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CCⅩⅩⅢ 星々の様相と局面編 後編(2)
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第1章。風の行方(5)
その後、アマトを恐怖におとしめた、女子〖ノ〗会が行われる事は、
当然になく、
イルムは、あの部屋の隣の、少人数に対応する応接室で、ナナリス(卿)の、
挨拶を受けようと、着座していた。
ただ先に、リントを、お客様用の席に、座らせている。
「・・リント・・さま・・!?」
アマル筆頭護衛騎士に案内された部屋に入るものの、
ナナリスは、見知った顔の戦士が先にいたことに対し、
思わずその名を、口に出してしまう。
「ナナリス殿、いえ、ナナリス卿。本作戦への従軍、おつかれさまでした。
双月教国からの避難民への護衛への協力・成功へのお礼に、
個人的に、イルム執政官のもとに、来ていたところでした。」
「そうでしたか・・・。わかりました。」
それに頷きナナリスは、立ち上がったイルムの前に進み、屹立の姿勢をとり、
「新双月教国、ならびにシュウレイ將に代り、双月教国からの避難民への護衛、
お礼申し上げます。」
と、しっかりとした口調で礼を申し上げ、あわせて深々と頭を下げる。
「お役に立てて良かった。・・だが、シュウレイ將は残念でした。
それに、スーシル殿、エリミー殿、エルミー殿が、行方不明とか・・・。」
イルムは、執政官として、過不足ない答礼を行う。
「それは、武門の常と言うべきもの。
シュウレイ將軍も、死に場所を得られ、幸せだったのかもしれません。」
ナナリス卿の話が終わるのを待ち、イルムは、ふたりに無言で着席を勧め、
自分自身も、ふたりに合わせて着席する。
「それで、ナナリス卿は、今後はどうなされるのか?」
「・・・・・・・。」
無言で応じるナナリスに、イルムは、先ほどより幾分硬い声で、
再度ナナリスに、問いかける。
「アマトくんを、双月教国と自身の仇と、命を狙い続けるのですか?」
「・・・・・・・。」
「いち武人としては、それもまたよしと思いもしますが、
新帝国の執政官としては、あなたが再び入都されるなら、
危険人物として、拘束・処刑しなければなりません・・・。」
ナナリスは、ため息をつき、一度まぶたを閉じ、そして口を開く。
「イルム執政官殿。リント殿を相席させたのは、なにもせずに新帝国を去るなら、
国境までは、命を保証するという意味ですか・・・。」
「そう、お考えになっても結構です。」
ナナリスは、顔だけをリントの方に向け、真剣な面持ちで問いかける。
「リントさま。ひとつ、お聞きしたい。
なぜ、あなたは、新帝国に帰順なされたのか?」
リントは、手元にあった香茶に手を伸ばし、のどをうるおしてから、
少しずつ口を開いていく。
「・・・むろん、・・・ザイル將から説得も受けたけど・・・、
・・・結局は理かな・・・。
あの戦いに、双月教側の大儀はなかったし、また双月教国支配層の腐敗は、
貴下も知ってのとおり・・・。
・・戦士としてではなく・・、人間として、・・教国を見限った・・。」
「そして、新帝国に来て、日に日に、自分の決断が間違いのないものと、
思えてきているわ・・・・。」
「それに、わたしの今の本心を言うのなら、
新帝国の將として、死ぬ日の未来を思うことに、
わたしは、誇りを思っている。」
そのリントの本心からの告白を聞き、続いてイルムも口を開く。
「ナナリス卿、わたしの過去のことも、ご存じとは思うが、
わたしもクリル大公国の人間でした。ま、見捨てられましたが・・・。
そして、わたしも新帝国のひとりとして戦死するなら、
その瞬間を、誇りと思うことでしょう・・・。」
「・・・・・・・・。」
3人の間に、滑らかで、静かな時間が流れていく。
しばしの時を経て、ナナリスの瞳が、淡く光り、光は言葉に変わる。
「わたしの兄も、友人たちも・・。あの日、新帝国と、暗黒の妖精と会敵して、
ひとりも、戻ってこなかった。
だから、わたしは、いつか仇を討つことを・・・、誓いました・・・。」
「だが、あの御方から、諭されました・・・・。
『恨みを向ける相手が違うようね。
双月教国のバカ司祭どもが、暗黒の妖精の排除に動かなければ、
その日のその事態は起こらなかった。』
と・・・。」
「あの御方!?」
イルムが、珍しくあわてて、言葉をはさむ。
「そう、治癒士のリアさん、いえリアさまです。
イルム殿、これでも、わたしも戦士のはしくれだ。少しは強者のこともわかる。
あの御方が、この新帝国に逗留していることを知り、
しかも、この国に、この国の人間に、好意さえ覚えられている。
ここで何かを起こすほど、信仰心が薄いわけでもありません。」
ナナリス卿の言葉を聞き、その態度を読み取り、リントはイルムに対して、
目で合図を送り、そしてナナリス卿に問いかける。
「つまり、今後の生き方は未定で、新帝国・アマトくんに対しても
もう含むところはないと、いうことだな。だったら・・・。」
「だったら、わたしたちの仲間として、新帝国に留まって、くれないだろうか?」
「仲間・・・!?」
「・・・わたしは、命の捨て場所を考えていて、答えを出せずにいた。
あなた方が、わたしを必要とするなら、同じ場所で、歩かせてもらうわ。」
そこに差し出すイルムの手を、ナナリスは、握りしめた。
第2章。戦後帝国の総決算の施策
「ナナリス卿・・・。」
「卿はよして下さい。シュウレイ將軍が、使者の言葉にも、重みをもたせるため、
戯れに、書状に準爵の言葉を付け足したもの。
叙勲に相応しい武勇もなければ、儀式も行っていない。」
「そうですか、では、今後はわたしも、ナナリスと呼びますので、
わたしたちの名も、私的なところでは、呼び捨てで・・・。」
「わかりました・・・。」
「それでは、ナナリス。あなたに、ふたつのことをお願いしたい。
とりあえずやっていただきたいのは、セプティ陛下の教育。
儀式的な部分、儀礼とか、言葉遣い、食事作法、詩、音曲などをね。」
「同時に、しばらくの間は、名義はわたしの副官として、軍についてもらうわ。
いわゆる、軍からの出向と言う形になるけれど・・・。」
と、リントが付け加える。
「少し待って下さい、いえ、待ってくれ。」
「儀仗隊は、帝国にもあるでしょう。
帝国式儀礼と教国式儀礼には、わずかと言えぬ差異がある。」
と、ナナリスが声を上げる。
「今後新帝国は、皇帝陛下をいただくことになる。
6世との区別を強調するため、儀礼は基本、教国式を踏襲するわ。
教皇猊下や新双月教との、善き関係を諸国に示すためにも・・・。」
「そういうこと・・・。」
「イルム、おまえの施政のひとつを、明確にしておいた方がいい。」
「たしかに・・・、わかったわ。」
リントの指摘に、イルムは即座に、対応する。
「ナナリス、この国は、大公国連合軍に敗戦したあと、自らの支配階級を裁く、
行いをなしていない・・・。」
「すべての罪を、
6世とその一族、ファン・ウィウス侯爵とその一族に押し付けて、
頬かむりをしている連中が、たくさんいるっていうことよ。」
「前線で戦った戦士、そう武官や、貴族の党首など、わかり易い部分は、
大公国連合で、裁断したわ。」
「だが文官、武官のうちでも作戦担当や儀仗隊のような後方の者たち、
街の有力者や、大商人たち、すべての取り巻きたち・・・・。
いまだに、この国の民は、その裁きの声を上げないことはもちろん、
本人たちの自首すらなかった・・・・。」
「だから、わたしは、あの6世の時代、少しでも上級職の可能性がある地位にいた
文官・後方任務の武官はすべて退官させ、
街の有力者や大商人は、皇都より放逐した・・・。」
イルムの話が切れたところで、リントが話を繋ぐ。
「その文官や武官は、罰せず、皇都を放逐されなかったことを
温情とも思わず、その地位を追われた事を理不尽と感じている、か。」
「それどころか、良識派という結社まで作って、活動を行っている。」
「ナナリス・・・。彼らの主張は、ここ20年以上に及ぶあの悪政は、
あくまでも6世とファン・ウィウス侯爵一党がおこなったこと。
自分たちも協力したことはもちろん、いい目にあったことも、
無きことにされている。
それどころか、影ながら、その悪政の妨害を行っていたという絵空事を
平気で主張しているわ。」
「そして、執政官のイルムを追い出し、自分たちに国の運営を任せれば、
国の収益も、国民の収入も、10年あれば2倍にすると、言いまわっている。」
「倍に!?だったら使ってやったら、どう?」
イルムの考えを引き出すため、ナナリスは、あえて間の抜けた質問を、
ぶつけてみる。
「今から、10年とか15年で国が滅ぶなら、それもいいと思う。」
「だけど、新帝国は存続するわ。
彼らを起用したことは、50年も経過すれば、国家を蝕む、
根幹となるでしょうね。
つまり、彼らを使うということは、失政に対して、責任を取らない人間を、
大量発生させていく種を、まいていくに等しい。」
「10年で2倍!?笑わせる。
三大公国で、国費を懐に入れる者、国費を己の利害関係に流した者、
6世やウィウス侯爵のつてで、地位を手に入れたような者は、
徹底的に調べ上げ、国家より削り捨てた。」
「有能でなくても、まともな人間が施政に携われば、
2倍は自然に出来てくる数字。
それを偉そうに言うなんて、自分の無能をさらけだしている!」
イルムの燃えるような言葉に、ナナリスもリントも、
声を失っている。
知らずか知ってか、イルムは、さらに、言葉を続けていく。
「だけど、それは許さない。新帝国は、旧帝国で上級帝民だった奴ら、
今の、自称上級帝民どもの、玩具ではないから。」
「だれにも分かるような失政を行えば、その後、その時の地位に即応して、
裁きが行われる。」
「そして、上位者であればあるほど、罪は重くすべき。」
「それがわたしの、【戦後帝国の総決算からの施策】よ!」
その後、アマトを恐怖におとしめた、女子〖ノ〗会が行われる事は、
当然になく、
イルムは、あの部屋の隣の、少人数に対応する応接室で、ナナリス(卿)の、
挨拶を受けようと、着座していた。
ただ先に、リントを、お客様用の席に、座らせている。
「・・リント・・さま・・!?」
アマル筆頭護衛騎士に案内された部屋に入るものの、
ナナリスは、見知った顔の戦士が先にいたことに対し、
思わずその名を、口に出してしまう。
「ナナリス殿、いえ、ナナリス卿。本作戦への従軍、おつかれさまでした。
双月教国からの避難民への護衛への協力・成功へのお礼に、
個人的に、イルム執政官のもとに、来ていたところでした。」
「そうでしたか・・・。わかりました。」
それに頷きナナリスは、立ち上がったイルムの前に進み、屹立の姿勢をとり、
「新双月教国、ならびにシュウレイ將に代り、双月教国からの避難民への護衛、
お礼申し上げます。」
と、しっかりとした口調で礼を申し上げ、あわせて深々と頭を下げる。
「お役に立てて良かった。・・だが、シュウレイ將は残念でした。
それに、スーシル殿、エリミー殿、エルミー殿が、行方不明とか・・・。」
イルムは、執政官として、過不足ない答礼を行う。
「それは、武門の常と言うべきもの。
シュウレイ將軍も、死に場所を得られ、幸せだったのかもしれません。」
ナナリス卿の話が終わるのを待ち、イルムは、ふたりに無言で着席を勧め、
自分自身も、ふたりに合わせて着席する。
「それで、ナナリス卿は、今後はどうなされるのか?」
「・・・・・・・。」
無言で応じるナナリスに、イルムは、先ほどより幾分硬い声で、
再度ナナリスに、問いかける。
「アマトくんを、双月教国と自身の仇と、命を狙い続けるのですか?」
「・・・・・・・。」
「いち武人としては、それもまたよしと思いもしますが、
新帝国の執政官としては、あなたが再び入都されるなら、
危険人物として、拘束・処刑しなければなりません・・・。」
ナナリスは、ため息をつき、一度まぶたを閉じ、そして口を開く。
「イルム執政官殿。リント殿を相席させたのは、なにもせずに新帝国を去るなら、
国境までは、命を保証するという意味ですか・・・。」
「そう、お考えになっても結構です。」
ナナリスは、顔だけをリントの方に向け、真剣な面持ちで問いかける。
「リントさま。ひとつ、お聞きしたい。
なぜ、あなたは、新帝国に帰順なされたのか?」
リントは、手元にあった香茶に手を伸ばし、のどをうるおしてから、
少しずつ口を開いていく。
「・・・むろん、・・・ザイル將から説得も受けたけど・・・、
・・・結局は理かな・・・。
あの戦いに、双月教側の大儀はなかったし、また双月教国支配層の腐敗は、
貴下も知ってのとおり・・・。
・・戦士としてではなく・・、人間として、・・教国を見限った・・。」
「そして、新帝国に来て、日に日に、自分の決断が間違いのないものと、
思えてきているわ・・・・。」
「それに、わたしの今の本心を言うのなら、
新帝国の將として、死ぬ日の未来を思うことに、
わたしは、誇りを思っている。」
そのリントの本心からの告白を聞き、続いてイルムも口を開く。
「ナナリス卿、わたしの過去のことも、ご存じとは思うが、
わたしもクリル大公国の人間でした。ま、見捨てられましたが・・・。
そして、わたしも新帝国のひとりとして戦死するなら、
その瞬間を、誇りと思うことでしょう・・・。」
「・・・・・・・・。」
3人の間に、滑らかで、静かな時間が流れていく。
しばしの時を経て、ナナリスの瞳が、淡く光り、光は言葉に変わる。
「わたしの兄も、友人たちも・・。あの日、新帝国と、暗黒の妖精と会敵して、
ひとりも、戻ってこなかった。
だから、わたしは、いつか仇を討つことを・・・、誓いました・・・。」
「だが、あの御方から、諭されました・・・・。
『恨みを向ける相手が違うようね。
双月教国のバカ司祭どもが、暗黒の妖精の排除に動かなければ、
その日のその事態は起こらなかった。』
と・・・。」
「あの御方!?」
イルムが、珍しくあわてて、言葉をはさむ。
「そう、治癒士のリアさん、いえリアさまです。
イルム殿、これでも、わたしも戦士のはしくれだ。少しは強者のこともわかる。
あの御方が、この新帝国に逗留していることを知り、
しかも、この国に、この国の人間に、好意さえ覚えられている。
ここで何かを起こすほど、信仰心が薄いわけでもありません。」
ナナリス卿の言葉を聞き、その態度を読み取り、リントはイルムに対して、
目で合図を送り、そしてナナリス卿に問いかける。
「つまり、今後の生き方は未定で、新帝国・アマトくんに対しても
もう含むところはないと、いうことだな。だったら・・・。」
「だったら、わたしたちの仲間として、新帝国に留まって、くれないだろうか?」
「仲間・・・!?」
「・・・わたしは、命の捨て場所を考えていて、答えを出せずにいた。
あなた方が、わたしを必要とするなら、同じ場所で、歩かせてもらうわ。」
そこに差し出すイルムの手を、ナナリスは、握りしめた。
第2章。戦後帝国の総決算の施策
「ナナリス卿・・・。」
「卿はよして下さい。シュウレイ將軍が、使者の言葉にも、重みをもたせるため、
戯れに、書状に準爵の言葉を付け足したもの。
叙勲に相応しい武勇もなければ、儀式も行っていない。」
「そうですか、では、今後はわたしも、ナナリスと呼びますので、
わたしたちの名も、私的なところでは、呼び捨てで・・・。」
「わかりました・・・。」
「それでは、ナナリス。あなたに、ふたつのことをお願いしたい。
とりあえずやっていただきたいのは、セプティ陛下の教育。
儀式的な部分、儀礼とか、言葉遣い、食事作法、詩、音曲などをね。」
「同時に、しばらくの間は、名義はわたしの副官として、軍についてもらうわ。
いわゆる、軍からの出向と言う形になるけれど・・・。」
と、リントが付け加える。
「少し待って下さい、いえ、待ってくれ。」
「儀仗隊は、帝国にもあるでしょう。
帝国式儀礼と教国式儀礼には、わずかと言えぬ差異がある。」
と、ナナリスが声を上げる。
「今後新帝国は、皇帝陛下をいただくことになる。
6世との区別を強調するため、儀礼は基本、教国式を踏襲するわ。
教皇猊下や新双月教との、善き関係を諸国に示すためにも・・・。」
「そういうこと・・・。」
「イルム、おまえの施政のひとつを、明確にしておいた方がいい。」
「たしかに・・・、わかったわ。」
リントの指摘に、イルムは即座に、対応する。
「ナナリス、この国は、大公国連合軍に敗戦したあと、自らの支配階級を裁く、
行いをなしていない・・・。」
「すべての罪を、
6世とその一族、ファン・ウィウス侯爵とその一族に押し付けて、
頬かむりをしている連中が、たくさんいるっていうことよ。」
「前線で戦った戦士、そう武官や、貴族の党首など、わかり易い部分は、
大公国連合で、裁断したわ。」
「だが文官、武官のうちでも作戦担当や儀仗隊のような後方の者たち、
街の有力者や、大商人たち、すべての取り巻きたち・・・・。
いまだに、この国の民は、その裁きの声を上げないことはもちろん、
本人たちの自首すらなかった・・・・。」
「だから、わたしは、あの6世の時代、少しでも上級職の可能性がある地位にいた
文官・後方任務の武官はすべて退官させ、
街の有力者や大商人は、皇都より放逐した・・・。」
イルムの話が切れたところで、リントが話を繋ぐ。
「その文官や武官は、罰せず、皇都を放逐されなかったことを
温情とも思わず、その地位を追われた事を理不尽と感じている、か。」
「それどころか、良識派という結社まで作って、活動を行っている。」
「ナナリス・・・。彼らの主張は、ここ20年以上に及ぶあの悪政は、
あくまでも6世とファン・ウィウス侯爵一党がおこなったこと。
自分たちも協力したことはもちろん、いい目にあったことも、
無きことにされている。
それどころか、影ながら、その悪政の妨害を行っていたという絵空事を
平気で主張しているわ。」
「そして、執政官のイルムを追い出し、自分たちに国の運営を任せれば、
国の収益も、国民の収入も、10年あれば2倍にすると、言いまわっている。」
「倍に!?だったら使ってやったら、どう?」
イルムの考えを引き出すため、ナナリスは、あえて間の抜けた質問を、
ぶつけてみる。
「今から、10年とか15年で国が滅ぶなら、それもいいと思う。」
「だけど、新帝国は存続するわ。
彼らを起用したことは、50年も経過すれば、国家を蝕む、
根幹となるでしょうね。
つまり、彼らを使うということは、失政に対して、責任を取らない人間を、
大量発生させていく種を、まいていくに等しい。」
「10年で2倍!?笑わせる。
三大公国で、国費を懐に入れる者、国費を己の利害関係に流した者、
6世やウィウス侯爵のつてで、地位を手に入れたような者は、
徹底的に調べ上げ、国家より削り捨てた。」
「有能でなくても、まともな人間が施政に携われば、
2倍は自然に出来てくる数字。
それを偉そうに言うなんて、自分の無能をさらけだしている!」
イルムの燃えるような言葉に、ナナリスもリントも、
声を失っている。
知らずか知ってか、イルムは、さらに、言葉を続けていく。
「だけど、それは許さない。新帝国は、旧帝国で上級帝民だった奴ら、
今の、自称上級帝民どもの、玩具ではないから。」
「だれにも分かるような失政を行えば、その後、その時の地位に即応して、
裁きが行われる。」
「そして、上位者であればあるほど、罪は重くすべき。」
「それがわたしの、【戦後帝国の総決算からの施策】よ!」
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