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ⅬⅩⅦ 欺罔編 後編(1)
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第1章。妖精契約者の憂鬱
聖剣を掲げる美貌の人外の周りに、凄まじい陽炎が、立ち昇っている。
その神々しい姿を見上げる、周りの人間の歓声とざわめきのなか、
アマトは、あの時を思い出して、大きなため息をついていた。
☆☆☆☆
名誉学長室で、まったりしているふたりの妖精と、真剣な表情のアマト。
「ラティスさん、あの北の二つの魔の山の破壊の件だけど・・・」
伝説の火の妖精の分身体のツーリアに恫喝されて、暗黒の妖精に挑む、
ちょっと勇敢な契約者さんである。
「はあ~アマト。あんたこの私に反対するわけ!」
美貌の人外に睨まれ、ひと言で、負け戦模様になってしまう、
いつものアマトさんである。
「だけどラティスさん、・・・」
いつもと違い今回は、ラファイアも参戦してくる。
「アマトさん。800年前から開催されていたその聖なる祭りを、
20年ぶりに復活させるのに、帝都の裏の街の人が徴収しようとした協賛金が
信じられない額だったんです。」
「暗黒の妖精を貶める祭りの意図は素晴らしいですが、
白光の妖精の名を冠した祭りが 金集めの手段に
使われたんですよ。」
「帝都から魔の山に、聖鈴・聖笛・聖琴などを鳴らしながら、
巡幸しなければならないための必要な費用などといって。」
「そうよアマト。だから、あの不道徳な北の魔の山を無くしてしまえば、
巡幸そのものを、しなくていいじゃない。」
「だとしたら、私が魔力を振うのは神々の意思に合致するのではなくて。」
「それともなに。暗黒の妖精を貶めているんだから、アピスさんみたいに、
2つの都市・複数の騎士団を流砂に化さないと、契約者様としては
お気に召さないわけ?」
「ラティスさんがやらないというなら、私がやりますよ。
ラティスさんが出来る事ぐらいなら、私もできますしね。」
「そうよ。ラファイスのまがいものの妖精もこう言っているんだから、
いい加減納得しなさい。」
「けどあれって、ラティスさんと魔の山の禍々しさが一致するのが、そもそも
原因じゃないですか。本当に、何もしていないんですか?」
その言葉を聞いて、ラティスの笑顔が少し固まる。
お互いに微笑み合うふたりの妖精・・・・・・。
結局、いつものように、アマトは何もできないまま、
ふたりの妖精に押し切られたのであった。
☆☆☆☆
無論、魔の山を消滅させた後、大団円で終わる事もなく・・・。
「ラファイア、あの山の後ろに控えさせた、あんたの分身体はどういう意味?」
「そのままの意味ですよ。失敗して、遥か後ろの山脈を吹き飛ばさないよう、
待機させていたんですが。」
「このわたしが、失敗するとおもったの。」
「だいたいこういう状況では、1万回中5001回は失敗してきたでしょう。」
「はあ~、ラファイア。喧嘩うってるの!」
「事実でしょう。ラティスさんとのお付き合いは、長いんですから。
無論ない知恵を絞って、魔力を抑え命中精度を上げるために、
聖剣エックスクラメンツを使ったのは、
評価してあげても構いませんけど。」
「なによ、その上から目線は!」
「まさか白光の妖精が、暗黒の妖精の格下だとでも、思っているんですか?」
あいかわらず賑やかな、白と黒の妖精さんである。
他人から見えぬ、塔壁の影でやり取りを聞いている、義妹エリースの視線が
ふつふつと滾っているのに気付き、ここでエリース・リーエを巻き込んでの
リクリエーションは避けさせるべく、
なんとか、ふたりの妖精の仲裁に入ろうとする、契約者のアマト。
だが、ひと言話しかけようとする前に、ふたりの妖精の見えざる力に
吹き飛ばされ、塔の壁に打ち付けられ、目を回す。
「何してんの、ラファイア!」
「これは、ラティスさんの魔力のせいでしょう!」
慌てて駆け寄る、ふたりの妖精。
今日はリクリエーションまでは発展しないようだ。
・・・・・・・
『あ~あ、義兄ィ。まあ、ラティス一人でも手に負えないのに、
ラファイアまで相手にして、止めにはいるならねぇ~。』
義兄の奮闘に怒り和らげる、つまりはヘタレなアマトに大甘のエリース。
『さてさて、まずはどうやってツーリアのご機嫌を直してもらうか・・・。』
ダメな義兄ィの尻ぬぐいに頭を悩ませる、そういうところはかわいい,
義妹さんである。
『ん、そういえば、始めにラティスが暴発した時、リーエもいたはずだよね。』
エリースはリーエを睨む。
瞬時に、 そうです私は風の超上級妖精のリーエさんです ポーズをとり、
契約者の追及を反らそうとするリーエ。
エリースもさすがにこれには、ため息をついた。
第2章。ミカル大公国宰相トリハの尽力(3)
ミカル大公国宰相トリハは、鉄馬車にて、アバウト学院の門をくぐり
その白亜の建物を改めて、窓から見ている。
以前見た時は、壁は汚れ、ひびがはいり、ツタも覆い茂り、それは暮れゆく帝国
ー帝国本領ーの象徴のような建造物であった。
しかし今は、夕陽に輝く白亜の殿堂、帝国の最盛期の威容を取り戻している。
『帝都の小高い丘の上に立つ、この象徴を見て、明日の太陽が昇らぬと
思う者はおるまい。これを一夜にして復活させたと。』
そして考えを重ねる。
『帝都の治安は、夜を中心に著しく改善されている。それにテムス大公国との
交流増加で活気を取り戻し、帝都を捨てた者も戻ってきているか。』
鉄馬車は、建物の入り口前で止まる。威厳のある老人と若い付き人が、
トリハを出迎える。
「これは、これは、トリハ卿。ミカルの切れ者の宰相のお話は、
よくお聞きしております。
私めは、この学院で講師のまとめ役をしているハイヤーンと申します。
お目にかかれて、嬉しく思います。」
「ハイヤーン老であらせますか。お噂はかねがね。いつかはミカルの若者にも
そのご叡智をご教授いただければと、考えておりました。」
「ミカルの宰相殿にそのような言葉をいただくとは、このハイヤーン、
まだまだ死ねませんな。」
『なるほど、敵意がないことを示すために、妖精学の泰斗、ハイヤーン老を。
イルム將の差し金か。さすがに隠形の軍師と、二つ名があるだけの事はある。』
柔らかい笑いが、その場を支配する。
「あ、そうそう、失礼しました。こちらは準講師のアマトと申す者。
閣下を、部屋まで案内させます。」
『暗黒の妖精の契約者!?』
大公国宰相は、顔色を少しも変えず、その情けない容姿を注視する。
『なんなのだ。この存在感のなさと、気付いたときの薄気味悪い感覚は。
ミリナ様がおっしゃったのがこれか。』
トリハは腰の剣を外し、従者に差し出す。
「閣下!」
その行為に驚いて、従者が声を上げる。
「いいから、まっておれ。先に帰ってもいいぞ。」
「おたわむれでも、そのようなことは。終わられるまでお待ちしております。」
「やれやれ、ミカルの騎士は融通がきかん。ではアマト殿、案内をお願いする。」
「では、こちらに。」
トリハは、廊下の前を案内する影の薄い若者に、
『私とて、上級妖精契約契約者。我が命をかければ、あるいは。』
と、武人として覚悟を決める。
『魔力を・・・。』
瞬時に、暗黒の圧倒的な魔力が彼に纏わりつく。
『これは!』
桁違いの魔力の圧に、恐怖を超え感動さえ覚える、
ミカル大公国の宰相、いや戦士。
「テムス大公国大使ズホール卿、クリル大公国大使オルト卿、
そして帝国本領のイルム將は、先に来てお待ちです。」
前を行く準講師から、この場にそぐわない、言葉がかかる。
『この男、自分を守っている魔力を知らないのか?しかし、これではな・・・。』
心地良い笑いが、こみあげてくる。
「いや、そうですか。長くお待たせしてないでしょうか?」
トリハは、いつもの宰相に戻って、穏やかにアマトに尋ねた。
第3章。四者会合
型通りの挨拶が終わった後、テムス大公国ズホール卿、クリル大公国オルト卿、
そして旧帝国本領のイルム將は、無言で円卓についている。
3人供自分の目で目撃した光景
《暗黒の妖精のけた外れた魔力ー巨大な光の槍で、手前の山を崩壊させ、
聖剣から放たれた光で、後ろの山を瞬時に消滅させた》が、
世界各国の軍事地図・政治情勢を一変させたのを、肌で感じている。
で、なければミカル大公国宰相トリハの呼びかけにも、応じなかっただろう。
その点で言えば、四人供、神々がこの時代に送り出した非凡なる
才人たちといえよう。
・・・・・・・・
扉が叩かれる。3人は一斉に立ち上がり、扉を注視する。
「ズホール卿・オルト卿・イルム將、トリハ宰相をお連れしました。」
情けない準講師の声が響く。準講師はトリハ宰相を中に招き入れ、
一礼して、この場を立ち去る。
トリハ宰相は扉が閉まるを確認して、おもむろに話し出す。
「ズホール卿、オルト卿、イルム將、一瞥以来ですな。各々ご壮健でなにより。
今日は私のわがままにお集まりいただき、まずは礼を申し上げます。」
トリハ宰相は着座し、それにあわせて3人も椅子に座る。
「今回の会合は、今後の3大公国と旧本領の将来に対する予備会談と思って
いただければ、幸いに思いますが・・・。」
トリハ宰相は、単刀直入に話にはいる。
「旧帝国本領の領土の配分と8世の即位の是非。そして新帝の権限と考えて
よろしいですか、トリハ卿。」
「それの大枠をと思うております、オルト卿。
他のお二方も、それでよろしいですかな?」
ズホール卿とイルム將は軽く肯く。
「テムスとしましては、先日クリル大公国、ミカル大公国に書状にて表示
しましたように、両大公国が領土・即位・権限について合意がなれば、
基本反対はしませんが、レオヤヌス大公陛下、レリウス大公陛下は
8世位に未練を持たれませんかな?」
と言いつつもズホール卿は、トリハ宰相とオルト卿の顔色をうかがう。
「それに関して言えば、ひとつ私のほうから、ご提案があります。」
3人は、イルム將を見つめる。
「セプティ様を、王帝8世陛下としてではなく、初代皇帝陛下として
即位させたらいかがかと。」
「王帝ではなく、1000年以上、誰も見向きもしなかった冠位ですか。」
オルト卿が首を傾げながら、トリハ宰相を盗み見る。
「さすがは、隠形の軍師殿。よくそういう、錆びついた誰も欲しがらない
ものを持ち出されましたな。」
「確かに、皇帝を名乗った国は、次代で滅び去ったものが多く。
不吉な位として、誰も名乗りませんでしたからな。」
トリハ宰相が、歴史に思いを巡らせつつ、話を受ける。
「皇帝ですか。つまり、王帝位を空位として、しばらくの間先送りすると。」
「オルト卿、クリル大公国でさえ、内と外に敵をつくる余力がない事は
このイルム、よく存じ上げております。」
「それがわかっていても、セプティ様を8世陛下にすれば、レオヤヌス大公陛下は
こぶしを振り上げましょう。」
オルト卿はしばらく沈黙し、話をトリハ宰相にむける。
「では、レリウス大公陛下はいかがかな、トリハ卿。」
「オルト卿、8世位に興味がないなどと、綺麗ごとは言うつもりはありません。
だが我が主君は、待つ事が出来る御方と申しておきましょう。」
トリハ宰相は、そう答えた後、香茶を一口、口に流し込む。
「王国連合との戦が終わるまでは、8世位の話は、先送りにしてもよいのでは?」
ズホール卿が、トリハ宰相とオルト卿に提案を示す。
「もし、暗黒の妖精のあの示威行為がなければ、『否』と申しましたが・・・。」
「セプティ様が、8世位を求めぬというのであれば、レオヤヌス大公陛下も
あるいは、『諾』と申されるかもしれません。」
オルト卿も、クリルの内情を考え、渋々ながらその線しかないなと同意する。
「イルム將、暗黒の妖精の行為はあなたが考えた事ですか?」
「トリハ宰相、残念ながら私の意図したものではありません。」
「そうですか。あれを見て平気でいられるのは、テムス大公国ぐらいの
ものですかな。」
と、トリハ宰相はズホール卿の答えを伺う。沈黙するズホール卿に、
「わがクリルも、ファウス妃の契約妖精については、思うところがあります。」
と、オルト卿が、一歩踏み込んで話を重ねる。それに対しズホール卿は、
「私の方からは、アウレス大公陛下もファウス妃陛下も、8世位には
全く関心を持たれてないとしか、申しあげられませんな。」
トリハ宰相は軽くため息つき、改めてある質問をイルム將にぶつける。
「イルム將、あなた方は、暗黒の妖精の契約者を、どう遇されるおつもりか?」
「それは、今回の会合の趣旨にはなかったことかと。」
「いや、レリウス大公陛下がこの件に関しては、非常に神経質になって
おられるのでな。」
「意味が分かりませんが。」
「ふふ、あなたが気付かぬはずはあるまい。ありていに申せば、8世位を狙うのが
もう一人増えるのではないか、ということです。」
「その御懸念を払拭すべく、その本人に、この場に案内させたのですが。」
「やはり、そうでしたか。」
「宰相閣下からみて、アマト準講師は、王帝位を掴める器でしたか?」
「・・・・、とてもその器には思えなかった。」
「トリハ卿、我がテムスは、本領と親しくさせていただいておりますが
個人としては、その以上の懸念がある事を、イルム將に話した事が
あります。」
と、ズホール卿が話に加わってくる。
「その時、イルム將は、アマト殿がそうならぬよう、一年間の学院での
幸せな時間をすごさせてやりたいと、おっしゃたのです。」
「・・・・・・・・。」
沈黙したトリハ宰相に、イルムはあらためて話をおこなう。
「はっきり申せば、このイルムは、アマト君が虐殺者オフトレ2世になる懸念も
当初はどこかで思っていました。」
「だが今はそれはないかと、判断しております。」
「それに、ひとりの若者が徒手空拳で、王位なり、王帝位なりにを
掴み取る、そのような時代は終わったかと、私は思います。」
歴史を考えれば当然すぎる帰結に、それでもトリハ宰相は疑問を
感じてしまう。
なぜなら、才無き自分が、騎士未満の身分から、ミカル大公国宰相の地位を
得たのだ。多少の才ある者なら、それも可能であろうと。
沈黙を続ける、トリハ宰相に代わって、オルト卿がイルム將に尋ねる。
「では、新皇帝国は、あの少年を摂政なりにはせぬと。」
「本人の力量しだいでしょうが、学ぶことが多すぎます。」
「そうでしょうな。」
アマトの、もうひとりの契約妖精を知る、ズホール卿が同意し、
巧みに話をずらしにかかる。
「だが、王国連合との戦が避けられる方策があれば、それも議題にした方が
いいかと存じます。」
「それは不可能でありましょう、ズホール卿。」
「貴族が10分の1以下に減った貴国や、貴族がいない新皇帝国と違い
彼の国々も、領土の獲得を望む貴族らは多かろうという事です。」
「それに、戦を望む輩も、どこそこにいますし。」
それまで、沈黙を守っていた、トリハ宰相が話に戻る。
「つまりは4ヶ国の絆がしっかりと構築できれば、緊張ある平和を
保てる可能性があると信じたい。」
☆☆☆☆
それから、深夜まで続いた話合いだが、以下のように四者は折り合った。
『 ➀8世位は、しばらくの間は空位とする。
②セプティ陛下が、皇帝として即位する事を、3大公国は黙認する。
③皇帝は、他の大公国になんらの、命令権はもたない。
④旧帝国本領は、皇帝領としてその7分の2を、クリル大公国に7分の3を
ミカル大公国・テムス大公国にそれぞれ7分の1を分割する。
⑤帝都は皇帝都と名称を変更する。
⑥一か国でも、王国連合と戦になれば、他の国も自動的に参戦する。
⑦王国連合以外の他諸国と諍いが生じた場合は、最低でも中立を保つ。 』
聖剣を掲げる美貌の人外の周りに、凄まじい陽炎が、立ち昇っている。
その神々しい姿を見上げる、周りの人間の歓声とざわめきのなか、
アマトは、あの時を思い出して、大きなため息をついていた。
☆☆☆☆
名誉学長室で、まったりしているふたりの妖精と、真剣な表情のアマト。
「ラティスさん、あの北の二つの魔の山の破壊の件だけど・・・」
伝説の火の妖精の分身体のツーリアに恫喝されて、暗黒の妖精に挑む、
ちょっと勇敢な契約者さんである。
「はあ~アマト。あんたこの私に反対するわけ!」
美貌の人外に睨まれ、ひと言で、負け戦模様になってしまう、
いつものアマトさんである。
「だけどラティスさん、・・・」
いつもと違い今回は、ラファイアも参戦してくる。
「アマトさん。800年前から開催されていたその聖なる祭りを、
20年ぶりに復活させるのに、帝都の裏の街の人が徴収しようとした協賛金が
信じられない額だったんです。」
「暗黒の妖精を貶める祭りの意図は素晴らしいですが、
白光の妖精の名を冠した祭りが 金集めの手段に
使われたんですよ。」
「帝都から魔の山に、聖鈴・聖笛・聖琴などを鳴らしながら、
巡幸しなければならないための必要な費用などといって。」
「そうよアマト。だから、あの不道徳な北の魔の山を無くしてしまえば、
巡幸そのものを、しなくていいじゃない。」
「だとしたら、私が魔力を振うのは神々の意思に合致するのではなくて。」
「それともなに。暗黒の妖精を貶めているんだから、アピスさんみたいに、
2つの都市・複数の騎士団を流砂に化さないと、契約者様としては
お気に召さないわけ?」
「ラティスさんがやらないというなら、私がやりますよ。
ラティスさんが出来る事ぐらいなら、私もできますしね。」
「そうよ。ラファイスのまがいものの妖精もこう言っているんだから、
いい加減納得しなさい。」
「けどあれって、ラティスさんと魔の山の禍々しさが一致するのが、そもそも
原因じゃないですか。本当に、何もしていないんですか?」
その言葉を聞いて、ラティスの笑顔が少し固まる。
お互いに微笑み合うふたりの妖精・・・・・・。
結局、いつものように、アマトは何もできないまま、
ふたりの妖精に押し切られたのであった。
☆☆☆☆
無論、魔の山を消滅させた後、大団円で終わる事もなく・・・。
「ラファイア、あの山の後ろに控えさせた、あんたの分身体はどういう意味?」
「そのままの意味ですよ。失敗して、遥か後ろの山脈を吹き飛ばさないよう、
待機させていたんですが。」
「このわたしが、失敗するとおもったの。」
「だいたいこういう状況では、1万回中5001回は失敗してきたでしょう。」
「はあ~、ラファイア。喧嘩うってるの!」
「事実でしょう。ラティスさんとのお付き合いは、長いんですから。
無論ない知恵を絞って、魔力を抑え命中精度を上げるために、
聖剣エックスクラメンツを使ったのは、
評価してあげても構いませんけど。」
「なによ、その上から目線は!」
「まさか白光の妖精が、暗黒の妖精の格下だとでも、思っているんですか?」
あいかわらず賑やかな、白と黒の妖精さんである。
他人から見えぬ、塔壁の影でやり取りを聞いている、義妹エリースの視線が
ふつふつと滾っているのに気付き、ここでエリース・リーエを巻き込んでの
リクリエーションは避けさせるべく、
なんとか、ふたりの妖精の仲裁に入ろうとする、契約者のアマト。
だが、ひと言話しかけようとする前に、ふたりの妖精の見えざる力に
吹き飛ばされ、塔の壁に打ち付けられ、目を回す。
「何してんの、ラファイア!」
「これは、ラティスさんの魔力のせいでしょう!」
慌てて駆け寄る、ふたりの妖精。
今日はリクリエーションまでは発展しないようだ。
・・・・・・・
『あ~あ、義兄ィ。まあ、ラティス一人でも手に負えないのに、
ラファイアまで相手にして、止めにはいるならねぇ~。』
義兄の奮闘に怒り和らげる、つまりはヘタレなアマトに大甘のエリース。
『さてさて、まずはどうやってツーリアのご機嫌を直してもらうか・・・。』
ダメな義兄ィの尻ぬぐいに頭を悩ませる、そういうところはかわいい,
義妹さんである。
『ん、そういえば、始めにラティスが暴発した時、リーエもいたはずだよね。』
エリースはリーエを睨む。
瞬時に、 そうです私は風の超上級妖精のリーエさんです ポーズをとり、
契約者の追及を反らそうとするリーエ。
エリースもさすがにこれには、ため息をついた。
第2章。ミカル大公国宰相トリハの尽力(3)
ミカル大公国宰相トリハは、鉄馬車にて、アバウト学院の門をくぐり
その白亜の建物を改めて、窓から見ている。
以前見た時は、壁は汚れ、ひびがはいり、ツタも覆い茂り、それは暮れゆく帝国
ー帝国本領ーの象徴のような建造物であった。
しかし今は、夕陽に輝く白亜の殿堂、帝国の最盛期の威容を取り戻している。
『帝都の小高い丘の上に立つ、この象徴を見て、明日の太陽が昇らぬと
思う者はおるまい。これを一夜にして復活させたと。』
そして考えを重ねる。
『帝都の治安は、夜を中心に著しく改善されている。それにテムス大公国との
交流増加で活気を取り戻し、帝都を捨てた者も戻ってきているか。』
鉄馬車は、建物の入り口前で止まる。威厳のある老人と若い付き人が、
トリハを出迎える。
「これは、これは、トリハ卿。ミカルの切れ者の宰相のお話は、
よくお聞きしております。
私めは、この学院で講師のまとめ役をしているハイヤーンと申します。
お目にかかれて、嬉しく思います。」
「ハイヤーン老であらせますか。お噂はかねがね。いつかはミカルの若者にも
そのご叡智をご教授いただければと、考えておりました。」
「ミカルの宰相殿にそのような言葉をいただくとは、このハイヤーン、
まだまだ死ねませんな。」
『なるほど、敵意がないことを示すために、妖精学の泰斗、ハイヤーン老を。
イルム將の差し金か。さすがに隠形の軍師と、二つ名があるだけの事はある。』
柔らかい笑いが、その場を支配する。
「あ、そうそう、失礼しました。こちらは準講師のアマトと申す者。
閣下を、部屋まで案内させます。」
『暗黒の妖精の契約者!?』
大公国宰相は、顔色を少しも変えず、その情けない容姿を注視する。
『なんなのだ。この存在感のなさと、気付いたときの薄気味悪い感覚は。
ミリナ様がおっしゃったのがこれか。』
トリハは腰の剣を外し、従者に差し出す。
「閣下!」
その行為に驚いて、従者が声を上げる。
「いいから、まっておれ。先に帰ってもいいぞ。」
「おたわむれでも、そのようなことは。終わられるまでお待ちしております。」
「やれやれ、ミカルの騎士は融通がきかん。ではアマト殿、案内をお願いする。」
「では、こちらに。」
トリハは、廊下の前を案内する影の薄い若者に、
『私とて、上級妖精契約契約者。我が命をかければ、あるいは。』
と、武人として覚悟を決める。
『魔力を・・・。』
瞬時に、暗黒の圧倒的な魔力が彼に纏わりつく。
『これは!』
桁違いの魔力の圧に、恐怖を超え感動さえ覚える、
ミカル大公国の宰相、いや戦士。
「テムス大公国大使ズホール卿、クリル大公国大使オルト卿、
そして帝国本領のイルム將は、先に来てお待ちです。」
前を行く準講師から、この場にそぐわない、言葉がかかる。
『この男、自分を守っている魔力を知らないのか?しかし、これではな・・・。』
心地良い笑いが、こみあげてくる。
「いや、そうですか。長くお待たせしてないでしょうか?」
トリハは、いつもの宰相に戻って、穏やかにアマトに尋ねた。
第3章。四者会合
型通りの挨拶が終わった後、テムス大公国ズホール卿、クリル大公国オルト卿、
そして旧帝国本領のイルム將は、無言で円卓についている。
3人供自分の目で目撃した光景
《暗黒の妖精のけた外れた魔力ー巨大な光の槍で、手前の山を崩壊させ、
聖剣から放たれた光で、後ろの山を瞬時に消滅させた》が、
世界各国の軍事地図・政治情勢を一変させたのを、肌で感じている。
で、なければミカル大公国宰相トリハの呼びかけにも、応じなかっただろう。
その点で言えば、四人供、神々がこの時代に送り出した非凡なる
才人たちといえよう。
・・・・・・・・
扉が叩かれる。3人は一斉に立ち上がり、扉を注視する。
「ズホール卿・オルト卿・イルム將、トリハ宰相をお連れしました。」
情けない準講師の声が響く。準講師はトリハ宰相を中に招き入れ、
一礼して、この場を立ち去る。
トリハ宰相は扉が閉まるを確認して、おもむろに話し出す。
「ズホール卿、オルト卿、イルム將、一瞥以来ですな。各々ご壮健でなにより。
今日は私のわがままにお集まりいただき、まずは礼を申し上げます。」
トリハ宰相は着座し、それにあわせて3人も椅子に座る。
「今回の会合は、今後の3大公国と旧本領の将来に対する予備会談と思って
いただければ、幸いに思いますが・・・。」
トリハ宰相は、単刀直入に話にはいる。
「旧帝国本領の領土の配分と8世の即位の是非。そして新帝の権限と考えて
よろしいですか、トリハ卿。」
「それの大枠をと思うております、オルト卿。
他のお二方も、それでよろしいですかな?」
ズホール卿とイルム將は軽く肯く。
「テムスとしましては、先日クリル大公国、ミカル大公国に書状にて表示
しましたように、両大公国が領土・即位・権限について合意がなれば、
基本反対はしませんが、レオヤヌス大公陛下、レリウス大公陛下は
8世位に未練を持たれませんかな?」
と言いつつもズホール卿は、トリハ宰相とオルト卿の顔色をうかがう。
「それに関して言えば、ひとつ私のほうから、ご提案があります。」
3人は、イルム將を見つめる。
「セプティ様を、王帝8世陛下としてではなく、初代皇帝陛下として
即位させたらいかがかと。」
「王帝ではなく、1000年以上、誰も見向きもしなかった冠位ですか。」
オルト卿が首を傾げながら、トリハ宰相を盗み見る。
「さすがは、隠形の軍師殿。よくそういう、錆びついた誰も欲しがらない
ものを持ち出されましたな。」
「確かに、皇帝を名乗った国は、次代で滅び去ったものが多く。
不吉な位として、誰も名乗りませんでしたからな。」
トリハ宰相が、歴史に思いを巡らせつつ、話を受ける。
「皇帝ですか。つまり、王帝位を空位として、しばらくの間先送りすると。」
「オルト卿、クリル大公国でさえ、内と外に敵をつくる余力がない事は
このイルム、よく存じ上げております。」
「それがわかっていても、セプティ様を8世陛下にすれば、レオヤヌス大公陛下は
こぶしを振り上げましょう。」
オルト卿はしばらく沈黙し、話をトリハ宰相にむける。
「では、レリウス大公陛下はいかがかな、トリハ卿。」
「オルト卿、8世位に興味がないなどと、綺麗ごとは言うつもりはありません。
だが我が主君は、待つ事が出来る御方と申しておきましょう。」
トリハ宰相は、そう答えた後、香茶を一口、口に流し込む。
「王国連合との戦が終わるまでは、8世位の話は、先送りにしてもよいのでは?」
ズホール卿が、トリハ宰相とオルト卿に提案を示す。
「もし、暗黒の妖精のあの示威行為がなければ、『否』と申しましたが・・・。」
「セプティ様が、8世位を求めぬというのであれば、レオヤヌス大公陛下も
あるいは、『諾』と申されるかもしれません。」
オルト卿も、クリルの内情を考え、渋々ながらその線しかないなと同意する。
「イルム將、暗黒の妖精の行為はあなたが考えた事ですか?」
「トリハ宰相、残念ながら私の意図したものではありません。」
「そうですか。あれを見て平気でいられるのは、テムス大公国ぐらいの
ものですかな。」
と、トリハ宰相はズホール卿の答えを伺う。沈黙するズホール卿に、
「わがクリルも、ファウス妃の契約妖精については、思うところがあります。」
と、オルト卿が、一歩踏み込んで話を重ねる。それに対しズホール卿は、
「私の方からは、アウレス大公陛下もファウス妃陛下も、8世位には
全く関心を持たれてないとしか、申しあげられませんな。」
トリハ宰相は軽くため息つき、改めてある質問をイルム將にぶつける。
「イルム將、あなた方は、暗黒の妖精の契約者を、どう遇されるおつもりか?」
「それは、今回の会合の趣旨にはなかったことかと。」
「いや、レリウス大公陛下がこの件に関しては、非常に神経質になって
おられるのでな。」
「意味が分かりませんが。」
「ふふ、あなたが気付かぬはずはあるまい。ありていに申せば、8世位を狙うのが
もう一人増えるのではないか、ということです。」
「その御懸念を払拭すべく、その本人に、この場に案内させたのですが。」
「やはり、そうでしたか。」
「宰相閣下からみて、アマト準講師は、王帝位を掴める器でしたか?」
「・・・・、とてもその器には思えなかった。」
「トリハ卿、我がテムスは、本領と親しくさせていただいておりますが
個人としては、その以上の懸念がある事を、イルム將に話した事が
あります。」
と、ズホール卿が話に加わってくる。
「その時、イルム將は、アマト殿がそうならぬよう、一年間の学院での
幸せな時間をすごさせてやりたいと、おっしゃたのです。」
「・・・・・・・・。」
沈黙したトリハ宰相に、イルムはあらためて話をおこなう。
「はっきり申せば、このイルムは、アマト君が虐殺者オフトレ2世になる懸念も
当初はどこかで思っていました。」
「だが今はそれはないかと、判断しております。」
「それに、ひとりの若者が徒手空拳で、王位なり、王帝位なりにを
掴み取る、そのような時代は終わったかと、私は思います。」
歴史を考えれば当然すぎる帰結に、それでもトリハ宰相は疑問を
感じてしまう。
なぜなら、才無き自分が、騎士未満の身分から、ミカル大公国宰相の地位を
得たのだ。多少の才ある者なら、それも可能であろうと。
沈黙を続ける、トリハ宰相に代わって、オルト卿がイルム將に尋ねる。
「では、新皇帝国は、あの少年を摂政なりにはせぬと。」
「本人の力量しだいでしょうが、学ぶことが多すぎます。」
「そうでしょうな。」
アマトの、もうひとりの契約妖精を知る、ズホール卿が同意し、
巧みに話をずらしにかかる。
「だが、王国連合との戦が避けられる方策があれば、それも議題にした方が
いいかと存じます。」
「それは不可能でありましょう、ズホール卿。」
「貴族が10分の1以下に減った貴国や、貴族がいない新皇帝国と違い
彼の国々も、領土の獲得を望む貴族らは多かろうという事です。」
「それに、戦を望む輩も、どこそこにいますし。」
それまで、沈黙を守っていた、トリハ宰相が話に戻る。
「つまりは4ヶ国の絆がしっかりと構築できれば、緊張ある平和を
保てる可能性があると信じたい。」
☆☆☆☆
それから、深夜まで続いた話合いだが、以下のように四者は折り合った。
『 ➀8世位は、しばらくの間は空位とする。
②セプティ陛下が、皇帝として即位する事を、3大公国は黙認する。
③皇帝は、他の大公国になんらの、命令権はもたない。
④旧帝国本領は、皇帝領としてその7分の2を、クリル大公国に7分の3を
ミカル大公国・テムス大公国にそれぞれ7分の1を分割する。
⑤帝都は皇帝都と名称を変更する。
⑥一か国でも、王国連合と戦になれば、他の国も自動的に参戦する。
⑦王国連合以外の他諸国と諍いが生じた場合は、最低でも中立を保つ。 』
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