134 / 338
外伝 紅の剣士1
しおりを挟む
「紅さん、準備できました!」
「ああ、行くぞ」
待つこと三十分。
コトノは準備が出来たことを告げてくる。
やっとか。
しかし口には出さない。出せない。
あまり偉そうな態度を取っていると、いつあの人がやってきて俺をボコボコにするか分からないからだ。
「今日はどこへ行くんですか?」
「ストーレの森だ。クワガタを狩るぞ」
「へー、楽しみです!」
コトノは≪剣士≫の女の子。
見たところ、俺と同い年くらいだ。
明るい茶髪で性格も明るい。
根暗な俺とは大違いだ。
そんな奴と何故一緒にいるのかというと、俺にもよく分からない。
あの人にボコボコにされた後の俺は、心を入れ替えた。
相棒の≪闇色の火焔剣≫が復活して大人しく狩りをしていたら、以前の俺のように威張り散らしてるプレイヤーがいた。
そいつを見た時は恥ずかしくて死にそうだった。
俺はこんなバカなことを言ってバカなことをしてたのかと、死にたくなった。
思わず蹴散らしてしまった。
その時に絡まれていたのがコトノで、それ以来俺についてくるようになった。
正直関わりたくなかったが、あんまりにもしつこいから根負けしてしまった。
そのしつこさはカレーの染みの十倍くらいだろう。
それから俺とコトノは転職し、もっと強くなる為に次の狩場を考えていた。
そんな中、最近ストーレの森で採れたという素材で出来た装備を露店で見つけた俺は情報を集め、俺達のレベルに丁度良さそうだと判断した。
危険なモンスターが一匹だけ徘徊してるらしいが、俺の実力なら……いや、コトノと二人だといっても油断は禁物だ。
慢心してるとあの人がやって来るかもしれない。
「ここがストーレの森ですか! 木がいっぱいですね!」
「まぁ、森だからな。今日は≪武者クワガタ≫は奥の方で目撃されてるらしいから、中間くらいまでで
狩りをするぞ」
「はいはい、≪武者クワガタ≫ってなんですか?」
「説明しただろうが……。いいか? 武者クワガタっていうのはこのエリアで飛びぬけてレベルが高くて強いモンスターで、今の俺達じゃ絶対に」
「キャー!! 誰か、誰か!!」
注意するよう説明したのにすっかり忘れてやがったコトノに武者クワガタの説明をもう一度しようとしたところで、悲鳴が響いた。
切羽詰ったような声も続く。
「――!? 行くぞ!」
「あっ、待ってくださーい!」
驚きで固まっているコトノを置いて、俺は森の奥へ向けて走り出した。
トラブルに巻き込まれたくないけど遭遇してしまった以上仕方がない。
もしここで放っておいて被害者が出るなんてことがあったら、俺があの人に殺されてしまう!
「ああ、行くぞ」
待つこと三十分。
コトノは準備が出来たことを告げてくる。
やっとか。
しかし口には出さない。出せない。
あまり偉そうな態度を取っていると、いつあの人がやってきて俺をボコボコにするか分からないからだ。
「今日はどこへ行くんですか?」
「ストーレの森だ。クワガタを狩るぞ」
「へー、楽しみです!」
コトノは≪剣士≫の女の子。
見たところ、俺と同い年くらいだ。
明るい茶髪で性格も明るい。
根暗な俺とは大違いだ。
そんな奴と何故一緒にいるのかというと、俺にもよく分からない。
あの人にボコボコにされた後の俺は、心を入れ替えた。
相棒の≪闇色の火焔剣≫が復活して大人しく狩りをしていたら、以前の俺のように威張り散らしてるプレイヤーがいた。
そいつを見た時は恥ずかしくて死にそうだった。
俺はこんなバカなことを言ってバカなことをしてたのかと、死にたくなった。
思わず蹴散らしてしまった。
その時に絡まれていたのがコトノで、それ以来俺についてくるようになった。
正直関わりたくなかったが、あんまりにもしつこいから根負けしてしまった。
そのしつこさはカレーの染みの十倍くらいだろう。
それから俺とコトノは転職し、もっと強くなる為に次の狩場を考えていた。
そんな中、最近ストーレの森で採れたという素材で出来た装備を露店で見つけた俺は情報を集め、俺達のレベルに丁度良さそうだと判断した。
危険なモンスターが一匹だけ徘徊してるらしいが、俺の実力なら……いや、コトノと二人だといっても油断は禁物だ。
慢心してるとあの人がやって来るかもしれない。
「ここがストーレの森ですか! 木がいっぱいですね!」
「まぁ、森だからな。今日は≪武者クワガタ≫は奥の方で目撃されてるらしいから、中間くらいまでで
狩りをするぞ」
「はいはい、≪武者クワガタ≫ってなんですか?」
「説明しただろうが……。いいか? 武者クワガタっていうのはこのエリアで飛びぬけてレベルが高くて強いモンスターで、今の俺達じゃ絶対に」
「キャー!! 誰か、誰か!!」
注意するよう説明したのにすっかり忘れてやがったコトノに武者クワガタの説明をもう一度しようとしたところで、悲鳴が響いた。
切羽詰ったような声も続く。
「――!? 行くぞ!」
「あっ、待ってくださーい!」
驚きで固まっているコトノを置いて、俺は森の奥へ向けて走り出した。
トラブルに巻き込まれたくないけど遭遇してしまった以上仕方がない。
もしここで放っておいて被害者が出るなんてことがあったら、俺があの人に殺されてしまう!
0
お気に入りに追加
1,181
あなたにおすすめの小説
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる