでもいいな。
幸い、ポイントは余ってるし。
「ルイン、お互いに使いたいスキルを選ぼう」
「オッケー、任せてちょうだい!」
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