僕と鬱の日常

book bear

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  4話-副作用-

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薬を処方されてから2週間程過ぎた頃から、心が少し楽になって来た気がしたが、それでも気休め程度だ。

"鬱"は僕の前に現れなくなったものの、副作用のだるさで動けない日々は続いていた。

  「よお!」

"鬱"が現れたと思い、声の主を見ると"鬱"ではなく汚らしい見た目の男だった。

髪はボサボサで服はよれよれ、肌は脂ぎっていて不潔を一纏めにした様なやつだ。

  「だれ?ここぼくの部屋なんだけど」

  「ダルです」

  「ダル?また鬱みたいに人の姿をした"だるい"とかじゃないだろうな?」

ダルはかすれた指パッチンを鳴らして嬉しそうに言う。

  「話が早いね!そうそう、"鬱"の友達のダルだ!」

ただでさえしんどい僕はため息だけ吐いて、布団に潜る。

背中にダルの視線を感じていたが無視を決め込んでいた。

  「お前さぁ、副作用に苦しんでるなら薬をやめたらいいんじゃない?鬱なんて気持ちの問題だし、薬なんて飲む必要はないと思うぜ?」
  
ダルの言葉が心に刺さる。
やっぱり僕はただ甘えているだけで、ずっとダラダラしていたい口実に鬱だと思いこんでいるのかもしれない。

きっとそうだ。
だったら薬なんでやめた方がいい、お金もかかるし・・・・。

  「確かにそうかもね、ねぇダルさん。薬捨てといて」

  「はいよ」

それから2日ほどでダルさんは消えた。
そして体も楽になって来た。

やっぱり鬱は甘えだったんだ。
自分が変わらなければいけない。
早く次の仕事を見つけて次こそは辛くても耐えるんだ。

意地でも耐えなければ僕は社会不適合者となり生きる意味を失う。

この時僕はまだ知らなかった。
鬱は甘えでは無いこと、薬を捨てた選択は間違っていたのだ。

これから僕はどんどん転落していくこととなる。
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