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ももんがももたろう

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氷結世界

亡都の亡霊

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「まーずは景気づけの一発! ドカンと! 派手にいこー!」

 オペラが拳くらいの大きさに形成した爆発物を投擲!
 同じ顔、同じ体型をした兵士が暴散し、辺りに血肉骨片を撒きび散らした。
 飛散した骨、ヘルメットなどの装備品が周囲に二次被害を生み出す。ナイスだオペラ。
 近距離で爆風と轟音を浴びた兵士は直接衝撃波を浴ていなくても体に影響は当然ある。

 鼓膜が破れ、脳震盪を起こした兵士は真っ直ぐ歩くことができず無様に地面を転がった。多数の鴨の出来上がりだ!

「転がってる雑魚を処理しろ!」

 マッサーカー合図に全員が銃声で返事を返す。

 出来上がる死体を乗り越えて次のクローン兵がエントリー!

 次は私の持つお手製釘爆弾の出番だね!
 群れに向かって投げてドカンと爆破。
 飛び散る釘が殺傷力を増大。直撃しなくても釘が傷口を広げるので出血効果が期待できる期待の一品。

 その効果は?

 good!

 痛みに呻く雑魚が地面を転がっている!
 しかし奥の穴からまた新しいクローン兵が見える。

「こいつらいくらやってもキリがねえ! 穴を爆破して塞げ!」

 マッサーカーの指示にオペラが頷いた。

 投擲された3つの弁当箱。
 表面にはかわいいウサギとカメがプリントされていた。

「ドカーン」
 
 オペラがシュートサインを両手に決め台詞を呟いた。

 穴が崩落し、残る残党処理が始まった。
 膝を撃ち抜き腕を飛ばし、頭にもう一個穴を増やす。

 雑に行われた残党処理はクローン兵が最後の一人になるまで続いた。

 最後の一人になって皆が慎重に手足を撃ち抜き自由を奪う。
 インタビューの時間の始まりである。

「もしもーし? あなたのお名前はー?」
「死ね」
「うーん? それが名前かな?」
「コロス」
「話すことは何もないと?」
「犬に食われてろ」
「駄目だね。私ならこいつをそのまま撃っちゃうわ。パスするね」

 オペラは私に尋問をパスした。
 次は私の番だ。

「お前らみたいなのはほかにもいっぱいいるの?」
「死ね」

 BLAM!

 一発の弾丸が膝を貫いた。

「次は右いくね」
「グルルルル」
「君たちはこの街の地下道を使ってるんだよね? 一番近い入り口を教えてよ」
「コロロロ……」

「うーん? それが返事でいいの?」
「カルルルル」
「そっかあ」

 BLAM! BALM!

 弾丸は右膝と右耳たぶを貫いた。

「一発はオマケだよ。私から君へのサービスだからありがたく受け取ってね」

「ヒュー……ヒュー……」

 4回撃たれたクローン兵は虫の息だ。
 マスクデータになっているが見なくてもわかる。こいつは瀕死だってことが。

「手に入りそうな情報は無いみたい」
「本当か?」
「さっきから罵倒しか返さないじゃん。もしかしたらシステム的にそれ以外の返答が用意されてないのかも」
「なるほどな。ならこいつを虐めても時間の無駄か」

 BLAM!

 マッサーカーの無慈悲な一撃が額に炸裂。
 頭部を無くしたクローン兵は当然絶命。
 
周囲の武器を集めて次の場所を探索しよう。

「おい! 物資を集めておいた。報酬はこの集めた奴でどうだ?」
「いいねえ! 集めるの面倒だと思ってたんだよね! じゃあありがたくもらうよ」

 手に入った物は主に銃と弾薬。
 クローン兵が持っていたものだ。
 拳銃と違って威力とかマガジンサイズとか諸々がグレードアップした一品はこれからの探索に大活躍間違いなし!

「これでどどんとありんこもスクラップに出来そうだね!」

 オペラが上機嫌に笑い銃口をビル壁に向けた。
 釣られて見た先には私たちに銃口を向ける2人のプレイヤーの姿が。
 
 驚いた私達は反射的に遮蔽物の影に飛び込み武器を向けた。
 その場にとどまったオペラは手に入れたアサルトライフルを乱射。
 
「アハハハハー!」

 ものすっごく楽しそうに引き金を引いて窓に壁に穴を開けた。
 
「アハー! あ、弾切れかあ……じゃあ止めに手榴弾投げとくねぇ」

 念入りな止めの一撃に思わず顔が引きつったけど投げ入れた窓の方から聞こえてきた「チクショー!」という叫び声に思わずにっこり。

 よくやったオペラ!

 心の中で拍手喝采しながら周囲の敵を確認。いない。よし。ここから離れるか。

「移動するよー!」

 私の掛け声にドヤ顔で銃を掲げていたオペラと周囲を警戒していたマッサーカーはアイテムを収めて私の元へと集まってきた。
 
「助太刀感謝する! ありがとな! また会おう!」

 助けた三人組と別れを交わし、いざ出発。

 目指すはグラインダー。
 素材アイテムを生成して持ち帰る!
 あとついでに設計図アイテムを復元もする。
 粒子生成炉、気になるもんね。

「粒子で何ができると思う?」
「まずはあのシールドだよね」

 オペラの言葉にあの男のシールドを思い出した。
 ゲーミングなんとかみたいに光る盾。
 かっこよさは置いとくとして、その効果は間違いない。弾丸を正面から受け止められるのはでかい。

 腰に下げられた物がたぶん『炉』なんだろう。

 色々悪さできそうなアレが早く欲しい。

「ん。地図によるとこの辺にあるね。あぁ、あの看板だ」

 手に入れた地図情報を確かめていたマッサーカーが指を刺した。
 指の先には私達の見たことの無い看板がある。
 
 なるほど。あの看板がグラインダーを示すのね。
 
 メモにちゃーんとメモしようね!

「おい、ちょっと待て」

 マッサーカーが私達を建物の影へと誘導した。
 影に入り、見るとグラインダーのある建物から数人のプレイヤーが立っていた。

 それは私達に地図情報をくれた人達だった。
 周囲を警戒している姿は明らかに歓迎してくれそうなムードではない。
 というか、近づいたら蜂の巣にされそうだ。

「これ、待ち伏せかなあ?」
「いや、待ち伏せならこんなにわかりやすく待つか? 明らかに警戒してる。たぶん何かに追われてるとかじゃないか?」

 オペラとマッサーカーの会話をバックに私は周囲の状況を確認。銃弾痕有り。ここで戦闘が行われていたのは間違いないか。

 問題は何とやりあったか、だね。
 死体は残ってないしMobかな?
 PCだと墓が立つからね。

「クローン兵だ」

 オペラが囁きながら指を指した。
 視線をその方向に向ければ砂色の装甲服を着た一団が地面の下、マンホールのような穴からのそのそと這い出しているのが見える。

 クローン兵は穴の中から次々と鉄板を取り出しバリケードを組み立てあっという間に小さな城が出来上がった。
 
 痰が絡んだような濁った声で建物を指差しながら吠え、銃の引き金を引いた。
 
 乾いた破裂音が鳴り響き、建物に穴を開ける。
 警戒態勢をとっていたプレイヤー達も応戦を始めた。

「どっちの味方をする~?」

 オペラの間延びした声が銃声が鳴り響く戦場の中で聞こえた。

「どっちの?」
「うん。漁夫る?」

 漁夫か~……漁夫?
 出来るのか?
 多分クローン兵は無限ポップで放っておいたらじり貧で勝手にプレイヤー側が全滅する。
 そして次のターゲットは私達になるかもしれない。
 と、するとここで助太刀した方が後々得になるかな?

「助けよう」
「おっけー!」
「いいの? そんな気軽に受けて? 全滅するかも「いいよ別に良いものを手に入れるために必要なら喜んで賭けるよ」……アハ! いいねえ! じゃあ、いこうか!」

 アサルトライフルを構えてダッシュ!
 走る私に気がつき何か仲間に伝えようとした個体を処理。

 想定とは別の箇所で聞こえた発砲音に驚き固まった瞬間をついてもう一度発砲。
 流石にこれは当たらないかー……。

 ここは欲張らずに撤退しよ。

 私が撤退の姿勢を見せた瞬間、タイミングよくオペラの支援が入った。
 弧を描いて手榴弾がぽとり。
 
「!」

 それに気がついたクローン兵の一人が瞬時に覆い被さった。
 遅れて聞こえる爆発音。
 敵に与えた被害は軽微。

「うっそでしょ!?」

 思わずオペラが叫ぶ。私だって叫びたいけど叫んでも事態は好転しない。
 とにかく遮蔽物に身を隠さなきゃ体に新しい穴が空いちゃう。

「ミトォ! こっちだ!」

 マッサーカーが弾をばら蒔きながら合図を出した。
 
 合図の先には警戒態勢をとっていたプレイヤーの一人がメイクツールを使って作られた遮蔽物が。
 
「俺が作って回る! とにかく弾幕を張ってくれ!」

 なんとなく味方をしたが向こうも私達をなんとなく味方だと察してくれたようだ。

 ありがたく使わせてもらおう。

「地獄に落ちろ」

 戦場に響くクローン兵の叫びが笑いを誘う。

「なーにが地獄だ! お前が落ちろ!」

 言葉の代わりに銃声で返事を返す。
 発砲音が言葉でありコミュニケーションだ。

 私の弾丸が一人の体を何度も貫き踊るように地面に倒れ伏した。
 反撃が来る前に遮蔽物にかがみ込むと、別の方向からオペラの爆撃、マッサーカーの射撃がクローン兵を襲った。
 
 だがしかしクローン兵もただ殺されるだけでは無い。
 死体を土嚢のように積んで文字通りの肉壁を築き上げた。
 
 奴らにとって仲間の死は戦意喪失につながるものでは無いらしい。
 爆裂で欠損した兵士が無くなった右腕から流れ出る血液を気にすることなく発泡しているところからもどうやらコイツら、痛覚神経や心的ストレスとかが少ないのかもしれない。
 どっちにしろこれは面倒だ。
 向こうの数が未知数、こっちは有限。

 長引けば長引くほど不利になっていくだろう。
 
 
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