痛覚研究所の記録

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内臓引きずり出し

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「 オーエス!!オーエス!!」
今日は痛覚研究所の一年に一回の体育祭だ。
博士と助手は赤組の綱引きの選手として出場している。
「うおおおおぉ!!!はかせぇぇぇー!!!ラストスパートです!!がんばりましよぉぉぉぉぉ!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!まかせろぉぉぉぉぉ!!!!」
ピィィィィ
決着の合図の笛がなる。
勝者、赤組!!!!
「よっしゃぁぁぁぁ!!!!喜べ!!助手よ!!勝ったぞ!!!私達は勝ったんだ!!」
「うわぁぁぁい!!博士のキャラが変わってるぅぅぅぅぅ!!!こんな熱い人だったっけぇぇぇ!!!」

一日後
「うむ、昨日は少々はしゃぎすぎた」
「...少々どころじゃなかったですよ、びっくりしましたよ僕。あんな博士って熱くなることあるんですね」
「あぁ、イベント事が昔から好きでな。つい暑くなってしまうのだ」
「でもまぁ、綱引きは楽しかったですね!来年の体育祭が楽しみですよ!!今からでも練習しときます?」
「それはいいな!!いや、体育祭の準備で実験をしばらくできていなかった。そんなことをしている時間はないな...」
「そんなぁぁ、綱引き、楽しいのになぁ...」
「...いいことを思いついた」
「お!実験をほっぽり出して綱引きしますか?!」
「いやいや、綱引きごときで実験をほっぽり出すでない。私が思いついたのは実験しつつ綱引きをできる案だ。」
「なんと!!それは妙案ですね!!して、どんな案なんですか?」
「ずばり、内臓つなひきだ」 
「うおぉぉ!!名前グロォ!!」
「でもだいたい想像できます。早速準備しましょう」
「よし、では私が綱...いやいや、実験体を用意する」
「君は会場を用意してくれ」
「了解でーす」

チュンチュン
鳥のさえずりが心地よい、よく晴れた青空の下、台座の上で18歳程の男子が拘束されていた。
「ふむ、会場のコンディションは完璧だな。まさにつなひき日和だ」
「でしょ?この会場の用意と日程の調節に結構苦労したんですよ」
「うむ、ありがとう。私もこの実験体はつなひきの為に選りすぐりの実験体を用意した」
「この男ですか?」
「あぁ、毎朝ランニングもしているしタバコも酒も飲んでいない。野菜とお肉をバランスよく食べるし、早寝早起きも出来ている。まさに理想の健康体だ。これはしっかりとした内蔵が取れるだろう」
「あの?何を話してるんですか?てかここどこ?俺ランニングしてたよね?」
「あぁ、君はつなひき用の綱及び実験体に選ばれた」
「ん?全く理解できないんだけど?綱?実験体?いやまだ実験体は分かるきがするけど、綱とは?」
「今にわかる、始めるぞ」
「よし、僕は準備運動でもしておこう 」
博士がメスを持つ。
青年の健康的な腹にメスをあてる。立派に鍛え上げられた腹筋、くびれたウエスト。
なんだか切るのが持ったなくなるが、つなひきのためだ、無常にも切る。
サクッ、ツイーー
メスの切れ味はとてもよく、いとも簡単に青年の腹を裂いていく。
「え?嘘?痛い!!痛い痛い!!嘘だろッ!!おい!!ウグッ!!や、め、ろ!!」
青年の腹はさけ、綺麗な赤色の臓物があらわになった。
「よし、状態はとてもいい。握っても問題なさそうだ、取り出そう」
「ヒュー、ヒュー、おい、や、め、ろ...」
「大丈夫だ、内蔵に痛覚はない。少し気持ち悪いかもしれないが、痛みはないだろう」
博士が小腸を握りしめる。
ズルズルズルズルズルズル、ブチッ
面白いくらいに綺麗に引きずり出せた。
「お、おい、マジかよ...ウグッ、あれ、俺の内蔵なのか??」
だめだ、意識が朦朧としてきた。
空がきれいだ、鳥の声も心地よい。
自分が死んでいくのがハッキリとわかる。
なんだか悪くない気持ちだ、こんな意味わかんねぇ奴らに殺されるのは癪だが、こんな気持ちのいい空間で死ねるならいい気がした。
「死ぬって、いい、ものだな...」
「ん?死んだか、まぁいい」
「おーい!!助手よ!!とれたぞぉぉ!!」
「わーい!!ありがとう博士!!早速始めましょう!!」

小腸の端と端を持ち合う。お互いに睨み合む。今はお互いに敵なのだ。
審判が笛を鳴らす、日がなった瞬間、そこの引きがとても重要だ。神経を研ぎ澄ます...。

ピィィィィ
鳴った!!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!はかせぇぇぇ!!まけませんよぉぉぉぉ!!!」
「こっちこそだァァァァァ!!!若いからって調子に乗るなぁァァァァ!!!」
両者力は互角、一向に勝負はつかない。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「おりゃぁぁぁぁぁ!!!」
ブチッ
「「うわぁぁぁぁぁぁァァァ!!!!!!」」
小腸がまん中で裂け、お互いに思いっきり尻もちを着いてしまった。
「ははは」
「ふふふ」
「「あははははは」」

勝負は引き分けで終わった。
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