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第八章 逆ハーレムまっしぐら
転生者ごっこは続く……
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季節は一巡し、翌年の寒い寒い季節。
「勇者様、この度はこんな辺境の地まで遥々ありがとうございました」
「いえいえ」
「流石SSランクの勇者様ですね」
「へへ」
「オリヴァーは良いよな。俺なんてまだS止まりだぜ?」
「でもさ、闇魔法使えなくなったのにSSのままで良いのかな? 多分これ、光と闇を同時に扱えてたからだよ」
俺はノエルの望み通りSSランクに成り上がった。ついでに逆ハーレムも完成した。
闇魔法……主に転移が便利なのと、みーちゃんに愛着が湧いていた。メレディスとも仲良くやっており、他の仲間も『妾』認定された事で愛を育むことが出来るようになった。この際、刻印を消さなくても良いかなと思っていた。
しかし、メレディス以外は不服を申し立てていた。何故なら、刻印がある以上、あくまでもメレディスが本命で他は『妾』という立ち位置に成り下がってしまうから。
なので、今の俺は刻印は綺麗さっぱり消えて闇魔法も使えなくなった。闇魔法を使えない今、再鑑定をしてもらった方が良いのではないかと思っている——。
「別に誰も困らないから再鑑定なんてしなくて良いんじゃない? 一目置かれる存在って大事だしさ」
「リアム殿下の言う通りだよ。それにオリヴァーなら闇魔法使えなくてもSSだよ。なんたって主人公なんだから」
エドワードが一冊の本を取り出した。
「それって、まさか……って、みんな持ってんの!?」
それはノエルが完成させたBL満載の俺の冒険記録。皆がペラペラと頁をめくりながら口々に言った。
「まさかオリヴァーは最初から俺の事好きだったなんてな。気付かなくて悪かったな」
「ジェラルド、違うから……」
「もっと早く言ってくれたら良かったのに。毎晩普通に隣で寝ちゃったじゃん」
「リアム、普通に寝て良いんだよ」
「何か僕とのシーンが少なめだよね。嫉妬しちゃうな」
「それを言うならエドワード。オレなんて途中からだから半分くらいしか書かれてないぜ」
「もう、それ恥ずかしいから捨ててよ。ノエルも何部刷ってんの」
この調子なら、きっとメレディスと魔王にも渡しているはず。後でこっそり回収して回ろう、そう思っていたら……。
「先月、遂に百万部のベストセラー入りを果たしましたわ」
「百万部!?」
「やはり、イアン殿下を秒で倒したのが功を奏したのでしょう」
「父上も秒で倒してたもんね」
——他国の王らや自国の民の前でイアンを秒で倒した後、割れんばかりの拍手喝采が沸き起こった。そんな時、王家の沽券に関わると言って国王自らが前に出てきたのだ。
『息子はまだまだ未熟なのだ。そんな息子に勝ったからって良い気になるなよ。私が相手だ』
国王もイアンも本来なら相当な魔力量を持っており、剣と魔法あらゆる訓練を受けて本来は強いのだ。しかし、俺は無詠唱で魔法が出せる。そこが一番の決め手だったかもしれない。国王も呆気なく倒れた。
またもや拍手喝采の嵐だ。ただ、そこで問題が生じた。
『王家がこんなに弱くて大丈夫? 相手、子供だよ』
自国の民から不安の声が次々と発せられ、闘技場内が一変、不安の色に染まった。
そこでリアムが前に出た。シンと静まり返った闘技場で、堂々と言った。
『ここにいる勇者オリヴァー・ブラウンは将来、私の伴侶になる者だ。我が国も私の妃が守ってくれる』
そこにいる皆が呆気に取られている。だって、俺は男だから。
『男が男と結婚して何が悪いの?』
リアムがニコリと微笑めば、静まり返っていた闘技場内が沸いた。
恋愛・結婚における概念を覆した瞬間だった。そしてそれは、リアムが王になる未来が見えた瞬間でもあった——。
シュッ。
目の前にメレディスが現れた。
「任務は終わったか? エドワードは次、座学の授業だろう?」
「あ、そうだった。あの講師、遅れると煩いんだよ」
俺達は冒険を続けているが、この春からエドワードは学園に通っている。時間が空いたらこうやってメレディスに転移で送迎してもらいながら任務に参加しているのだ。
「エドワードも大変だね」
「少しでもオリヴァーと一緒にいたいからね」
「はは……みんなって言ってあげてよ」
苦笑を浮かべていると、メレディスとエドワードの姿が消えた……と、思ったらメレディスに後ろからギュッと抱きしめられた。
「疲れただろう? 温泉に入りに行こう」
「メレディス、温泉好きだよね」
「汝が私の為に自ら脱ぐのは温泉の時くらいだからな」
「メレディスの為じゃないし」
溜め息を吐いていると、ジェラルドがメレディスを俺から引き剥がした。
「メレディスはさっさと魔界帰れよ」
「帰るわけないだろう。有給休暇はたったの十年しかないのだ。貴重な時間を無駄には出来ない」
そう、メレディスは有給休暇中。魔界から逃げる時に魔王とメレディスが賭けをした。無事に俺を人間界まで送り届けることが出来れば十年の有給休暇を与えると。
なので、メレディスは自由気ままに俺の近くにいつもいる。冒険が終われば、キースと共に俺の侍従になると意気込んでいるようだ。
ちなみに、メレディスが手伝わない分、魔王の仕事量が多い。故に魔王は俺の元にあまり現れない。ただ、会えない反動もあって、会った時の愛されっぷりは言うまでもない。
「仮に人間界では一夫多夫制になるとして、人間界と魔界の妃を同時に務めるなんて出来ないのにね」
ポツリと呟けば、リアムが言った。
「そこはちゃんと考えてるから大丈夫だよ」
「え、どうするの?」
「それは追い追いね」
気になる……気にはなるが、聞かない方が身の為な気もする。
とにもかくにも、様々な異名はあるもののノエルが望んだ勇者、それも『世界最強の勇者』とまで呼ばれるようになった。そして、俺を中心としたBLの世界も現実と化した。
これでノエルの転生者ごっこも幕を閉じる。そう思ったのも束の間、ノエルが言った。
「次は学園モノですわね」
「は?」
「既に逆ハールートコンプ致しましたので、それに引き続く何かが巻き起こるはずですわ。ふふ、楽しみですわね」
皆様、次は学園モノらしいです。
おしまい。
「勇者様、この度はこんな辺境の地まで遥々ありがとうございました」
「いえいえ」
「流石SSランクの勇者様ですね」
「へへ」
「オリヴァーは良いよな。俺なんてまだS止まりだぜ?」
「でもさ、闇魔法使えなくなったのにSSのままで良いのかな? 多分これ、光と闇を同時に扱えてたからだよ」
俺はノエルの望み通りSSランクに成り上がった。ついでに逆ハーレムも完成した。
闇魔法……主に転移が便利なのと、みーちゃんに愛着が湧いていた。メレディスとも仲良くやっており、他の仲間も『妾』認定された事で愛を育むことが出来るようになった。この際、刻印を消さなくても良いかなと思っていた。
しかし、メレディス以外は不服を申し立てていた。何故なら、刻印がある以上、あくまでもメレディスが本命で他は『妾』という立ち位置に成り下がってしまうから。
なので、今の俺は刻印は綺麗さっぱり消えて闇魔法も使えなくなった。闇魔法を使えない今、再鑑定をしてもらった方が良いのではないかと思っている——。
「別に誰も困らないから再鑑定なんてしなくて良いんじゃない? 一目置かれる存在って大事だしさ」
「リアム殿下の言う通りだよ。それにオリヴァーなら闇魔法使えなくてもSSだよ。なんたって主人公なんだから」
エドワードが一冊の本を取り出した。
「それって、まさか……って、みんな持ってんの!?」
それはノエルが完成させたBL満載の俺の冒険記録。皆がペラペラと頁をめくりながら口々に言った。
「まさかオリヴァーは最初から俺の事好きだったなんてな。気付かなくて悪かったな」
「ジェラルド、違うから……」
「もっと早く言ってくれたら良かったのに。毎晩普通に隣で寝ちゃったじゃん」
「リアム、普通に寝て良いんだよ」
「何か僕とのシーンが少なめだよね。嫉妬しちゃうな」
「それを言うならエドワード。オレなんて途中からだから半分くらいしか書かれてないぜ」
「もう、それ恥ずかしいから捨ててよ。ノエルも何部刷ってんの」
この調子なら、きっとメレディスと魔王にも渡しているはず。後でこっそり回収して回ろう、そう思っていたら……。
「先月、遂に百万部のベストセラー入りを果たしましたわ」
「百万部!?」
「やはり、イアン殿下を秒で倒したのが功を奏したのでしょう」
「父上も秒で倒してたもんね」
——他国の王らや自国の民の前でイアンを秒で倒した後、割れんばかりの拍手喝采が沸き起こった。そんな時、王家の沽券に関わると言って国王自らが前に出てきたのだ。
『息子はまだまだ未熟なのだ。そんな息子に勝ったからって良い気になるなよ。私が相手だ』
国王もイアンも本来なら相当な魔力量を持っており、剣と魔法あらゆる訓練を受けて本来は強いのだ。しかし、俺は無詠唱で魔法が出せる。そこが一番の決め手だったかもしれない。国王も呆気なく倒れた。
またもや拍手喝采の嵐だ。ただ、そこで問題が生じた。
『王家がこんなに弱くて大丈夫? 相手、子供だよ』
自国の民から不安の声が次々と発せられ、闘技場内が一変、不安の色に染まった。
そこでリアムが前に出た。シンと静まり返った闘技場で、堂々と言った。
『ここにいる勇者オリヴァー・ブラウンは将来、私の伴侶になる者だ。我が国も私の妃が守ってくれる』
そこにいる皆が呆気に取られている。だって、俺は男だから。
『男が男と結婚して何が悪いの?』
リアムがニコリと微笑めば、静まり返っていた闘技場内が沸いた。
恋愛・結婚における概念を覆した瞬間だった。そしてそれは、リアムが王になる未来が見えた瞬間でもあった——。
シュッ。
目の前にメレディスが現れた。
「任務は終わったか? エドワードは次、座学の授業だろう?」
「あ、そうだった。あの講師、遅れると煩いんだよ」
俺達は冒険を続けているが、この春からエドワードは学園に通っている。時間が空いたらこうやってメレディスに転移で送迎してもらいながら任務に参加しているのだ。
「エドワードも大変だね」
「少しでもオリヴァーと一緒にいたいからね」
「はは……みんなって言ってあげてよ」
苦笑を浮かべていると、メレディスとエドワードの姿が消えた……と、思ったらメレディスに後ろからギュッと抱きしめられた。
「疲れただろう? 温泉に入りに行こう」
「メレディス、温泉好きだよね」
「汝が私の為に自ら脱ぐのは温泉の時くらいだからな」
「メレディスの為じゃないし」
溜め息を吐いていると、ジェラルドがメレディスを俺から引き剥がした。
「メレディスはさっさと魔界帰れよ」
「帰るわけないだろう。有給休暇はたったの十年しかないのだ。貴重な時間を無駄には出来ない」
そう、メレディスは有給休暇中。魔界から逃げる時に魔王とメレディスが賭けをした。無事に俺を人間界まで送り届けることが出来れば十年の有給休暇を与えると。
なので、メレディスは自由気ままに俺の近くにいつもいる。冒険が終われば、キースと共に俺の侍従になると意気込んでいるようだ。
ちなみに、メレディスが手伝わない分、魔王の仕事量が多い。故に魔王は俺の元にあまり現れない。ただ、会えない反動もあって、会った時の愛されっぷりは言うまでもない。
「仮に人間界では一夫多夫制になるとして、人間界と魔界の妃を同時に務めるなんて出来ないのにね」
ポツリと呟けば、リアムが言った。
「そこはちゃんと考えてるから大丈夫だよ」
「え、どうするの?」
「それは追い追いね」
気になる……気にはなるが、聞かない方が身の為な気もする。
とにもかくにも、様々な異名はあるもののノエルが望んだ勇者、それも『世界最強の勇者』とまで呼ばれるようになった。そして、俺を中心としたBLの世界も現実と化した。
これでノエルの転生者ごっこも幕を閉じる。そう思ったのも束の間、ノエルが言った。
「次は学園モノですわね」
「は?」
「既に逆ハールートコンプ致しましたので、それに引き続く何かが巻き起こるはずですわ。ふふ、楽しみですわね」
皆様、次は学園モノらしいです。
おしまい。
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感想ありがとうございます!
こんなに読んで頂けて嬉しいです✨
寂しいことに残り3話で完結予定なんです😭
最後までお付き合い頂けると幸いです🙇♀️
ファーストキス、甘かったんだねw
私、メレディス推しなのでちょっと嬉しかったです!
いつもありがとうございます!
メレディス推しなんですね😊
勘違いしやすいですが、強いし守ってくれるしで、頼りになる旦那さんですよね笑
引き続き応援宜しくお願いします🙇