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第一章 同居スタート
幼馴染
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拓海は私の幼馴染。家も近所で小さい頃からずっと一緒に育ってきた。
拓海はサバサバした性格で顔も良いので男女共に人気者だ。そんな拓海と仲の良い芋女の私は、女子から妬みの対象に。
虐められている私を拓海が助けるが、それが逆効果。虐めがエスカレートしていった。それを見兼ねた兄が、拓海に言った。
『もう美羽とは関わらないでくれ』
と。拓海は兄の言いつけを守った。すると虐めは徐々に落ち着いていき、今では一人だが友人もいる——。
そんな拓海とバッタリ会った。レイラと魔王様と買い物の最中に。
「ぐ、偶然だね」
「その人たち誰?」
拓海が私の肩を掴んでいる魔王を睨んでいるような気がするのは気のせいか。そして、魔王はいつまで肩を掴んでいる。
魔王の手をペチペチと叩いてみると、魔王は手を離した。
「えっと……今うちでホームステイしてる人達」
「そっちの男も?」
やはり拓海は魔王を睨んでいる。私の代わりに魔王が応えた。
「そうだ。何か問題でも?」
拓海は至極不愉快そうな顔をして、私の手を引いた。
「美羽、ちょっと……」
レイラと魔王に聞こえない距離まで移動すると拓海が立ち止まったので、私は拓海に聞いた。
「どうしたの?」
「大丈夫なのか? 女の子は良いけど、あの男」
「大丈夫って?」
魔王だってバレた? いやいや、そんなはずはない。
拓海は頬を赤らめながら、恥ずかしそうに言った。
「いや……いかがわしいことされてないか? さっきも迫られてただろ」
「迫られてはないけど……」
いかがわしい妄想はされそうになった。
「でも、あの男の人は隣にいた金髪の子が好きなんだよ」
「そうなのか?」
納得のいっていない顔だが事実だ。嘘は言っていない。
「私、もう行くね」
「おぅ。あ、美羽、なんかあったらすぐに連絡しろよ。秒で駆けつけてやるから」
「何それ。拓海の癖に格好良いじゃん」
素直にそう言えば、拓海は私の髪をクシャクシャっとして言った。
「格好良いんだよ。じゃあな」
拓海はそのまま人混みに消えた。
「もう、髪ぐちゃぐちゃになっちゃったじゃん」
髪を整えながらレイラと魔王の元へ向かうと、レイラが目を輝かせながら聞いてきた。
「誰ですの!? 美羽はあの方とお付き合いしているのですか?」
「幼馴染の拓海。付き合ってはないよ。最近は話もしてないし」
「そうなのですね。美羽の恋愛話が聞けるかと楽しみでしたのに、残念ですわ」
「俺に敵意剥き出しだったが……」
魔王も気付いていたのか。そりゃ気付くか。
「なんか誤解してたみたい。しっかり説明しといたから大丈夫だと思うよ。それに、多分もう会わないだろうし」
拓海とは家は近いが、高校も別のクラスでほぼ会うことはない。すれ違っても最近は挨拶すらしていない。
「もう良いじゃん。買い物の続きしよ!」
◇◇◇◇
買い物を済ませ、帰りにアイスを食べながら帰路についた。
「汗びっしょりだね。レイラ、先にお風呂入ろう」
「そうですわね。さすがにベタベタですわ」
私とレイラが口々に言うと、魔王がお風呂を沸かしてくれた。
「ありがとう」
「服を買って貰ったからな」
「魔王様、嬉しそうだね」
安いセール品なので申し訳なく思いながらも、喜んでもらえたなら買った甲斐があると言うものだ。
「美羽からの初めてのプレゼントだからな。大切に毎日着るよ」
爽やかに笑う魔王を見て、私はボンッと頭から湯気が出そうになった。
「魔王様、そういうのは好きな女性に言うセリフ! レイラに言ってあげて」
「でも、買ってくれたの美羽だし。美羽も好きだから良いだろ」
「もう、魔王様ってば。レイラ、お風呂入ろう」
あんなに自然と好きだと言われたら勘違いしてしまいそうになる。魔王は女性を何人も泣かせてきたに違いない——。
早速お風呂に入り、私はレイラの髪を洗っている。
「レイラ、後は髪の毛だけだね」
「これも美羽の指導の賜物ですわ」
「はは、指導って程じゃないけどね」
レイラは、うちに来た当初は私が全身くまなく洗っていた。しかし、今では体は自分で洗えるようになった。
髪は長いのもあって洗い残しがある為、仕上げに私が洗っている。
私はレイラの髪の毛にトリートメントを付けながら、ふと疑問に思ったことを口にした。
「レイラは、魔王様のことどう思ってるの?」
「どう、とは?」
「魔王様はレイラのこと大好きだけど、レイラの気持ち聞いた事なかったなって思って」
レイラは悩んでいるのか、暫く沈黙が続いた。トリートメントを流し終えると、レイラが口を開いた。
「わたくしは……よく分かりませんわ。政略結婚が普通でしたので、恋愛というものがよく分かりません。わたくしが魔王様と結婚しなければならないのなら結婚するまでですが」
「そっか。ここは自由だから誰と恋愛しても良いんだよ。レイラにも好きな相手が見つかると良いね!」
「はい」
レイラはにっこり笑顔で返事をすると、ちゃぽんと湯船に浸かった。
魔王には悪いが、私はレイラの味方だ。レイラに好きな相手が見つかれば全力で応援する。元の世界に戻すつもりはない。
ただし、もしもレイラが好きになる相手が魔王なら私は潔くレイラとお別れしよう。
そんなことを考えながら、頭をわしゃわしゃと洗った。
拓海はサバサバした性格で顔も良いので男女共に人気者だ。そんな拓海と仲の良い芋女の私は、女子から妬みの対象に。
虐められている私を拓海が助けるが、それが逆効果。虐めがエスカレートしていった。それを見兼ねた兄が、拓海に言った。
『もう美羽とは関わらないでくれ』
と。拓海は兄の言いつけを守った。すると虐めは徐々に落ち着いていき、今では一人だが友人もいる——。
そんな拓海とバッタリ会った。レイラと魔王様と買い物の最中に。
「ぐ、偶然だね」
「その人たち誰?」
拓海が私の肩を掴んでいる魔王を睨んでいるような気がするのは気のせいか。そして、魔王はいつまで肩を掴んでいる。
魔王の手をペチペチと叩いてみると、魔王は手を離した。
「えっと……今うちでホームステイしてる人達」
「そっちの男も?」
やはり拓海は魔王を睨んでいる。私の代わりに魔王が応えた。
「そうだ。何か問題でも?」
拓海は至極不愉快そうな顔をして、私の手を引いた。
「美羽、ちょっと……」
レイラと魔王に聞こえない距離まで移動すると拓海が立ち止まったので、私は拓海に聞いた。
「どうしたの?」
「大丈夫なのか? 女の子は良いけど、あの男」
「大丈夫って?」
魔王だってバレた? いやいや、そんなはずはない。
拓海は頬を赤らめながら、恥ずかしそうに言った。
「いや……いかがわしいことされてないか? さっきも迫られてただろ」
「迫られてはないけど……」
いかがわしい妄想はされそうになった。
「でも、あの男の人は隣にいた金髪の子が好きなんだよ」
「そうなのか?」
納得のいっていない顔だが事実だ。嘘は言っていない。
「私、もう行くね」
「おぅ。あ、美羽、なんかあったらすぐに連絡しろよ。秒で駆けつけてやるから」
「何それ。拓海の癖に格好良いじゃん」
素直にそう言えば、拓海は私の髪をクシャクシャっとして言った。
「格好良いんだよ。じゃあな」
拓海はそのまま人混みに消えた。
「もう、髪ぐちゃぐちゃになっちゃったじゃん」
髪を整えながらレイラと魔王の元へ向かうと、レイラが目を輝かせながら聞いてきた。
「誰ですの!? 美羽はあの方とお付き合いしているのですか?」
「幼馴染の拓海。付き合ってはないよ。最近は話もしてないし」
「そうなのですね。美羽の恋愛話が聞けるかと楽しみでしたのに、残念ですわ」
「俺に敵意剥き出しだったが……」
魔王も気付いていたのか。そりゃ気付くか。
「なんか誤解してたみたい。しっかり説明しといたから大丈夫だと思うよ。それに、多分もう会わないだろうし」
拓海とは家は近いが、高校も別のクラスでほぼ会うことはない。すれ違っても最近は挨拶すらしていない。
「もう良いじゃん。買い物の続きしよ!」
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買い物を済ませ、帰りにアイスを食べながら帰路についた。
「汗びっしょりだね。レイラ、先にお風呂入ろう」
「そうですわね。さすがにベタベタですわ」
私とレイラが口々に言うと、魔王がお風呂を沸かしてくれた。
「ありがとう」
「服を買って貰ったからな」
「魔王様、嬉しそうだね」
安いセール品なので申し訳なく思いながらも、喜んでもらえたなら買った甲斐があると言うものだ。
「美羽からの初めてのプレゼントだからな。大切に毎日着るよ」
爽やかに笑う魔王を見て、私はボンッと頭から湯気が出そうになった。
「魔王様、そういうのは好きな女性に言うセリフ! レイラに言ってあげて」
「でも、買ってくれたの美羽だし。美羽も好きだから良いだろ」
「もう、魔王様ってば。レイラ、お風呂入ろう」
あんなに自然と好きだと言われたら勘違いしてしまいそうになる。魔王は女性を何人も泣かせてきたに違いない——。
早速お風呂に入り、私はレイラの髪を洗っている。
「レイラ、後は髪の毛だけだね」
「これも美羽の指導の賜物ですわ」
「はは、指導って程じゃないけどね」
レイラは、うちに来た当初は私が全身くまなく洗っていた。しかし、今では体は自分で洗えるようになった。
髪は長いのもあって洗い残しがある為、仕上げに私が洗っている。
私はレイラの髪の毛にトリートメントを付けながら、ふと疑問に思ったことを口にした。
「レイラは、魔王様のことどう思ってるの?」
「どう、とは?」
「魔王様はレイラのこと大好きだけど、レイラの気持ち聞いた事なかったなって思って」
レイラは悩んでいるのか、暫く沈黙が続いた。トリートメントを流し終えると、レイラが口を開いた。
「わたくしは……よく分かりませんわ。政略結婚が普通でしたので、恋愛というものがよく分かりません。わたくしが魔王様と結婚しなければならないのなら結婚するまでですが」
「そっか。ここは自由だから誰と恋愛しても良いんだよ。レイラにも好きな相手が見つかると良いね!」
「はい」
レイラはにっこり笑顔で返事をすると、ちゃぽんと湯船に浸かった。
魔王には悪いが、私はレイラの味方だ。レイラに好きな相手が見つかれば全力で応援する。元の世界に戻すつもりはない。
ただし、もしもレイラが好きになる相手が魔王なら私は潔くレイラとお別れしよう。
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