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第七章 人間界侵略回避
騎士の協力
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魔物が降ってきてから約三時間。
アルフォード辺境伯領を守る騎士らも参戦し、随分と魔物の数も減ってきた。それでもまだ半分くらいだが。
「キース大丈夫? 聖水まだある?」
「ああ、残り一本だ」
言わずもがな、魔物は雑魚から倒れていく。故に残っている魔物は中級から上級ばかり。そんな中、聖水一本で大丈夫だろうか。
パカラパカラ……。
馬が駆けてくる音がして振り返ると、一人の騎士が俺の前で停まった。
「オリヴァー殿、数十名程重症者はいましたが、聖水で命は無事です。領地内の民の避難は無事終わったかと」
「ありがとう。エリオット」
「いえ、御礼を言うのは私共の方です」
——この騎士エリオットは、聖水を作った時に俺達を見ていた騎士だ。あの後すぐに話かけられた。しかも、突然両手を握られた。
『勇者様ですよね! お噂は予々伺っております』
『噂?』
『何でも各地で村人を救って回っていると、王都にいるヒューゴ副団長から』
なるほど。ヒューゴが弟子自慢をして回っているのか。
『私はこの領地で団長をしておりますエリオット・アルフォードと申します』
『アルフォードって……辺境伯の!?』
『ええ、私は次男ですが。此度は何故こんな辺境の地へ?』
『えっと……』
『僕から説明するよ』
リアムが代わりに魔王からの手紙の件を話した。
暫しの沈黙があり、エリオットは敬礼した。
『分かりました。直ちに警戒体制をとります』
『信じてくれるんですか?』
『仮に嘘情報ならそれはそれで良いんです。ただ、それが事実だった時、嘘だと思って行動せず民を……国を守り切れなかった時、私共は後悔しか残りませんから』
騎士って格好良いなと、改めて思った瞬間だった——。
「では、私も戦闘に加わりますね」
エリオットは爽やかな笑顔を向けた後、馬で駆けながらマンティコアの首を切り落とした。
「うわー、エリオット、あれ普通に斬っちゃったよ」
素直に感想を言えば、キースが苦笑を浮かべた。
「オリヴァー、お前マンティコアの顔が人っぽいから何となく避けてただろ」
「分かってた? 斬ろうとしたらジッと見られてさ、人喰いって聞いてたけど襲ってこないから後回しにしてた……ひッ!」
エリオットの斬ったマンティコアの頭がコロンと転がって、こちらをじっと見て来た。
「これ、死んでるよね?」
「多分な」
ジェラルドが見たら恐怖で辺り一面氷漬けになっていることだろう。それはそれで早く魔物が倒せて好都だが。
恐ろしいので、ひとまずマンティコアを浄化しておいた。そして、上空を見上げた。
「よし、上の敵はみーちゃんに任せよう。みーちゃん出ておいで」
「キィ」
みーちゃんが撫でてと言わんばかりに頭を下げて来たので撫でると、嬉しそうに黒い玉を口から何個も放出して辺りの敵を一掃した。
「敵を倒してくれるのは嬉しいけど、キースが死んだらどうするの!」
みーちゃんの攻撃はキースにも当たり、キースはそれを一身に受け止めていた。キースは気絶していた。
「みーちゃんは上の敵倒してきて!」
みーちゃんはしょんぼりした様子で上空へ飛んだ。
「キース、大丈夫? みーちゃんがごめんね」
キースに治癒魔法をかけると薄っすら目を開けた。
「ああ、サンキュー。おかげで強いカウンターが出せそうだ」
「まさか、わざと避けなかったの?」
キースに目を逸らされた。図星のようだ。
これがあるから聖水を持たせていても、俺とタッグを組んだのだ。
キースのカウンターは、わざわざ体で受け止めなくても魔石入りの剣で受け止めればカウンターが出せる。
剣で受け止め切れない強い攻撃は避けるように言い聞かせているのに、それでも避けずに一身に受け止めるキースの癖は中々直らない。むしろわざとしている。
「次やったら治癒魔法かけないよ」
「悪かったって。そんな怒んなよ」
「わッ」
キースに思い切り腕を引っ張られ、キースの胸にダイブした。
「危ねー、もうちょっとでウチの大事なお姫様に傷が付くとこだったぜ」
「何々? 何が起きたの?」
「アイツが突っ込んで来たんだよ」
キースの指の先にはユニコーンがいた。
「あ、ありがとう」
御礼を言って立ちあがろうとすれば、背後から声がした。
「おい、貴様ら早く離れろ」
声にびっくりしてバランスを崩したものだから再度キースの胸にダイブした。
「大丈夫か?」
「あ、うん。それより、この声……」
後ろを振り向けば、魔王が立っていた。ついでに額に青筋を浮かべたメレディスも立っている。
アルフォード辺境伯領を守る騎士らも参戦し、随分と魔物の数も減ってきた。それでもまだ半分くらいだが。
「キース大丈夫? 聖水まだある?」
「ああ、残り一本だ」
言わずもがな、魔物は雑魚から倒れていく。故に残っている魔物は中級から上級ばかり。そんな中、聖水一本で大丈夫だろうか。
パカラパカラ……。
馬が駆けてくる音がして振り返ると、一人の騎士が俺の前で停まった。
「オリヴァー殿、数十名程重症者はいましたが、聖水で命は無事です。領地内の民の避難は無事終わったかと」
「ありがとう。エリオット」
「いえ、御礼を言うのは私共の方です」
——この騎士エリオットは、聖水を作った時に俺達を見ていた騎士だ。あの後すぐに話かけられた。しかも、突然両手を握られた。
『勇者様ですよね! お噂は予々伺っております』
『噂?』
『何でも各地で村人を救って回っていると、王都にいるヒューゴ副団長から』
なるほど。ヒューゴが弟子自慢をして回っているのか。
『私はこの領地で団長をしておりますエリオット・アルフォードと申します』
『アルフォードって……辺境伯の!?』
『ええ、私は次男ですが。此度は何故こんな辺境の地へ?』
『えっと……』
『僕から説明するよ』
リアムが代わりに魔王からの手紙の件を話した。
暫しの沈黙があり、エリオットは敬礼した。
『分かりました。直ちに警戒体制をとります』
『信じてくれるんですか?』
『仮に嘘情報ならそれはそれで良いんです。ただ、それが事実だった時、嘘だと思って行動せず民を……国を守り切れなかった時、私共は後悔しか残りませんから』
騎士って格好良いなと、改めて思った瞬間だった——。
「では、私も戦闘に加わりますね」
エリオットは爽やかな笑顔を向けた後、馬で駆けながらマンティコアの首を切り落とした。
「うわー、エリオット、あれ普通に斬っちゃったよ」
素直に感想を言えば、キースが苦笑を浮かべた。
「オリヴァー、お前マンティコアの顔が人っぽいから何となく避けてただろ」
「分かってた? 斬ろうとしたらジッと見られてさ、人喰いって聞いてたけど襲ってこないから後回しにしてた……ひッ!」
エリオットの斬ったマンティコアの頭がコロンと転がって、こちらをじっと見て来た。
「これ、死んでるよね?」
「多分な」
ジェラルドが見たら恐怖で辺り一面氷漬けになっていることだろう。それはそれで早く魔物が倒せて好都だが。
恐ろしいので、ひとまずマンティコアを浄化しておいた。そして、上空を見上げた。
「よし、上の敵はみーちゃんに任せよう。みーちゃん出ておいで」
「キィ」
みーちゃんが撫でてと言わんばかりに頭を下げて来たので撫でると、嬉しそうに黒い玉を口から何個も放出して辺りの敵を一掃した。
「敵を倒してくれるのは嬉しいけど、キースが死んだらどうするの!」
みーちゃんの攻撃はキースにも当たり、キースはそれを一身に受け止めていた。キースは気絶していた。
「みーちゃんは上の敵倒してきて!」
みーちゃんはしょんぼりした様子で上空へ飛んだ。
「キース、大丈夫? みーちゃんがごめんね」
キースに治癒魔法をかけると薄っすら目を開けた。
「ああ、サンキュー。おかげで強いカウンターが出せそうだ」
「まさか、わざと避けなかったの?」
キースに目を逸らされた。図星のようだ。
これがあるから聖水を持たせていても、俺とタッグを組んだのだ。
キースのカウンターは、わざわざ体で受け止めなくても魔石入りの剣で受け止めればカウンターが出せる。
剣で受け止め切れない強い攻撃は避けるように言い聞かせているのに、それでも避けずに一身に受け止めるキースの癖は中々直らない。むしろわざとしている。
「次やったら治癒魔法かけないよ」
「悪かったって。そんな怒んなよ」
「わッ」
キースに思い切り腕を引っ張られ、キースの胸にダイブした。
「危ねー、もうちょっとでウチの大事なお姫様に傷が付くとこだったぜ」
「何々? 何が起きたの?」
「アイツが突っ込んで来たんだよ」
キースの指の先にはユニコーンがいた。
「あ、ありがとう」
御礼を言って立ちあがろうとすれば、背後から声がした。
「おい、貴様ら早く離れろ」
声にびっくりしてバランスを崩したものだから再度キースの胸にダイブした。
「大丈夫か?」
「あ、うん。それより、この声……」
後ろを振り向けば、魔王が立っていた。ついでに額に青筋を浮かべたメレディスも立っている。
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