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外伝 紅の剣士2
しおりを挟む悲鳴の聞こえた方へ必死に駆ける。
頼む、間に合ってくれ。
ここで手遅れにでもなろうものなら、あの人に殺されてしまう。
「逃げろ、早く! こっちだ!」
「くそっ、なんでこんなとこにあんなのが!」
向かう先から二人の男がやって来る。
今の悲鳴と何か関係してるんじゃないか。
話を聞いてみるか。
「おい、あんたら」
「邪魔だ、どけ!」
「きゃっ!?」
「コトノ!」
声を掛けようとしたが、無視して突っ込んできた。
身を躱すと、後ろにいたコトノが突き飛ばされた。
咄嗟に手を伸ばして転ばないように体を支える。
怪我でもさせたらあの人にボコボコにされてしまうかもしれない!
「ご、ごめんなさい」
「怪我がないなら良い。行くぞ」
逃げて行った男達は今は放置だ。
気にはなるが、あっちを優先して悲鳴の主が無事である保障がない。
そもそもまだ無事かどうかも確証はない。
それでもまだ生きている可能性がある以上、放置は出来ない。
「紅さん、あれ! でっかいクワガタが!」
いくつもの木々を置き去りにした先に、女プレイヤーがいるのが見えた。
杖を構えてはいるが、座り込んだまま立てなくなっている。
側には消えていくプレイヤーの姿。
その傍らに立っているのは、凶刃を携えた≪武者クワガタ≫。
「ちっ、コトノ、突っ込むぞ!」
「紅さん!?」
「女を頼む!」
嫌な予感が当たってしまった。
≪武者クワガタ≫は、このエリアの中では飛び抜けて強い。
今の俺達の実力じゃ多分勝てないだろう。
しかし、見捨てる訳にはいかない。
ここで見捨てて逃げてしまったら、俺があの人にゴミのようにされてしまう。
こうなったら勝つしかない。
今の俺じゃ勝てない?
だったら、今を越えてやる。
それだけだ。
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