28 / 338
27 初テイムと初進化
しおりを挟むストーレの街を南に出た場所、ストーレフィールド05。
時刻は夕方、17時を周ったところだ。
モグラとマッスル☆タケダに別れを告げて、オオカナヘビをテイムする為にここへやって来た。
メンバーは俺の相棒(パートナー)であるタマに、ミルキーも一緒に居る。
テイムというものを見てみたいそうだ。
その手にはオオカナヘビの皮手袋が装備されている。
喜んでもらえて良かった。
相変わらずこのエリアに通うプレイヤーの数は多い。
モグラが言うには、他の街にもプレイヤーは振り分けられているが、どこもこんな感じらしい。
この世界の時間は24倍の速さで流れてるんだから、もっとばらけても良いと思うんだけど。
まぁその内新規プレイヤーの追加も止まって落ち着くだろう。
さて、今日の獲物はオオカナヘビだ。
テイムしに来たんだから他のモンスターには目もくれない。
急がないと夜になって、オオカナヘビがいなくなってしまうしな。
夜行性な気がするんだけど、この世界ではそうではないようだ。
というわけで移動を開始する。
せっかく走れるようになったしと、軽く走ってみた。
タマは嬉しそうに隣を走る。タマにとっては歩くようなものだろうに。
後ろを向くとミルキーが遙か彼方にいた。
ついはしゃぎすぎてしまったらしい。
大人しく歩いて捜索を続ける。
新規プレイヤーがいっぱいいてもオオカナヘビは余ってるはずだ。
始めたばかりで戦うには、かなりの強敵だからな。
死んだら終わりのこの世界でよく分からない状態のまま、大きなトカゲみたいなモンスターに攻撃するのは中々出来ない。
しばらく歩いて、呑気に草むらに潜むオオカナヘビを発見した。
コインの使い方は簡単だ。
ストレージから出してオオカナヘビの鼻先に差し出す。
オオカナヘビがこっちに興味を示した。
頭を持ち上げてコインの匂いを嗅ぐ。
少しの間の後、コインをぱっくりと咥えてそのまま呑み込んだ。
「キュルッ」
短く鳴いたかと思うとオオカナヘビの身体が光った。
その光が収束するように縮んでいくと、コインだけが残されていた。
≪コイン:オオカナヘビ+≫
契約アイテム
魔力の封じられたコイン。
オオカナヘビが描かれている。
モンスターと契約を結んだ証。
オオカナヘビ召喚可能。
アイテムを拾って説明文を読んでみるに、契約は無事成功したらしい。
「テイム出来たんですか?」
「みたいですね」
「やったー! タマのペット!」
早速召喚してみるか。
使うと念じてコインを地面に放る。
地面に当たる瞬間に光が弾けてオオカナヘビが現れた。
「おいでーおいでー!」
「キュル」
タマがしゃがんで手を広げると、オオカナヘビは身体を左右に揺らして近寄って行った。
最初からある程度いうことを聞くらしい。
「よーしよしよしよし」
「こうして見ると可愛い顔してますね」
タマは怒涛の可愛がりを見せている。
ミルキーも眺めながら、恐る恐る背中を触ってみたりしている。
確かになんか愛くるしい感じの顔だ。
さて、ここで悩むことがある。
もう一枚のコインだ。
ここから更に南に行ったエリアの、場違いなモンスター。
偶然解き放ったタマが遭遇して短時間で討伐して、ドロップしていたらしいこのアイテム。
装備に使っても十分強いと思われる効果だ。
魔法耐性50%っていうのは魔法のダメージは半分になるし、状態異常にもかかる確率が半減するってことらしい。
売ったら高いのでは?
ぐぬぬ。
このゲームは相棒システムの影響か、育成関係に意味が分からないレベルで力が入っていて、テイムしたモンスターもそれなりにいじれるらしい。
戦力って意味ではタマがいれば足りてるんだが……。
よし。もうタマに聞こう。
拾ったのがタマなら倒したのもタマだ。
権利も判断も全部タマに丸投げしてしまえ。
責任だけは俺が持つから。
「タマ、この子がもっと強くなるって言ったらどう思う?」
「タマ超強いけど、おろし金も強くなると嬉しい! 一緒に戦ってモジャを守る!」
「そうかそうか、分かった。ありがとうな」
「へへ~」
タマの頭を撫でる。
よし、決まった。合成するぞ。
ちなみに、おろし金とはこのオオカナヘビの名前だ。鱗を逆に撫でるとすごく逆立ってすごくザラザラするからそう名付けたらしい。
「一旦コインに戻すぞ」
「はーい」
戻れ、と念じるとおろし金はコインになって俺の手の中に納まった。
これに、武者クワガタのコインを合成する。
近づけると、まるで液体のようにピタッとくっついた。
更に押し込むとどんどん一つになっていく。
そして一枚のコインが出来上がった。
≪コイン:鎧カナヘビ+≫
契約アイテム
魔力の封じられたコイン。
鎧カナヘビが描かれている。
モンスターと契約を結んだ証。
鎧カナヘビ召喚可能。
早速召喚してみた。
登場時のエフェクトに大きな差は無かった。
ただ、その姿は一目で分かる程変化していた。
大きさ自体が全長2m程に。
スマートな体型は変わらないが、身体全体がゴツゴツトゲトゲしている。
その名の通りまるで鎧を着ているみたいだ。
おろし金感も増している。
野菜どころかモンスターですら簡単に卸せそうだ
「おー! かっこいーぞおろし金ー!」
「キュル」
触ってみると結構固い。
半分凶器だな。
「ナガマサさん、これって……」
「あー、実はですね」
ミルキーに説明する。
武者クワガタいた。
タマ倒した。
コイン落ちた。
使った。
おろし金進化。
以上。
「やっぱりとんでもないですね」
何度目かの呆れ、そして苦笑。
ほんとタマはとんでもないやつだな!
こうして新しい仲間が加わった。
そういえば結局試せてないスキルがある。
夜にでも試してみるか。
このMAPなら危険もないだろう。
0
お気に入りに追加
1,181
あなたにおすすめの小説
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる