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〜悪魔は悪魔の場所に カードは悩みながら進む〜

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    私達は、また私の部屋に戻った。プレイングルームから部屋に着くまで、誰一人として何も言わなかった。

「じゃあ、順番に言おう。まず、俺から。
洋仁(ひろと)の言う通り、人1人分位のドアがあった。足元に正方形のボタンがあったんだが、それ踏んでみたらEnterとか数字の羅列が出てきた。」
    淡々とあいつは言いながら、真剣な顔で堅い言葉ばかりを自ら言ってる。

「それと、1つ気になった事がある。俺らが隠しドアを探してる時、バーテンダーも使用人も誰一人声をかけられなかった。
それが気になるんだけど……もう分からねぇ!」
    重い空気を急に破って悶えてる。その時に、コンコンと乾いた音がした。

「失礼致します。
お茶をお持ち致しました。良ければ、お飲み下さい。」
朝来た白いメイドさん(多分同じ人達)が、綺麗に装飾されてるワゴンに紅茶とジュース、お菓子を持って来てくれた。

「は、はい!ありがとう、ございます。
あの、ジュースを貰ってもいいですか?」
    私、引きこもりニートにとって、紅茶という物は飲まないというか、飲めない!
    皆も、ジュースや紅茶、コーヒーを貰ってた。

「お菓子はこちらに置きますね。
では、失礼致しました。」
    コツコツと、静かに音を鳴らして本棚と机が一緒になってる机に置いてくれた。
    もう1人のメイドさんは、ベットの横にワゴンを止めてさっきのメイドさんと一緒に帰って行った。

「………で、陽向(ひなた)の気になった事なんだけど私も使用人さん達は少し気になってる。」
    私はさっきの事を思い出す。男のバーテンダーさんに質問していて、少し違和感があった。

「あ、次私だよね。
私達は、女の人と男の人で別れて質問したんだけど、何も分からなかったかな。
でも、少し疑問があるんだ。」
    そう言って、少しオレンジジュースを飲む。

「質問した物は皆分かってると思うんだけど、ほとんどの答えが『分かりません。』だったんだ。
でも、少し引っかかったのは館の場所を聞いた時だった。
私にはっきりと、分かりません。って言った事。その前は、『お答え出来ません。』って言ったからそう感じるのかもしれないんだけど、これだけはっきりと言ったから、少し気になる。」
    皆の空気が冷たくなった感じで、真剣な顔になった。洋仁は、少し「?」と頭を悩ませてて唯一の癒しだよ~!

「………私、いいですか?」
    淑(しと)さんが、手を挙げてこの空気を破った。淑さんは、私と同じグループで結果も私と同じ様だったし…、何か気になった事とかあったかな

「私は、鈴(りん)さんと同じバーテンダーの方に質問したんですけど、やっぱり結果は鈴さんと同じでした。
でも、私少し気になった事があるんです。」
    やっぱり、淑さんも緊張して敬語になりつつある。まぁ、淑さんが敬語混じりなのはずっとなんだけどね

「プレイングルームだけじゃなく、どこの部屋にも監視カメラが1台はあって、使用人さんに宝石みたいなのが付いてる事なんですよね。
ブローチとか、別に問題は無いと思うんですけど、前仕事に会ったお客様にアクセサリー型のカメラや、マイク、録音機色々な種類の物がある事を聞いたんです。」
    淑さんは、迷いながら言ってる様で少し俯いていた。でも、監視カメラとアクセサリー型の機械か…。やっぱり、私達の事を監視してるのか…

「なら、さっきのバーテンダーと使用人らの付けてる物は注意しておかないといけないという事だよな。
はぁ~!これ、脱出出来るのか?!難しすぎるだろ!」
    あいつは盛大にため息をついて言うと、腕組みをして考えてるようだった。

「あ、私思った事なんですが…いいですかね?」
    荊(けい)さんが、そう言って私達を見る。うん、ふわふわしてる感じがして、何故か受け入れやすい感じがする。
    私が頷くと、荊さんはホッとした様に話し始めた。

「えっと、私が思ったのって本当小さな事なんですが…、私は陽向さんと洋仁君のグループでした。
ドアを見つけた時に、数字の羅列とEnterがあったけど、暗証番号とかあるんですかね…?
今の状態だと、ヒントも進む場所も何も分かってない状態なので、私達は今の所何も進んでないと言ってもいい状態だと思うんです。」
    丁寧に荊さんは、そう言ってくれた。私は少し驚いたというか、気づかされた。
    何も進んでないし、何も分かってないじゃないか?!

    荊さんがそう言った後、リンリンと大きな鐘の音がした。多分メイドさんが来て、ご飯の時間と言いに来るんだろうな。
そんな事考えていると、コンコンと乾いた音がしてさっきのメイドさんが来た。

「失礼致します。御夕食の用意が出来ました。
こちら、片付けますね。」
    柔らかく言うメイドさんは、やっぱり白のメイドさんだ。何となく、分かってきた気がする。
私達はワゴンに洋仁が主に食べたお菓子の皿とコップを乗せて、メイドさんがワゴンを押していく所を見ていた。

「失礼しました。」
    カチャッとドアが静かに閉まって、シンとする部屋に洋仁がやっと喋りだした。

「ご飯、何かな?!鈴、早く行こ!!」
    うん。洋仁はいつも元気だね。和ませ上手だよ。私の手を取って、早く行こ!と言わんばかりに私の手を引っ張る。

「そうですね、皆さん行きましょう」
    荊さんはそう言うと、洋仁と話しながら会場に向かう。2人共もう仲良くなったのか、笑いながら喋ってて私からすると微笑ましくて、何だか安心した。



    会場に着くと、少し少なくなった感じがすると言うか、何かが無くなったような気がする皆がいた。
4人もここから居なくなってしまって、生きてるか分からない2人と、もう死んでしまった2人がいる中で楽しくワイワイと楽しめる人は、多分肝が座ってる人だと思う。

「……な、何食べる?
晩御飯も美味しそうだよ!」
    少しどんよりした空気から、逃げる様に洋仁に話しかける。でも、なんでこんな雰囲気になってるんだろ…

「あ!私、ビーフシチューとか食べたいです!洋仁君は何食べたい?」
    荊さんも、元気に言って洋仁に話しかけるけど洋仁は一点をずっと見ていた。

「ん?洋仁君、どうしたの?何かあった?」
    淑さんも疑問に思って洋仁と同じ方を見る。優しい雰囲気が似合う2人に囲まれて私は幸せです。なんて思いながら、私も見て見る。

    洋仁の目線には、モニターだった。何故かモニターの電源はついていて、そこにはハートのマークが大きく映されていた。

『あぁ、すみません。私とした事が…次の番の方を早とちりでスートをお見せしてしまいました。
皆様は、気にせずお食べ下さい。』
    いや、気にするわ!何言ってるんだ、ハート?次の番?それって、洋仁とか言わないよね…?
    誰かの叫び声が響く。なんだか、叫び声を何度も聞いてると慣れちゃうのかな…、驚かなくなってきた。慣れって怖いな…。
    って、そんな事はどうでもいいんだ!隣に居いる女の子がなだめてるみたいだけど、もしかして同い年の子なのかな?
    男の子が叫んだのか、半べそで泣いてるし多分さっきのハートを見て、自分のスートと一緒だったから怖くなったんだな…。うん。私でも怖くなるよ、洋仁が泣かなかったのがびっくりしちゃう。

「ひ、洋仁…、大丈夫?
スートが一緒だけで、数字は映されてなかったし気にしないでご飯食べよ?」
    私は洋仁の慎重に合わせてしゃがんで言うと、洋仁は震える手を隠して、「大丈夫!」と私に笑って見せる。

「……洋仁君、無理しちゃダメですよ?怖かったら、鈴さんや私、お姉ちゃんにでもいいから言ってね?」
    優しく言う荊さんの声に、張り詰めた糸が緩むような感じで、下を向きながら静かに涙を流した。

「おうおう!泣いていいだぞ?
大丈夫だからな、俺たちがついてるんだから頼っていいんだぞ?」
    あいつはワシャワシャと洋仁の髪の毛を撫でる。うむ、たまにはいい事言うじゃないか。

「よし!洋仁、お水持ってくるから何食べたいか決めててね~。」
    私は、お水を取りに行くと話し声が聞こえた。

「ねぇ…さっきの見た?ハートだって、私達大丈夫かしら…
殺し合いはしないけど、次当たる確率はあるわよ?」

「いや、大丈夫だって。俺らは運いいから当たるわけないだろ?」
    う~ん…、話を聞く限りでは2人はハートのスートの人達で、兄妹か恋人。友達かな?
    でも、そんな事言ってたら当たるんじゃないかな?俗に言う、フラグとやらだと思うんだけど…


    私達はご飯を食べて、また部屋に戻った。洋仁は、あまり食べられなかったみたいで、さっきはすごく耐えてたんだと改めて思った。
    ゴーンという大きな鐘の音が聞こえたら私達は張り詰めた空気で、沢山のストレスを一気に感じながら耐えないといけないのがすぐそこにある事を無視して、私は皆と悪魔の時間が来るまで、楽しく話す事にした。


────────────
    本当は嫌だった。沢山の人が俺を見るのが。
    でも、今は違う。僕は機会があるから。彼女を思い出す暇もないくらい忙しくなる事が出来る。
    誰かに命令されれば僕は動く。まるで人形だ。助けてなんて思わない。誰かに教えてもらった小型のカメラの事。
    怖い?知らないよ、そんな事。僕の言う事を聞いてくれるロボットが、沢山いるんだもの。
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