ストーカーはもうしません!

エヌ

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「それってストーカーじゃなくって?」

とある昼下がりのお茶会で。

1人のご令嬢が驚きと嫌悪感を混ぜた表情で少し大きめの声をあげた。

「すとー、かー?」


「だって四六時中つけまわされて、挙句私物が盗まれていたり、愛の手紙やプレゼントを何度も送られてきているのでしょう?そうとしか言いようがありませんわ!」


やや興奮したのか、鼻息荒く拳を握りしめた令嬢は、そのままダン、と机を叩いた。

令嬢としてはいかがだろうか、その行為。


「早く警備隊に突き出してしまいましょう!」

「そうですわ!」

そうだそうだ、とお茶会に参加している令嬢達は次々と断罪を促している。

当の被害者であるオリヴィエは少し困ったように微笑んでいるだけで何も言わない。

なんてったって件の人物が誰なのかは不明なのだ。

私はと言うと、呆然と、今し方言われたストーカーの定義を脳内で反復させていた。


四六時中つけ回す
愛を綴った手紙を送る
プレゼントを送る
私物を貰う....


それじゃあ、それって


「気持ち悪い」

1人の令嬢がストーカーの男に対して吐き捨てるようにそう表す。


きもち、悪い....


オリヴィエは尚困ったような顔で微笑んでいる。

対して私は、真っ青な顔で何も言えなくなっていた。



もしかして、私って...



ストーカー、なのかもしれない。
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