上 下
61 / 338

59 クエスト完了と新たなクエスト

しおりを挟む

「うし、それじゃあ俺は早速制作に取り掛かる。またな!」

 素材が揃って大張り切りのタケダを見送った。
 なんでも俺達が狩りに行ってる間、他の部分の仕込みは終わらせたらしい。
 タマの装備と同じような感じだとしたら、将軍クワガタの甲殻は装甲の部分に使用する。他の箇所は先に作れたんだな。

 このゲームの装備の制作って、どういう仕組みになってるんだろうか。
 それなりに時間はかかるみたいだけど、タマの装備も一日で作ってたしかなり簡略化されてる気もする。
 挑戦者の職業スキルの中にありそうなら取ってみるか?
 うーん、難しい所だ。
 
「さて、ナガマサよ。改めて礼を言おう。感謝する」
「お役に立てたなら良かったです」

 最初はなんて迷惑な奴だ、と思った。
 タマの装備を寄越せとかふざけたことも言うし、性格の悪いボンボンかと思っていた。
 だけど、バカで気持ち悪いくらいシスコンなだけで、悪い奴じゃなかった。
 このくらいのクエストなら大丈夫だ。
 むしろ楽しかった。

「貴様への依頼はこれで終了とする」
「はい」

 クエストが完了した扱いになったらしく経験値をもらった。
 今ので基本と職業レベルが上がった。
 女神のエフェクトが花火をバックにむくれている。
 これはやっぱり、前回気付かなかったことを拗ねてるんだろうか。

「せっかくの我が至高の妹ミゼルの晴れの舞台だ。その姿を特等席で拝ませてやろう」
「いえ、大丈夫です」

 一応断ってみた。
 だが強制取得だったらしく、ストレージにアイテムが無理矢理捻じ込まれた。
 ≪招待状≫か。
 クエストアイテムで売ったり捨てたりは出来ないようだ。
 あれ、何故か二つある。

「誕生日は明後日だが、儀式がメインとなる。その代わりに前夜祭も兼ねて明日の夜にパーティーが行われるからそっちにも顔を出せるよう手配をした。一通がパーティー、一通が儀式の招待状だ。宝石よりも美しいドレス姿のミゼルを拝謁する権利だ、喜ぶがいい!」
「あ、はい」

 明後日はこの街を上げて盛大に行われるらしい。
 儀式自体はこの城で行った後、鎧姿のままパレードなんかをするんだそうだ。
 
 で、明日は付き合いのある貴族、親族なんかを含む招待客とパーティーをするらしい。
 実質二日間かけての誕生日のお祝いって感じか。
 それでそのパーティーの方にも誘ってくれたと。

 貴族のパーティーどころか普通の誕生日パーティーすらろくに出たことないし、楽しそうな気もする。
 だから嬉しいんだけど、何か残念な意図を感じる。
 きっと晴れ姿を見せつけたくて仕方がないんだ。
 パシオンの妹好きは異常だな。

 でも、俺みたいなぽっと出の冒険者がパーティーに参加なんかして浮かないだろうか。

「貴様の心配は分かるぞ。だが安心するが良い。私の招待客にそのようなケチをつける者などおらん」
「そうなんですか?」
「そうだとも」

 今一信用出来ない。
 まぁせっかく招待してくれたんだから有難く参加しよう。
 ミゼルのドレス姿を見たいとか、そういう訳じゃない。

「ただそれなりの衣装は着てもらうぞ。明後日の儀式の際はその格好でも良いが、明日はパーティーだからな。正装を用意しておけ」
「正装ですか」

 持ってる訳が無かった。
 そもそも冒険用の装備ですらろくに揃えてないのに。
 今から探せば間に合うか?

「持っていなければ合うものを貸してやろう。ああ、折角の機会だ。女の一人くらいエスコートして来ても構わんぞ」
「えっ」
「男一人で参加するよりは格好がつくぞ。そうしろ」
「いや、あのですね」
「む、ミゼルが私を呼んでいる気がする!? ではな。また明日、パーティー会場で会おう」

 パシオンの発言に思わず固まってしまう。
 女の人をエスコート?
 いやいや、無理無理。
 パシオンは俺が困惑してる内に意味不明な発言をして去って行った。
 愚痴でも言われてるんじゃないか?

 まさか女性同伴を勧められるとは思わなかった。
 パーティーってそういうものなのか?
 知識がないから分からない。
 一人で行っても多分問題はないんだろうけど、どうしよう。

 うわ、これもクエスト扱いになってる。
 『女性をエスコートしてパーティーに参加する』って、これ一人で行ったら失敗になる?
 そうなったらどうなるんだろうか。

 もしパシオンクエスト(仮)みたいな感じで一連の流れで続いてた場合が困る。
 失敗するとそこで途切れてしまう可能性があるからな。
 せっかく依頼を達成したんだから、このまま最後までこなしたい。

 この世界でアテなんかほとんどない。
 うぐぐ、仕方がない、恥ずかしいけど唯一の可能性にかけてメッセージを送ってみよう。
 なんかすごい気恥ずかしいな!




「モージャモジャモジャモジャ」
「何してるんだ?」
「モジャってる!」

 俺は今、宿のベッドの上で横になっている。
 頭の方では床に座ったタマが俺の髪の毛をわしゃわしゃして遊んでいる。 
 よく分からないけど楽しそうだ。

 今日のクエスト達成でレベルが上がったし色々振っておこう。

名前:ナガマサ
種族:人
Lv:17(1↑)

Str:30(10↑)(+1100)
Vit:30(+1200)
Agi:34(4↑)(+1300)
Dex:50(+1202)
Int:24(+900)
Luc:16(+600)

職業:挑戦者(チャレンジャー)
職業Lv14(1↑)

スキル
サバイバルの心構え Lv8(1↑)
武器修練 Lv10(2↑)(MAX)
武器適正・片手剣 Lv10(3↑)(MAX)
リラックス Lv9(1↑)
魔法適正 Lv6(1↑)
属性適正・無 Lv6(1↑)
フルスイング Lv3
目印 Lv1
応急手当 Lv8
武器修練・片手剣 Lv7(2↑)
無属性魔法・下級 Lv6(1↑)
スマッシュ Lv3
魔力の波動 Lv6(1↑)
敏捷強化 Lv10(1↑)
生命力強化 Lv9(1↑)
筋力強化 Lv8(2↑)
知力強化 Lv7(2↑)
器用強化 Lv7(2↑)
幸運強化 Lv5(2↑)
マジカルスラッシュ Lv3(2↑)
索敵範囲拡大 Lv1(New)

我が道を行く Lv10(MAX)
解放の左腕 Lv10(MAX)
解放の右腕 Lv10(1↑)(MAX)
解放の左脚 Lv10(MAX)
解放の右脚 Lv6(2↑)
成長促進 Lv1(MAX)
取得経験値増加 Lv10(MAX)
無刀両断 Lv6
神脚疾駆 Lv8(3↑)
万種香 Lv1
裂空指弾 Lv1(New)

 ステータスは格闘の可能性を信じてStrに10と、残りをAgiへ。
 スキルは生産系はあったけど一先ず置いておいて、敵の察知が早くなりそうなスキルを取得。

 ユニークスキルの方は2ポイント使用で遠距離攻撃のアクティブスキルを取得。
 気を指弾にして放つ技らしい。
 指弾って指で弾くあれだよね。
 また今度試してみないといけないな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

知識を従え異世界へ

式田レイ
ファンタジー
何の取り柄もない嵐山コルトが本と出会い、なんの因果か事故に遭い死んでしまった。これが幸運なのか異世界に転生し、冒険の旅をしていろいろな人に合い成長する。

処理中です...