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その2
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キリアンと私の両親は学園時代からの親友で、小さい頃は親に連れられよくお互いの家に行き来をしていた。
黒髪黒目の美少年だったキリアンは、まずその容姿をもってして私を魅了した。
でも幼き頃のキリアンは、表情筋が全く動かない子で、笑うことも怒ることも泣くこともなかった。
最初は嫌われているのか不安になったけど
キリアンは表情こそないものの、それはそれは優しかった。
美少年に優しくされれば幼き自分なんてイチコロである。
私はキリアンに2度、恋に落とされたのだ。
「キリアンめ...」
恨みがましくもう一度その名を呟く。
長年の恋心、どうしてくれよう。
あんなに美青年で心が優しい男性を一番最初に好きになってしまったのだ。
今後他の男性に恋なんてできるのだろうか。
いや、そもそもキリアンなんて高嶺の花だったんだ。その事実に今気づくなんて、自分はなんて滑稽なんだ。
事実に気づいてまたじんわり視界が緩む。
今度は目から水分がこぼれ落ちそう。
今日は放課後買い物に出る予定だったけど
家に帰って引きこもったほうがいいかもしれない。
「いや、街で新しい出会いを見つけるのもいいかもしれない。この際新しい恋でもして...いやそう簡単には恋に落ちれないわよ、誰に恋してたと思ってるのよ」
ぶつぶつと声に出して歩いていると、不意に自分に影がさした。
「?」
不思議に思って上を向くと、幾分黒いオーラを出した噂のキリアンが目の前に居た。
「びっくりしたわ、歩行の邪魔よ」
「前を見て歩け。危ないだろう。」
はぁ、とため息を吐くその姿も麗しい。
もう一生目の前に現れないでほしい。恋心が再熱しちゃうでしょう、ほんとにもう。
「何を考えてた」
じっとこちらを見つめながら、なおも不機嫌オーラを放っている。
どうしたの、さっきはクラスメイトに今日は機嫌がいいらしいって聞いたのに。いや聞こえてきたのに。
「キリアンに関係ないわ。それよりも....いや、なんでもない」
恋の相談なんてキリアンにはできない。
傷が抉れる。
そんなことより今日の予定について文句を言おうとして、それもやめた。
忘れてたなんて聞いたら、それはそれで傷が抉れる。
そんなことになったら目から洪水が出る。
ついでに鼻からも出る。
そんな姿をまだ恋心が残っている想い人に見られるなんて負のスパイラルすぎるわ。
「......新しい恋がどうのって聞こえたが」
バッとキリアンを見る
なんてこと!聞こえてる!
「空耳よ!」
「そんなわけない。」
ム、と眉間に皺を寄せて小さく呟く。
「今日街で出会いを探そうとしてたのか、隣に俺がいるのに」
「へあ?」
「それは絶対許されない。」
「今日は聖女様と街に行くんでしょう?まるで私と一緒に行ってくれるかのように......」
「?、その約束だろう?」
あれ?勘違い?
私は今日、一緒に行く約束をすっぽかされるのかと悲嘆に暮れていたのに?
「聖女様は?」
「聖女様とプライベートでどこかに行くことはない」
クエスチョンマークが頭いっぱいに広がる
え?聖女様とはいい感じなのに、デートする気はないの?
それはなんというか、その恋は発展するの?してほしくはないけども。
「それよりロゼ」
「?」
「話をすり替えるな、今日は俺と出かけるだろう。新しい恋ってなんだ」
いつのまにか手首を掴まれて、逃すまいと圧をかけてくる
「...失恋したから、新しい恋を探そうと、ひぃっ!」
圧が強過ぎて声もそぞろに呟くと、先ほどまでの黒いオーラがさらに強まる
怖過ぎて思わず声が漏れてしまった。
「失恋?」
掴まれていた手首の力が強まる
地味に痛い。
「詳しく聞かせろ」
「それは無理!」
「ダメだ、言うまで離さないからな」
ずずい、と綺麗な顔が近づく
やめて、そんな綺麗な顔で近づいてこないで、全部吐いちゃいそう
「ロゼ...」
スッと手首を掴まれたまま、耳元で囁かれる
「教えてくれ」
滑らかな声が脳に直接響いて、胸がギュッと熱くなる
あぁ、キリアンにこんなふうに頼まれると、私は...
「ぅぁ、キリアン」
多分顔は真っ赤だろう
キリアンを見つめると、先ほどよりも眉間の皺がぐんと深まった
そのまま空き教室に連れられ、
遠くの方で授業が始まる始業ベルが鳴っているのが聞こえた。
黒髪黒目の美少年だったキリアンは、まずその容姿をもってして私を魅了した。
でも幼き頃のキリアンは、表情筋が全く動かない子で、笑うことも怒ることも泣くこともなかった。
最初は嫌われているのか不安になったけど
キリアンは表情こそないものの、それはそれは優しかった。
美少年に優しくされれば幼き自分なんてイチコロである。
私はキリアンに2度、恋に落とされたのだ。
「キリアンめ...」
恨みがましくもう一度その名を呟く。
長年の恋心、どうしてくれよう。
あんなに美青年で心が優しい男性を一番最初に好きになってしまったのだ。
今後他の男性に恋なんてできるのだろうか。
いや、そもそもキリアンなんて高嶺の花だったんだ。その事実に今気づくなんて、自分はなんて滑稽なんだ。
事実に気づいてまたじんわり視界が緩む。
今度は目から水分がこぼれ落ちそう。
今日は放課後買い物に出る予定だったけど
家に帰って引きこもったほうがいいかもしれない。
「いや、街で新しい出会いを見つけるのもいいかもしれない。この際新しい恋でもして...いやそう簡単には恋に落ちれないわよ、誰に恋してたと思ってるのよ」
ぶつぶつと声に出して歩いていると、不意に自分に影がさした。
「?」
不思議に思って上を向くと、幾分黒いオーラを出した噂のキリアンが目の前に居た。
「びっくりしたわ、歩行の邪魔よ」
「前を見て歩け。危ないだろう。」
はぁ、とため息を吐くその姿も麗しい。
もう一生目の前に現れないでほしい。恋心が再熱しちゃうでしょう、ほんとにもう。
「何を考えてた」
じっとこちらを見つめながら、なおも不機嫌オーラを放っている。
どうしたの、さっきはクラスメイトに今日は機嫌がいいらしいって聞いたのに。いや聞こえてきたのに。
「キリアンに関係ないわ。それよりも....いや、なんでもない」
恋の相談なんてキリアンにはできない。
傷が抉れる。
そんなことより今日の予定について文句を言おうとして、それもやめた。
忘れてたなんて聞いたら、それはそれで傷が抉れる。
そんなことになったら目から洪水が出る。
ついでに鼻からも出る。
そんな姿をまだ恋心が残っている想い人に見られるなんて負のスパイラルすぎるわ。
「......新しい恋がどうのって聞こえたが」
バッとキリアンを見る
なんてこと!聞こえてる!
「空耳よ!」
「そんなわけない。」
ム、と眉間に皺を寄せて小さく呟く。
「今日街で出会いを探そうとしてたのか、隣に俺がいるのに」
「へあ?」
「それは絶対許されない。」
「今日は聖女様と街に行くんでしょう?まるで私と一緒に行ってくれるかのように......」
「?、その約束だろう?」
あれ?勘違い?
私は今日、一緒に行く約束をすっぽかされるのかと悲嘆に暮れていたのに?
「聖女様は?」
「聖女様とプライベートでどこかに行くことはない」
クエスチョンマークが頭いっぱいに広がる
え?聖女様とはいい感じなのに、デートする気はないの?
それはなんというか、その恋は発展するの?してほしくはないけども。
「それよりロゼ」
「?」
「話をすり替えるな、今日は俺と出かけるだろう。新しい恋ってなんだ」
いつのまにか手首を掴まれて、逃すまいと圧をかけてくる
「...失恋したから、新しい恋を探そうと、ひぃっ!」
圧が強過ぎて声もそぞろに呟くと、先ほどまでの黒いオーラがさらに強まる
怖過ぎて思わず声が漏れてしまった。
「失恋?」
掴まれていた手首の力が強まる
地味に痛い。
「詳しく聞かせろ」
「それは無理!」
「ダメだ、言うまで離さないからな」
ずずい、と綺麗な顔が近づく
やめて、そんな綺麗な顔で近づいてこないで、全部吐いちゃいそう
「ロゼ...」
スッと手首を掴まれたまま、耳元で囁かれる
「教えてくれ」
滑らかな声が脳に直接響いて、胸がギュッと熱くなる
あぁ、キリアンにこんなふうに頼まれると、私は...
「ぅぁ、キリアン」
多分顔は真っ赤だろう
キリアンを見つめると、先ほどよりも眉間の皺がぐんと深まった
そのまま空き教室に連れられ、
遠くの方で授業が始まる始業ベルが鳴っているのが聞こえた。
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