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ゲームはクリアを待っている
プレイヤーは死ぬほどいっぱいいるので価値はその辺の石ころと大差ないです
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今日はまっすぐ家に帰ろう!
商店街で立ち食いもスポーツジムで運動も、ぜーんぶやらないで帰る!
おっと、コンビニで電子通貨を買うのだけは忘れずにネ!
急いで帰るのには理由がある。
もちろんゲームだ。新しく始めるゲームを調べるうちに楽しくなってきたからね。皆だってあるでしょうそういうの。説明書の粗筋とか読んでいるうちに楽しい気持ちになるやつだよ。
ネーっと隣の幼女に微笑んでみれば微笑みが返ってきた。
私の気持ちはうまく伝わったに違いない。
まあつまり私は早く家に帰りたいってこと。
ゲームの決済は今終わらせたしすでに家のVR端末はインストールを開始している。
え?なにこのデータの容量冗談でしょ?
たったの5GBて。
ゲームストリーミングかよ。ゲームストリーミングだった。
このゲームのサーバどうなってるんだろうね。
みんな気になってる様だけど誰も何処にあるのかわかってないし、複数いる開発者も何処にあるのか言わないし。
気にしてもしょうがないネ!
電車を降りて家まであともうちょっと。
歩き進める足がだんだんと早くなり、遂に走り出す。
体温が上がり、ぽかぽかと体がほてってくる。
家はもう目の前だ。
げ、母さんの車が駐車場にある。
お願い事される前に部屋に逃げ込まなくちゃ。
「ただいまぁーーーー!!!」
玄関をくぐり、急いで二階にダッシュ。
お帰りの返事が廊下の奥から聞こえてくる。
部屋に駆け込み、部屋の廉隅に置かれた大型マッサージチェアのような見た目をしたVR端末が私をお出迎え。
これはゲームの大会で上位三人に授与された景品だ。
一般のVRダイブよりも脳の命令を受け取る感度が良く、プレイ中の人体の姿勢も楽な姿勢で疲れにくいといいこと尽くめの機体だ。
備え付けられたディスプレイを見るとインストールはすでに完了していた。今からでも始められる。
「よっしゃあ!はじめるぞ!」
「うるさいよ!」
「すんません…」
ままんに叱られちゃった…。
ママ、気持ち切り替えていこ!
機械の椅子に座りゆっくりと腰を落ち着ける。首筋にある端子を繋げ準備は万全。
手元のI/OをIにした瞬間意識が白塗りされ、体がプールに飛び込んだような感覚に陥る。
初めてこの感覚に襲われたときはびっくりしすぎて脈拍、血圧が上り、過度な興奮状態とシステムに判断されて現実世界に弾き飛ばされたなぁ。
『おかえりなさいませ。ただいまの現在時刻は19:12となっています。』
現在時刻を告げてくる高貴なるAI様に自分が目覚めたい時刻を告げる。
これをしておかないといつまでもゲームしちゃうからね。
次にプレイするゲームを選択する。
これはもちろん『Mechanize Elysium』を選択。
あえて余分に買った電子通貨もここで使う。
スタートアップブースターパックを購入。
これでゲームの初期がやりやすくなるはず。かもしれない。だといいなぁ。もう使っちゃったし細かいことは考えないけどさ。
もう一つ買うのも忘れないようにする。
インベントリアップグレードパックだ。
これはプレイヤーキャラクターのインベントリを拡張する所謂課金鞄だ。
なくても進めることはできるがあればきっと役に立ってくれるだろう。
「初めまして。私はゲームを円滑にスタートするためのサポートAI『アイリス』と申します。さっそくキャラクターエディットを始めます」
このゲームはファンタジーとかSFとか謳っておきながら初期ステータスはかなり現実準拠。なら普段から頻繁に動かしている現実世界の物理肉体に近づけたほうがいい。
つまりここは
「私の端末のキャラクターエディットslotの二番のプリセットを呼び出してちょ」
使い慣れた肉体骨格を一から作るのはめんどくさいからね!
こういう時のために雛形は決めてあるかららくしょーだよ。
出てきたのはいつも見慣れた論理肉体。背丈、肩幅、腕足の長さは完全に私と一緒。
医者と一緒に作ったボーンは完璧である。
結局感覚で作った骨格とかってどこかで違和感感じちゃうからね。
下手すると現実とゲームどっちでも違和感感じちゃうようになるっていうしね。こわいこわい。
「名前を決めてください」
アイヨー
【Mt.Dew】
好きなジュースの名前を借りよう。
ん。被りは無しね。ぐっっっっっっっど。
「課金アイテムのコードを所持していますね。使いますか?」
「もちろん!【はい】をえらぶよ」
「課金アイテムの効果で産まれに貴族の子供が追加されました。微力ながら貴族が力を貸してくれたので普通のプレイヤーよりも所持品が多くなります」
なるほど課金アイテムの説明はそんな感じなのね。
「次に職業を決めてください。職業は一番初めに惑星に降り立った時に持っているものを決めます」
「貴族の産まれで、職業を何にするのか選ぶ、ね」
・エンジニア
・メディック
・ウォリアー
・プロフェッサー
上から技術、医療、戦闘、知能職か。
持ち物は何かな…?
エンジニア:ビルドマテリアルメイク:周囲の物質を使って建築建材を作成
メディック:ドラッグメイク:動植物から病気、傷を癒す薬を生産
ウォリアー:エクスプロシヴメイク:周辺物質から爆発物を生産
プロフェッサー:コンセイトレイト:周辺物質から欲しい物質を選択、収集する
どれもこれも物資生成系な。
エンジニアにしとこ。
遮蔽物を好きに作れるといろいろ捗るからネ!
「キャラエディットが終わりました。惑星アルディアに降り立ちます」
さあ始まる。どんな世界が待ってるのかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めた。
眠っていた気はなかったんだけど。いつの間にか眠らされていたみたい。
畳四畳くらいの狭い部屋。
部屋の半分はベットが占領。
それ以外にはほとんど何もない。ように見える。
「うーん?もうアルディア?」
もっとこう、降り立つイベントとかがあるのかと思った
beeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeep!!!!!!!!!!
『射出準備が整いました。各員ベッドの下の荷物を持ち、射出チャンバーに集合してください』
お、まだ宇宙なのね。
ベッドの下には手袋(どうやらコレがアイテムボックスらしい)とベルトと一丁の銃、マテリアルメイクが籠の中に入っていた。
これが初期装備かあ。
とりあえず全部持って集合場所に行こう。
壁や床、しまいには空中にも矢印が表示されていてどこに向かえばいいかわかりやすく迷う要素がないのはいいけども、時々置いてある映像パネルに移っている偉そうなおっさんはなんなんだろうね???
いや多分ここの責任者とかそんな感じなのはわかるけど話し方がなーんか気に入らないんだよね。
む。
人がいっぱいいる広間に到着。ここがあの男のハウスね。
部屋のどこからでも見れる位置におっさんが立って喋っているので耳を傾けてみる。気合入った演説してるなあ。邪魔したくなるけどここは我慢我慢。
あーだめやっぱだめ私の心があいつの脳天に鉛玉を撃ち込めと言ってる。
あー止まれ私の右腕。あーだめみたいです右腕がいうことをききましぇん。
じゃあ最後の希望右手くんの出番だ。あっとこれもダメ。固く銃を握りしめちゃいました。
握りこんだ銃を持ち上げようとしたその瞬間。
偉そうなおじさんの周囲に光球が出現しビームが発射。
私の横に立っていたプレイヤーが蒸発した。
すげえや。
溜息を吐きつつおっさんは言った。
「私を殺そうとしてもそれは無駄な事だ。今ちょうど五人ほど銃を抜いたアホがいたから反撃したが面倒だから無駄な事はしないように」
私以外にも撃とうとした奴がいたのかあ。
驚きだね。思考が似てる奴が五人もいたなんてね。
でもよかったああともうちょっと銃を抜くのが早かったら六人になっていただろうし、たぶんこれ課金も消えてなくなっていただろうし。
「今、我ら究極祝福艦隊は大きな窮地に立たされている。」
なにこの頭の悪い艦隊名は。
もうちょっと何かあったでしょ。
「ハハハ!間抜けな艦隊名だなうわああああああああああ」
ZAP!
「間抜けが一人いたようだな」
みたいだね。わざわざ声に出すとかアホだなあ。
「続きを話そう。窮地とは何か?それは我々がこの銀河から抜け出すことが出来なくなっているという問題だ。我々は1000年ほど昔、悪化した環境から逃げ出すため、宇宙に活路を見出した。宇宙は広く、しかし、我々人類が存在できる領域は狭かった。結局そこでも母なる星エデンと同じ轍を踏んだのだ。我らは疲弊した。母なる惑星に帰らねばならないという考えに至るまでに疲弊してしまったのだ。今、我らは帰り道にいる。宇宙で手に入れた物資、技術を手にエデンに帰る道だ。ここで道草を食ってる場合じゃないのだ。諸君らにはこの銀河を脱出する手段を見つけて来てもらいたい。過去この星系にいた知的生命体がどうやってここから抜け出たのか、それを探してもらう」
「さて、では諸君。話は長くなったがこれでお別れだ。向こうで頑張ってくれたまえ。さらばだ」
言うだけ言って退場かあ。
とりあえず私たちはどんな形なのかもわからん物を探しに行かないといけないわけね。そして多分私たちの価値は低い。不適切発言だけで消される程度の命なんだろうね。
まあプレイヤーは死ぬほどいるからこその命でしょうね。
『第九艦隊:探索者区画:パージします:衝撃:危険:良い旅を!』
一人一人にポッドを用意するわけないよね。資源がもったいないもんな!
「お、おい、外が見えるぞ!」
んー……これが今から私たちが捨てられる惑星か。
思ったより緑が少ないな。あるっちゃあるが偏ってるね。
水、海はある。比率でいうと陸3:海7くらいかな。
3:7?ん?まるで地球みたいだぁ。幸いにもじゃっぱにーずみたいな島は無いしまんま地球ではないか。それに地球はもっと緑が多い。ここは大半が砂漠に近いね。それくらい緑が薄い。
そうこうしているうちに大気圏突入。私の視界が真っ赤に燃える!
どれくらいデカイのかわかんないけど全然揺れないなこの探索者区画とかいうゴミ箱。
でもこのままの速度で大地に激突とかしないよねコレ。
まさかねー。
「おい!みろコレ!この箱、本当にただの頑丈な箱だ!ふざけてるのか!」
乗組員であり私達PCの一人が設計図を見つけたらしく興奮したように叫んでいた。
空中に立体投影されたブループリントには驚くことに階層こそあれどそれ以外に何もない箱が移されていた。
いや、空調とかはあるみたいだけどそれだけなんだよね。
加速器とかが無い。完全に重力に従った落下、空気の摩擦と大地の衝突のことしか考えられていないみたいだ。
「いや、まて、これは外側と内側、二枚の装甲がある!二枚の内側になにか液体が注入されている。つまり衝撃で俺たちがミンチでネギトロちっくな状態にならない。かもしれないぞ!」
「お、おぉこの液体がどれだけ仕事してくれるかわからないが希望が見えてきたな!」
もりあがる船内。まさかさっそく一回死ぬ羽目になるとはと笑うPC達。
『着弾まで残り30秒ー』
着弾!今着弾っていったよ!着陸じゃなくて着弾って!
私の心の叫びをよそに箱は落ちていく。
『着弾』まで残り―
5
4
3
2
1
窓の外の風景は黒一色。
大地を揺るがすような轟音も。
箱がひしゃげる衝撃も感じなかった。
無音。
それはあまりにも静かな着弾だった。
『お疲れさまでした。では任務を開始してください』
温度を感じさせない能天気な甲高い声が静まり返ったPC達に投げかけられた。
商店街で立ち食いもスポーツジムで運動も、ぜーんぶやらないで帰る!
おっと、コンビニで電子通貨を買うのだけは忘れずにネ!
急いで帰るのには理由がある。
もちろんゲームだ。新しく始めるゲームを調べるうちに楽しくなってきたからね。皆だってあるでしょうそういうの。説明書の粗筋とか読んでいるうちに楽しい気持ちになるやつだよ。
ネーっと隣の幼女に微笑んでみれば微笑みが返ってきた。
私の気持ちはうまく伝わったに違いない。
まあつまり私は早く家に帰りたいってこと。
ゲームの決済は今終わらせたしすでに家のVR端末はインストールを開始している。
え?なにこのデータの容量冗談でしょ?
たったの5GBて。
ゲームストリーミングかよ。ゲームストリーミングだった。
このゲームのサーバどうなってるんだろうね。
みんな気になってる様だけど誰も何処にあるのかわかってないし、複数いる開発者も何処にあるのか言わないし。
気にしてもしょうがないネ!
電車を降りて家まであともうちょっと。
歩き進める足がだんだんと早くなり、遂に走り出す。
体温が上がり、ぽかぽかと体がほてってくる。
家はもう目の前だ。
げ、母さんの車が駐車場にある。
お願い事される前に部屋に逃げ込まなくちゃ。
「ただいまぁーーーー!!!」
玄関をくぐり、急いで二階にダッシュ。
お帰りの返事が廊下の奥から聞こえてくる。
部屋に駆け込み、部屋の廉隅に置かれた大型マッサージチェアのような見た目をしたVR端末が私をお出迎え。
これはゲームの大会で上位三人に授与された景品だ。
一般のVRダイブよりも脳の命令を受け取る感度が良く、プレイ中の人体の姿勢も楽な姿勢で疲れにくいといいこと尽くめの機体だ。
備え付けられたディスプレイを見るとインストールはすでに完了していた。今からでも始められる。
「よっしゃあ!はじめるぞ!」
「うるさいよ!」
「すんません…」
ままんに叱られちゃった…。
ママ、気持ち切り替えていこ!
機械の椅子に座りゆっくりと腰を落ち着ける。首筋にある端子を繋げ準備は万全。
手元のI/OをIにした瞬間意識が白塗りされ、体がプールに飛び込んだような感覚に陥る。
初めてこの感覚に襲われたときはびっくりしすぎて脈拍、血圧が上り、過度な興奮状態とシステムに判断されて現実世界に弾き飛ばされたなぁ。
『おかえりなさいませ。ただいまの現在時刻は19:12となっています。』
現在時刻を告げてくる高貴なるAI様に自分が目覚めたい時刻を告げる。
これをしておかないといつまでもゲームしちゃうからね。
次にプレイするゲームを選択する。
これはもちろん『Mechanize Elysium』を選択。
あえて余分に買った電子通貨もここで使う。
スタートアップブースターパックを購入。
これでゲームの初期がやりやすくなるはず。かもしれない。だといいなぁ。もう使っちゃったし細かいことは考えないけどさ。
もう一つ買うのも忘れないようにする。
インベントリアップグレードパックだ。
これはプレイヤーキャラクターのインベントリを拡張する所謂課金鞄だ。
なくても進めることはできるがあればきっと役に立ってくれるだろう。
「初めまして。私はゲームを円滑にスタートするためのサポートAI『アイリス』と申します。さっそくキャラクターエディットを始めます」
このゲームはファンタジーとかSFとか謳っておきながら初期ステータスはかなり現実準拠。なら普段から頻繁に動かしている現実世界の物理肉体に近づけたほうがいい。
つまりここは
「私の端末のキャラクターエディットslotの二番のプリセットを呼び出してちょ」
使い慣れた肉体骨格を一から作るのはめんどくさいからね!
こういう時のために雛形は決めてあるかららくしょーだよ。
出てきたのはいつも見慣れた論理肉体。背丈、肩幅、腕足の長さは完全に私と一緒。
医者と一緒に作ったボーンは完璧である。
結局感覚で作った骨格とかってどこかで違和感感じちゃうからね。
下手すると現実とゲームどっちでも違和感感じちゃうようになるっていうしね。こわいこわい。
「名前を決めてください」
アイヨー
【Mt.Dew】
好きなジュースの名前を借りよう。
ん。被りは無しね。ぐっっっっっっっど。
「課金アイテムのコードを所持していますね。使いますか?」
「もちろん!【はい】をえらぶよ」
「課金アイテムの効果で産まれに貴族の子供が追加されました。微力ながら貴族が力を貸してくれたので普通のプレイヤーよりも所持品が多くなります」
なるほど課金アイテムの説明はそんな感じなのね。
「次に職業を決めてください。職業は一番初めに惑星に降り立った時に持っているものを決めます」
「貴族の産まれで、職業を何にするのか選ぶ、ね」
・エンジニア
・メディック
・ウォリアー
・プロフェッサー
上から技術、医療、戦闘、知能職か。
持ち物は何かな…?
エンジニア:ビルドマテリアルメイク:周囲の物質を使って建築建材を作成
メディック:ドラッグメイク:動植物から病気、傷を癒す薬を生産
ウォリアー:エクスプロシヴメイク:周辺物質から爆発物を生産
プロフェッサー:コンセイトレイト:周辺物質から欲しい物質を選択、収集する
どれもこれも物資生成系な。
エンジニアにしとこ。
遮蔽物を好きに作れるといろいろ捗るからネ!
「キャラエディットが終わりました。惑星アルディアに降り立ちます」
さあ始まる。どんな世界が待ってるのかな。
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目が覚めた。
眠っていた気はなかったんだけど。いつの間にか眠らされていたみたい。
畳四畳くらいの狭い部屋。
部屋の半分はベットが占領。
それ以外にはほとんど何もない。ように見える。
「うーん?もうアルディア?」
もっとこう、降り立つイベントとかがあるのかと思った
beeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeep!!!!!!!!!!
『射出準備が整いました。各員ベッドの下の荷物を持ち、射出チャンバーに集合してください』
お、まだ宇宙なのね。
ベッドの下には手袋(どうやらコレがアイテムボックスらしい)とベルトと一丁の銃、マテリアルメイクが籠の中に入っていた。
これが初期装備かあ。
とりあえず全部持って集合場所に行こう。
壁や床、しまいには空中にも矢印が表示されていてどこに向かえばいいかわかりやすく迷う要素がないのはいいけども、時々置いてある映像パネルに移っている偉そうなおっさんはなんなんだろうね???
いや多分ここの責任者とかそんな感じなのはわかるけど話し方がなーんか気に入らないんだよね。
む。
人がいっぱいいる広間に到着。ここがあの男のハウスね。
部屋のどこからでも見れる位置におっさんが立って喋っているので耳を傾けてみる。気合入った演説してるなあ。邪魔したくなるけどここは我慢我慢。
あーだめやっぱだめ私の心があいつの脳天に鉛玉を撃ち込めと言ってる。
あー止まれ私の右腕。あーだめみたいです右腕がいうことをききましぇん。
じゃあ最後の希望右手くんの出番だ。あっとこれもダメ。固く銃を握りしめちゃいました。
握りこんだ銃を持ち上げようとしたその瞬間。
偉そうなおじさんの周囲に光球が出現しビームが発射。
私の横に立っていたプレイヤーが蒸発した。
すげえや。
溜息を吐きつつおっさんは言った。
「私を殺そうとしてもそれは無駄な事だ。今ちょうど五人ほど銃を抜いたアホがいたから反撃したが面倒だから無駄な事はしないように」
私以外にも撃とうとした奴がいたのかあ。
驚きだね。思考が似てる奴が五人もいたなんてね。
でもよかったああともうちょっと銃を抜くのが早かったら六人になっていただろうし、たぶんこれ課金も消えてなくなっていただろうし。
「今、我ら究極祝福艦隊は大きな窮地に立たされている。」
なにこの頭の悪い艦隊名は。
もうちょっと何かあったでしょ。
「ハハハ!間抜けな艦隊名だなうわああああああああああ」
ZAP!
「間抜けが一人いたようだな」
みたいだね。わざわざ声に出すとかアホだなあ。
「続きを話そう。窮地とは何か?それは我々がこの銀河から抜け出すことが出来なくなっているという問題だ。我々は1000年ほど昔、悪化した環境から逃げ出すため、宇宙に活路を見出した。宇宙は広く、しかし、我々人類が存在できる領域は狭かった。結局そこでも母なる星エデンと同じ轍を踏んだのだ。我らは疲弊した。母なる惑星に帰らねばならないという考えに至るまでに疲弊してしまったのだ。今、我らは帰り道にいる。宇宙で手に入れた物資、技術を手にエデンに帰る道だ。ここで道草を食ってる場合じゃないのだ。諸君らにはこの銀河を脱出する手段を見つけて来てもらいたい。過去この星系にいた知的生命体がどうやってここから抜け出たのか、それを探してもらう」
「さて、では諸君。話は長くなったがこれでお別れだ。向こうで頑張ってくれたまえ。さらばだ」
言うだけ言って退場かあ。
とりあえず私たちはどんな形なのかもわからん物を探しに行かないといけないわけね。そして多分私たちの価値は低い。不適切発言だけで消される程度の命なんだろうね。
まあプレイヤーは死ぬほどいるからこその命でしょうね。
『第九艦隊:探索者区画:パージします:衝撃:危険:良い旅を!』
一人一人にポッドを用意するわけないよね。資源がもったいないもんな!
「お、おい、外が見えるぞ!」
んー……これが今から私たちが捨てられる惑星か。
思ったより緑が少ないな。あるっちゃあるが偏ってるね。
水、海はある。比率でいうと陸3:海7くらいかな。
3:7?ん?まるで地球みたいだぁ。幸いにもじゃっぱにーずみたいな島は無いしまんま地球ではないか。それに地球はもっと緑が多い。ここは大半が砂漠に近いね。それくらい緑が薄い。
そうこうしているうちに大気圏突入。私の視界が真っ赤に燃える!
どれくらいデカイのかわかんないけど全然揺れないなこの探索者区画とかいうゴミ箱。
でもこのままの速度で大地に激突とかしないよねコレ。
まさかねー。
「おい!みろコレ!この箱、本当にただの頑丈な箱だ!ふざけてるのか!」
乗組員であり私達PCの一人が設計図を見つけたらしく興奮したように叫んでいた。
空中に立体投影されたブループリントには驚くことに階層こそあれどそれ以外に何もない箱が移されていた。
いや、空調とかはあるみたいだけどそれだけなんだよね。
加速器とかが無い。完全に重力に従った落下、空気の摩擦と大地の衝突のことしか考えられていないみたいだ。
「いや、まて、これは外側と内側、二枚の装甲がある!二枚の内側になにか液体が注入されている。つまり衝撃で俺たちがミンチでネギトロちっくな状態にならない。かもしれないぞ!」
「お、おぉこの液体がどれだけ仕事してくれるかわからないが希望が見えてきたな!」
もりあがる船内。まさかさっそく一回死ぬ羽目になるとはと笑うPC達。
『着弾まで残り30秒ー』
着弾!今着弾っていったよ!着陸じゃなくて着弾って!
私の心の叫びをよそに箱は落ちていく。
『着弾』まで残り―
5
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窓の外の風景は黒一色。
大地を揺るがすような轟音も。
箱がひしゃげる衝撃も感じなかった。
無音。
それはあまりにも静かな着弾だった。
『お疲れさまでした。では任務を開始してください』
温度を感じさせない能天気な甲高い声が静まり返ったPC達に投げかけられた。
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