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11話 美麗の薬

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「いらっしゃい。レインの店へようこそ。」
「あの、ここに来れば願いが叶うって聞いたんですけど」
「内容によるね。おーい、ナーガ。部屋の準備よろしく。フェルトラはお茶お願いしていい?」
「悪魔使いが荒いんだよ!」
「お茶な。分かった」

 フェルトラが従業員として働くようになり3日経っていた。
 悪魔をずっと悪魔と呼ぶわけにもいかず名前をつけたのだが本人は気に入っているらしい。
 元々は嫌がりそうな名前にしたかったのだが効果がなかったのだ。

「君の願いはどんな願いなんだい?」
「えーとですね。モテたいんです。そのための商品とかあったりは……」
「モテたいのかぁ。モテても意味ないと思うけどね」
「ど、どうしてそんな事言うんですか!?私は本気なんです!綺麗になって見返したいんです」
「つまり半分復讐もしくはざまぁ狙いなんだね」

 フェルトラはなんだかレインが面白くなさそうな顔をしているなと思った。

「お茶。どうぞ」
「あ、ありが……王太子殿下!?」
「気の所為」

 この会話はお客との間でよくある話題のためフェルトラは面倒くさくなりすべてを気の所為にしている。

「普通に自分磨きのほうが良いと思うよ。服を変えてみたり、化粧の仕方を変えたりしてね。後は短所とか直せれば完璧だよ」
「それが難しいから来てるんですって」
「うーん、無いこともないかな。美麗の薬があるよ。これはね、のむと0時きっかりまで周りの人に男女構わずきれいだと美人だと思わせるんだ。まぁ、耐性のある人にはあまり、効かないけどね」
「それください!!」
「注意するよ…。薬の替えはないからね。見た目だけ見てもいいことはないよ」
「なんですか?売ってくれないんですか!?」
「いや、お買い上げありがとう」

 女性の客はウキウキで返って行ったのだった。
 レインは少し目を細め疲れたようにお茶を飲み干し、溜息をついた。

「珍しいな。レインが注意するとか」
「厄介だよ。あぁゆう客はね、本質を見ようとしないから気づいたときには大事なものを失ってしまうんだよ。言ってないんだけどね、さっきの薬は飲めば飲むほど効果が強くなるんだよ。」
「間違った使い道とかしなきゃいいな」

 サーガは首を傾げて、フェルトラとレインはお互いの顔を見合い溜息をついたのだった。

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