30 / 338
29 逆恨みとリベンジマッチ
しおりを挟む「おらぁ!」
ミーガンは鎌を投げつけてきた
再度剣で弾く。
またこの前みたいに手加減してなぶろうと思ってるのか?
スピードが全然ない。
俺でも剣で弾けるレベルだ。
どうするのかと思えば、さらに普通の剣を抜いて走り出していた。
なるほど、武器は一つじゃないんだな。
「ひゃはは! 死ねぇ!」
「誰が死ぬか!」
物騒な顔と台詞の割には動きが遅い。
剣も普通に避けられる程度だ。
やっぱり手加減してるだろ。この野郎――っ!?
「いたっ」
「ひゃは、は?」
「やりやがったなこの野郎!」
余りにも簡単に攻撃を避けられるものだから調子に乗っていたら、後ろから飛んできた鎌が後頭部に直撃した。
鎌はそのままミーガンの手に。
そこそこ痛かったけどこれも手加減してるらしく、致命傷には程遠い。
HPもそんなに削れてないしな。
あれ、なんか数字多くない?
「お前、今のは直撃だっただろう! なんで平気な顔してやがる!」
「はぁ? お前がこの前みたいに俺をいたぶる為に手加減してるんだろうが!」
あの時の悔しさは忘れてないぞ。
楽しく生きる為にはいつまでも落ち込んでられないから、仕方なく忘れたふりをしてただけだ。
熨斗(のし)をつけて返す機会が来たなら百倍にして返してやるさ。
「こ、攻撃が効かない!」
「うわぁ!?」
「なんだ!?」
轟音と共に視界の端が激しく光った。
突然のことに驚いてミーガンが距離をとった。
ちらっと見てみると、タマが向かわせた二人が手で顔を覆ってのた打ち回っているのが見えた。
もう無力化したらしい。
手際のいいことだ。
「タマの勝ちー!」
「タマ、その二人はロープで縛っておいてくれ」
「あいあい! おいしいチャーシューを作るにはー、まずはお肉を縛りましょー♪」
ここへ向かう途中に、露店で丈夫そうなロープを購入して、何があっても大丈夫なように俺とタマの両方のストレージに入れてある。
買っといて良かった。
そしてタマはご機嫌な様子で縛り上げにかかる。
変な歌はきっと自作だろうけど、それは多分美味しくならないぞ。
「あっちは片がついたみたいだな」
「ちっ、自律型の相棒一匹くらい抑えられねぇのか」
「そりゃそうだ。うちのタマは最強だからな。お前なんか瞬殺間違いなしだぞ」
「うるせぇ! こうなったら本気でやってやらぁ! 後悔するんじゃねぇぞ!」
「こいやぁ!」
ミーガンは叫ぶと俺に突き付けていた鎌から手を離した。
鎌は地面に落ち、ない? 空中に浮いている。
さらに鎌が二つに増えた。
おいおい、そんなのありか。
「オレの相棒は≪飛翔≫と≪遠隔操作≫に加えて≪二本一対≫を取得してある。集中力がいるから常時は無理だが、この状態のオレと戦って生き残った奴はいねぇ!」
「どうせ初心者ばっかり狙ってる癖に、偉そうに言うんじゃねぇよボケ!」
「この、ぶっ殺してやらぁ!」
二つの鎌はミーガンの周りを飛んでいる。
ミーガンが迫ってきた。鎌と同時攻撃をしかけてくる気だな。
夜だからかなり見づらいんだけどどうにかなるか?
使えそうなアクティブスキルは無い。
≪無刀両断≫ならいけそうだけど、一撃でそのまま殺してもなんか味気ない。
きっとなんとかなるだろう。
「おらぁ!」
ミーガンの突き。
避ける。
鎌Aの攻撃。
避ける。
鎌Bの攻撃。
避ける。
俺の反撃。
剣で受けられた。
でも腹ががら空きだ。
蹴ってみた。
後ろには吹き飛んだけど全然効いてる気がしない。
そういえば格闘系の攻撃はダメージが5分の1になるんだっけ。
でも衝撃はそのままらしい。
鎌A? が後ろから飛んできた。
またしても後頭部に直撃した。
痛い。
切りかかったところで横から多分鎌Bがひとりでに切りかかってきた。
見えていたからぎりぎり避ける。
ああ鬱陶しい!
切りかかってきたミーガンの剣を剣で受けてそのまま左に流す。
その背後に隠れていた鎌が襲ってきた。
「とりゃあ!」
ミーガンを受け流した剣を切り返して、左下から思い切り振って鎌に叩きつけた。
ガリャアン! みたいな激しい音がしてマッスル☆タケダ作のショートソードが砕け散った。
力を込め過ぎたか……!
使いやすかったし、謝ってまた売ってもらおう。
武器を失った。
その代わりに、鎌も一つへし折ってやったぞ。
操作出来なくなったのか、壊れた鎌はぽとりと地面に落ちた。
「オレの相棒が! よくもやりやがったなてめぇ!」
「先に仕掛けてきてぐだぐだうるせぇ! こっちは怒ってるんだからな!」
ミーガンが切りかかってくる。
そういえばこいつの動きも妙に遅い。
本気出すって言ってなかったか?
まぁいいや。
あの鎌は鬱陶しいから先に片づけてしまおう。
そういえば使ってなかったスキルがあったな。
ミーガンの斜め後ろの地面に視線をやる。
そのまま一歩踏み出してみた。
「おお?」
「何っ!?」
すると、一歩歩いただけでミーガンは俺の後ろを走っていた。
ミーガンからは俺が消えたように見えただろう。
実際消えたのか? 分からない。
これが≪解放の左脚≫の効果か。
単純にワープだと思えばかなり便利そうだ。
「妙な技を使いやがって!」
反転して俺を追ってくるミーガン。
とりあえずこいつはどうでもいいや。
狙いは、俺の背後をとろうとしていた鎌。
そして一歩歩く。
「また消えた!?」
困惑してるミーガンは置いといて、目の前に鎌。
その鎌に向けて左手を翳す。
ミーガンが再び俺の姿を捉えて駆け出してるようだけ、どもう遅い。
ひとりでに殺人する恐怖の空飛ぶ鎌なんかぶっ壊してやる!
「無刀両断!」
スキルを発動すると、ミーガンの相棒は綺麗に真っ二つに切断されて地面に落ちた。
「ああああああああ!!」
「相棒は死んだ。次はお前の番だ!」
さあて、どう料理してやろうか。
10
お気に入りに追加
1,205
あなたにおすすめの小説
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる