162 / 338
155 宴会跡とお引越し
しおりを挟む「ふわぁ……もう朝か」
リビングで寝てしまっていたらしい。
のっそりと身体を起こす。
宴会は盛り上がった。
盛り上がり過ぎて混沌としてた。
王女のミゼルの前で脱ぎだした男共三人は、最終的にミルキーの手で空き部屋の中に叩きこまれていた。
下手すると不敬罪とかになるんじゃないのかあれは。
シスコンのパシオンが不在で良かったな。
それでも、酒を樽で用意しておいてよかった。
こんなに楽しく騒いだことは無かったから、間違ってなかったと思う。
ミルキーには迷惑かけて申し訳ないけど。
モグラやマッスル☆タケダが飲むのは知ってたけど、出汁巻玉子や昭二まで飲むとは思わなかった。
女王まで飲みだしたのはもっと予想外だったな。
そもそも、食べたり飲んだりすると思わなかった。
主食は魔力だけど、人間と同じものも食べられるらしい。
床に転がってるモグラやタケダ、ゴロウを踏まないようにリビングを横断する。
他の人達の姿はない。
放牧スペースでのバーベキューは20時くらいで終了した。
その時点でミゼル達と昭二は帰宅した。
出汁巻はパンツ一丁の姿で、ノーチェに引きずられていった。
残ったメンバーで、リビングにて二次会が開始された。
22時を過ぎたくらいでお開きということで各々部屋に帰って行った。
タマは寝てしまったのでミルキーにお願いして部屋へ運んでもらった。
俺は残された裸三人衆の残り二人と、酔い潰れて寝てしまったゴロウの世話があったからな。
一階の空き部屋に向かおうとしたところで、二人が這い出てきた。
そこからは地獄の三次会の始まりだ。
色々聞かれたし、色々話した。
酒と一緒に下らない事や愚痴なんかも一杯交わして、間違いなく楽しかった。
ツマミが欲しいと言い出して、家を飛び出して畑に向かったのはやばかった。
≪モジャ畑≫に生えてるイカの足に挑んでいく裸の男二人。
完全に、狩りに挑む原始人だった。
イカの足の一薙ぎで飛んでいくマッパの男は酷い絵面だったよほんとに。
原始人共は敵わないと思ったのか、大人しく家に戻って更に飲んでいた。
俺は2時くらいに力尽きたが、この様子だと結局夜明け近くまで飲んでたんじゃないか。
「おはようございます」
「おはよー!」
「あ、おはよう。タマ、ミルキー」
空になった樽やコップを片づけていると、二階からミルキーとタマが下りてきた。
二人の後ろをおろし金もついてくる。
器用に階段を下りるなぁ。
「今日は狩りはどうしますか?」
「どうしようかなぁ」
俺はそんなにお酒を飲んでないから体調は悪くない。
時間は……まだ6時か。
体調は悪くないが、なんかちょっと休みたい気分だ。
少なくとも部屋で二度寝をしたい。
「……お昼まで二度寝してから考えても良い?」
「ふふっ、いいですよ。私もゆっくりしてますね」
「ありがとう」
「タマもモジャモジャするー」
「俺はモジャモジャしないと思うぞ」
ミルキーとタマも片付けを手伝ってくれてすぐに綺麗になった。
許可ももらえたしゆっくり二度寝するか。
遅くまで騒いでのんびり二度寝する、これも楽しいな。
この世界にきて本当に良かった。
――ドンドンドン!
突然、玄関のドアが強くノックされた。
拳で叩いてるような感じの音だ。
間を置かずに声も響いてくる。
「おーい! ナガマサさん、起きとるかー!?」
「はーい、今出ます! 昭二さんだ。一体どうしたんだろう」
「どうしたんでしょうね」
「うぅん……」
玄関へ向かう。
大きな声でモグラが反応したが、今は無視だ。
昭二の声はかなり焦ってるように聞こえる。
ドアを開けると、やっぱり焦ったような顔をした昭二が立っていた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。ナガマサさんや、家の裏は見たかい?」
「裏? 今日はまだ見てませんけど、どうしたんですか?」
家の裏というのは、放牧スペースがある。
昨日バーベキューをした後は片づけもしたし変なものは無い筈なんだけど。
「ありゃあ何と言っていいもんか分からん。直接見た方がええわ」
「分かりました。どうぞ、中から行きましょう。ミルキー、ちょっと放牧スペースに行こう」
「はい」
「タマもー」
「うぅ、何の騒ぎ……?」
昭二を中に招き入れて一緒に裏口へと向かう。
裏口から出るとすぐに放牧スペースだ。
タマとミルキー、起きてきたモグラを連れてドアを開ける。
「なんだこれ」
「綺麗……」
「お城だー!」
「お城だねー」
そこには、結晶で出来た城があった。
≪輝きの大空洞≫で見たような、少しスケールの小さいお城を更に小さくしたようなサイズだ。
小屋を除いた放牧スペースの8割を占拠している。
入口と思われる扉の前には≪クリスタルナイト≫が二体、立ち番をしている。
昨日の時点では間違いなく無かった。
夜の内に作られたようだ。
このビジュアルからして、誰がやったか予想はつくんだけどな。
『おや、おはよう。朝も早くから皆揃ってどうしたのじゃ?』
城の入り口から≪ダイヤモンドクイーン≫の金剛石華が姿を現した。
思った通りだ。
昭二はこれを見せたかったらしい。
うちの放牧スペースだし、金剛とも昨日のバーベキューで顔見知りになってたから危ないものとは思わなかったが、一応確認がしたかったとのことだった。
いつもすみません。
0
お気に入りに追加
1,181
あなたにおすすめの小説
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる