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二章
14.姫島天音対策会議
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翌日、部室にて。
「では、第一回姫島天音対策会議を始めます」
「第一回とか言ってるけど、第二回の開催予定は無いよな」
「はいそこ。茶化すのはやめようか。確かに第二回の開催予定なんてないが」
当たり前だ。こんなの何回も開催されてたまるか。
「とにかく、天音さんを部活に勧誘するには、どうしたら良いのか。それを考えようと思う」
「なぁ、毎度疑問に思うんだが、何でそんなに能力者を集めたがる?」
異能力が好きだからだとしても、やり過ぎじゃないのか?
「そんなの決まっているだろう。能力を持っているというだけで、妬まれている人の憩いの場として、同じように能力を持っている人を集めているんだ」
「嘘だな」「嘘ついてる」「嘘ね」「嘘ですよね」
全員から総バッシングである。
「何だよお前ら! いいじゃねぇか能力者集めたって! 俺だって能力欲しかったよ! でも能力無いから能力持ってるやつ集めて妄想するしかねぇんだよ!」
『うわぁー······』
「今日に限ってチームワーク良いなぁおい!」
いや、だって······なぁ? 妄想に使ってるとか宣言されたら、誰だってこうなるわ。
「なぁ、健。ハッキリ言わせてもらうぞ? 正直に言って──」
『気持ち悪い』
「お前らいつもより攻撃厳しくないか!?」
「あたし妄想に使われてるんですよね? 何か身の危険を感じます」
「平塚君、こんな小さな娘を妄想使ってるなんて、公言することではないわよ?」
「健はロリコンだったのか。私も身の危険を感じるぞ」
「意味が違うんじゃないかなぁ!?」
今日の健はツッコんでばかりだな。いや、いつもか。
「お前らとりあえず会議! 会議しようぜ!?」
「いや、さっきの発言を聞いたあとだと、真面目に話し合う気になれない」
「だと思ったけど! で、でも、ほら。琴音ちゃんは、お姉さんが入るとうれしいよね?」
「お姉ちゃんが入るのは嬉しいですけど、こんな危険な場所に入れたくないです」
「もうそれはホントに悪かった! これについては心の中に秘めとくから!」
「あ、はい。それならいいです」
ホントに良いのか琴音ちゃん。それ、何一つ解決してないぞ。
まぁ、これ以上掘り返すとさすがにかわいそうなので、ここまでにしておくか。
「さて、気を取り直して、天音さんについてだが、昨日祐希が能力を使われた時、歩香には能力は効いていなかったわけだな?」
「うん、祐希の影に潜ってたけど、なんともなかった」
「つまり、ここから考えられるのは、二つだ。一つ目は、一人にしかかけられないということ。二つ目は、認識している相手にしか、能力をかけられないということ」
なるほど、能力の穴を突いて行動するわけか。
「一人にしかかけられないのであれば、部員全員で追えば捕まるわね」
「何だか鬼ごっこみたいですね」
鬼ごっこか、懐かしいな。だが、まさか学校の廊下を走るわけにもいかないだろう。
「問題は認識している相手にしかかけられない場合だが、逆に言うと認識していればかけられてしまう」
「真正面から行ったら確実に逃げられるな」
「そこで、だ。祐希」
「おう?」
「お前が時を止めて、縄か何かで天音さんを縛って逃げられないようにして、部室まで連れてこい」
「アホなの!? それやったら姫島じゃなくて俺が捕まるけど!?」
完全に誘拐じゃねぇか。
「だが、逃げられないようにすれば、能力を使われても大丈夫じゃないか?」
「まぁ、待てやコラ。誰がいつ人を操る能力じゃないと言った? もしそうなら逃げられるじゃねぇか」
いつの間にか能力がある程度確定してしまっているじゃないか。
「それは大丈夫よ。もし仮に操る能力なら、貴方を操って『能力は持っていないようだ』と言わせれば済む話になるわ」
「なるほど、じゃあ意識を自分から逸らすような能力で確定ですかね」
「そうなるわね」
やっと一歩進んだようだ。
「ふむ、ならさっき俺が言った作戦で確定──」
「──させねぇよ!?」
お前はどんだけ俺に罪を被せたいんだ。
「あの、認識されなければ良いのなら、日野先輩の能力を使えば良いのでは?」
「······そう、だな。わ、わかってたよ。わざとだよわざと」
「嘘だな」「嘘ついてる」「嘘ね」「ほぇ~······」
「またこの流れか!」
本日二回目である。ちなみに最後のは言わずもがな琴音ちゃんである。
「じゃ、じゃあ、俺達が正面から近付いて、歩香の能力で奇襲をかけて捕獲という流れでいいな?」
完全に今捕獲って言ったよな。動物か? 動物なのか?
「わたし全く気乗りしないんだけど······」
諦めろ歩香。どうせ止めても無駄だ。
「で、捕獲に使う道具はどうする? できれば壊れにくいものが良いんだが······」
「私が普段使っているもので良いなら、うちにあるわよ?」
『えっ······』
「長いこと使ってるけど、なかなか壊れなくて良いわよ」
いったい神流先輩は何にそんなものを使っているんですか。怖くて聞けない。
「それで、何にする? 手錠? 荒縄?
猿ぐつわもあるわよ?」
何だか神流先輩がイキイキしてる。すっごい怖い。
「ど、道具はこちらで用意致しますので、どうかお引き取りを······」
あまりの恐怖に健が変な喋り方になっている。
「じ、じゃあ、今日の活動終了ー」
『お、おー』「······?」
······何だか今日は神流先輩の闇を見た気がするな。実は見てはいけないものだったんじゃ無いだろうか。大丈夫? 命狙われたりしない? すごい不安なんだけど······。
「では、第一回姫島天音対策会議を始めます」
「第一回とか言ってるけど、第二回の開催予定は無いよな」
「はいそこ。茶化すのはやめようか。確かに第二回の開催予定なんてないが」
当たり前だ。こんなの何回も開催されてたまるか。
「とにかく、天音さんを部活に勧誘するには、どうしたら良いのか。それを考えようと思う」
「なぁ、毎度疑問に思うんだが、何でそんなに能力者を集めたがる?」
異能力が好きだからだとしても、やり過ぎじゃないのか?
「そんなの決まっているだろう。能力を持っているというだけで、妬まれている人の憩いの場として、同じように能力を持っている人を集めているんだ」
「嘘だな」「嘘ついてる」「嘘ね」「嘘ですよね」
全員から総バッシングである。
「何だよお前ら! いいじゃねぇか能力者集めたって! 俺だって能力欲しかったよ! でも能力無いから能力持ってるやつ集めて妄想するしかねぇんだよ!」
『うわぁー······』
「今日に限ってチームワーク良いなぁおい!」
いや、だって······なぁ? 妄想に使ってるとか宣言されたら、誰だってこうなるわ。
「なぁ、健。ハッキリ言わせてもらうぞ? 正直に言って──」
『気持ち悪い』
「お前らいつもより攻撃厳しくないか!?」
「あたし妄想に使われてるんですよね? 何か身の危険を感じます」
「平塚君、こんな小さな娘を妄想使ってるなんて、公言することではないわよ?」
「健はロリコンだったのか。私も身の危険を感じるぞ」
「意味が違うんじゃないかなぁ!?」
今日の健はツッコんでばかりだな。いや、いつもか。
「お前らとりあえず会議! 会議しようぜ!?」
「いや、さっきの発言を聞いたあとだと、真面目に話し合う気になれない」
「だと思ったけど! で、でも、ほら。琴音ちゃんは、お姉さんが入るとうれしいよね?」
「お姉ちゃんが入るのは嬉しいですけど、こんな危険な場所に入れたくないです」
「もうそれはホントに悪かった! これについては心の中に秘めとくから!」
「あ、はい。それならいいです」
ホントに良いのか琴音ちゃん。それ、何一つ解決してないぞ。
まぁ、これ以上掘り返すとさすがにかわいそうなので、ここまでにしておくか。
「さて、気を取り直して、天音さんについてだが、昨日祐希が能力を使われた時、歩香には能力は効いていなかったわけだな?」
「うん、祐希の影に潜ってたけど、なんともなかった」
「つまり、ここから考えられるのは、二つだ。一つ目は、一人にしかかけられないということ。二つ目は、認識している相手にしか、能力をかけられないということ」
なるほど、能力の穴を突いて行動するわけか。
「一人にしかかけられないのであれば、部員全員で追えば捕まるわね」
「何だか鬼ごっこみたいですね」
鬼ごっこか、懐かしいな。だが、まさか学校の廊下を走るわけにもいかないだろう。
「問題は認識している相手にしかかけられない場合だが、逆に言うと認識していればかけられてしまう」
「真正面から行ったら確実に逃げられるな」
「そこで、だ。祐希」
「おう?」
「お前が時を止めて、縄か何かで天音さんを縛って逃げられないようにして、部室まで連れてこい」
「アホなの!? それやったら姫島じゃなくて俺が捕まるけど!?」
完全に誘拐じゃねぇか。
「だが、逃げられないようにすれば、能力を使われても大丈夫じゃないか?」
「まぁ、待てやコラ。誰がいつ人を操る能力じゃないと言った? もしそうなら逃げられるじゃねぇか」
いつの間にか能力がある程度確定してしまっているじゃないか。
「それは大丈夫よ。もし仮に操る能力なら、貴方を操って『能力は持っていないようだ』と言わせれば済む話になるわ」
「なるほど、じゃあ意識を自分から逸らすような能力で確定ですかね」
「そうなるわね」
やっと一歩進んだようだ。
「ふむ、ならさっき俺が言った作戦で確定──」
「──させねぇよ!?」
お前はどんだけ俺に罪を被せたいんだ。
「あの、認識されなければ良いのなら、日野先輩の能力を使えば良いのでは?」
「······そう、だな。わ、わかってたよ。わざとだよわざと」
「嘘だな」「嘘ついてる」「嘘ね」「ほぇ~······」
「またこの流れか!」
本日二回目である。ちなみに最後のは言わずもがな琴音ちゃんである。
「じゃ、じゃあ、俺達が正面から近付いて、歩香の能力で奇襲をかけて捕獲という流れでいいな?」
完全に今捕獲って言ったよな。動物か? 動物なのか?
「わたし全く気乗りしないんだけど······」
諦めろ歩香。どうせ止めても無駄だ。
「で、捕獲に使う道具はどうする? できれば壊れにくいものが良いんだが······」
「私が普段使っているもので良いなら、うちにあるわよ?」
『えっ······』
「長いこと使ってるけど、なかなか壊れなくて良いわよ」
いったい神流先輩は何にそんなものを使っているんですか。怖くて聞けない。
「それで、何にする? 手錠? 荒縄?
猿ぐつわもあるわよ?」
何だか神流先輩がイキイキしてる。すっごい怖い。
「ど、道具はこちらで用意致しますので、どうかお引き取りを······」
あまりの恐怖に健が変な喋り方になっている。
「じ、じゃあ、今日の活動終了ー」
『お、おー』「······?」
······何だか今日は神流先輩の闇を見た気がするな。実は見てはいけないものだったんじゃ無いだろうか。大丈夫? 命狙われたりしない? すごい不安なんだけど······。
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