上 下
47 / 338

46 激レアコインの使い道

しおりを挟む

 このコインはやばい。
 ゲームにあまり詳しくない俺でも一目で分かるくらいやばい。
 まず見た目からして違う。

 オオカナヘビのコインは茶色だった。
 年期の入った10円玉みたいな色だ。
 裏面には星のマーク。

 このコインは、金色だ。
 裏にはMVPと彫ってある。
 とても分かりやすい。

 次に、効果を見てみよう。
 盛り沢山だ。
 これでもかというくらい効果が盛り付けてある。
 いつかVR雑誌で見た、五千円くらいするパフェくらい盛ってある。
 しかも一つ一つが強力、だと思う。
 これだけ効果があって一つもマイナス効果がない。

 光属性を付与する効果は、光属性の防具には無意味で勿体なく感じる。
 だけど元々光属性だった場合には更なるボーナスがある。
 フォローまで完璧だ。
 タマの新しい鎧に付けろと言わんばかりだ。

 まさかここまでレアそうなコインを引き当てるとは……。
 基本的にタマは引きが強い気がする。
 武者クワガタのコインも拾ってたし。
 コインのドロップ率はかなり低いって聞いたんだけどな。

 この≪滅魔神竜コンヴィーク≫なんて聞いたこともないモンスターは、普通のゲームなら廃人の方々が大規模パーティーを組んでしつこく粘るようなボスなんだと思う。
 コンビーフなんて仇名を付けられて、レアアイテム狩りの標的にされるんだ。
 そんな感じのレアアイテムを引き当てるとは。

「どうだったんだ?」
「ええっとですね、こんなの出ました」

 興味を抑えきれなかったのか、マッスル☆タケダが聞いてきた。
 聞かれたからには答えるしかない。
 軽くショートしそうなこの頭じゃ上手く誤魔化せる気がしない。
 いっそ巻き込んでしまおう。

「うわ、なんだこれは! えげつねぇもん引き当てたな!」

 コインを見せると、詳細を読んだらしいタケダの表情が変わった。
 引き当てたのタマだから!

「やっぱりレアに見えます?」
「見えるも何も相当なもんだろこれは。一体どうするんだ?」

 どうする?
 本当にどうしようか。
 選択肢はいくつかある。

 一、装備にセットする。
 部位は防具ならなんでもいいらしい。
 幸いピッタリな防具がある。
 タマの鎧だ。
 効果もかなり噛みあうし、良い案に思える。

 二、おろし金に食べさせる。
 これもありだと思う。
 戦力的に言えば俺とタマより低い位置にいるから、増強出来るだろう。
 でもあの愛くるしいカナヘビの姿とはお別れになってしまう可能性も高い気がする。
 そのまんまドラゴンになってもおかしくない。

 三、売る。
 お金に困ってないし、これはないな。

 四、保留。
 突然始まったクエストのこともあるし一旦置いておく。
 そうだな、これが一番な気がする。

「一旦保留にしようかと思います」
「そうか。確かにそれがいいかもな。ちなみに、売るならどこか他所へ持ち込んでくれよ。こんな激レア買い取る程の金なんか、ウチには無ぇからな!」

 タケダは笑っている。
 いいのかそれで。
 商人なのにお金がないから買い取り拒否とは、この人もある意味潔いな。

「あっ。そういえば鎧の分の代金はいくらになりました?」
「おお、そうだったな。忘れるところだった。ええっと」

 タケダには昨日の狩りの分の精算とタマの装備の作成費用の計算を纏めてお願いしてあった。
 買い取り分の代金から装備の料金を引いた分が儲けになるわけだが、余るかな。
 あの気合いの入りっぷりを見るにオーバーしてても不思議じゃない。
 追加で払うことになっても惜しくはない。
 それぐらいいい出来だ。

「そうだな……。ちょっと布地の素材や装甲部分の加工に拘り過ぎて足が出たんだが、構わないか?」
「勿論構わないですよ。お陰ですごくいい装備を作って貰えたんですから」
「そう言ってもらえると助かる。んじゃあ追加で1000c頼む」

 1000cか。
 今日即席の剣が2000cで売れたし、全然問題ない値段だ。

「じゃあはい、1000cです」
「毎度あり。それじゃあこいつはおまけみたいなもんだ。受け取ってくれ」

 取引ウインドウで1000cを渡すと、タケダの方からもアイテムを差し出された。
 装備品のようだ。
 一体なんだろうか。

≪将軍クワガタのアームガード≫
防具/手甲 レア度:B+ 品質:D+
Def:42 Mdef:18
魔の森の暴れん坊として恐れられる将軍クワガタの甲殻を使用して作られたアームガード。
非常に硬く、かつ、しなやかで非常に丈夫。
その装甲は魔法に対しても高い防御力を誇る。
Atk+5
Matk+5
マッスル☆タケダの銘が入っている。

「あの、これは何ですか?」
「おまけだよ。余った装備で練習も兼ねて作ったんだ。性能はかなりいいから勝手に素材を使ったのは許してくれ」

 どうせ少し素材が余ったところで俺に使い道はない。
 防具にしてくれるなんて、願ってもないことだ。
 有難くもらうことにしよう。

「ありがとうございます。大事に活用させてもらいます」
「おう、ナガマサさんのもんなんだから好きに使ってくれ。プレゼントにもぴったりだと思うぜ」

 プレゼントか。
 これだけ高性能な装備なら誰にあげても喜んでくれそうな気がする。
 むしろ高性能過ぎて遠慮されるかもしれないな。
 まぁそこはミルキーにでも押し付けてみてもいいだろう。
 俺が自分で使うのは、なんか装備が勿体ない気がしていけない。
 誰かにあげたい。

「それじゃあ今日はこれで。明日は朝10時に集合でしたよね」
「おう、お疲れさん。ああ、ここで待っておけとパシオンが言ってたぞ」
「はい。ではまた」
「またなまっするー!」
「おう、二人とも、また明日な!」

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使う事でスキルを強化、更に新スキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった… それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく… ※小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

処理中です...