痛覚研究所の記録

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助手の休日

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今日は研究所はお休みの日、つまりは休日だ。
「ふわぁぁー」
僕は休日は大体12時くらいに起きる。実験がある日は朝早くに起きることが多いので、休日くらいは寝すぎるくらいがちょうどいいのだ。
「うーん、歯を磨くのめんどくさいなぁ~」
起きてすぐ布団から出るのが億劫なので、きちんと目が覚めるまで、15分ほど布団の中でスマホをいじる。
「あっ!!この女優さん結婚したんだぁ、残念だなぁ、大好きだったのにぃ」
そんなどうでもいいことを考えていたら目が覚めてきた。少々億劫ではあるが布団から出る。
「よっと、日の光でも浴びるかな」
カーテンを開けると暖かい太陽の光が差し込んできた。
「おー、今日は気持ちのいい天気だなぁ、まさに休日日和、お出かけしたくなっちゃう」
今日は一日家にいる予定だったが、プランを変更して外に出ることにする。
「よし、あの喫茶店にいこう。シャワーを浴びて歯を磨いてお洒落するかな」
シャワーで寝癖を直しつつ歯を磨く、顔も洗えるしでこれが一番効率が良い。
お風呂を出て髪を乾かし、自分の持ってる服の中でもオシャレな服をチョイスする。
「へへーん、今日の僕はなかなかにイケてるな。さて、行きますか」
玄関の扉を開け外に出る、時刻は12時45分、休日ということもあって町は随分と人で賑わっている。
大通りから少し離れたところに僕の行きつけの喫茶店はある。こじんまりとしているが、オシャレな店内とBGMが心を落ち着かせる。そして何より...
「あら!いらっしゃい、久しぶりね!」
「えへへ、最近忙しくてあまり来れませんでしたぁ」
そう、この喫茶店のマスターの鈴菜さん、このお姉さんが僕のドストライクなのだ。
いい感じについたお肉とくたびれた体が実に美味しそうだ。表には出さないようにしているが、ここに来るとヨダレが止まらない。
「いつものメニューでいい?」
「はい!いつもので!!」
「うふふ、ほんとに好きねぇ、ここに来てこれを食べて帰らない日はないんじゃない?」
僕が毎回頼む料理は鈴菜さん自家製のハンバーガーセットだ。
とってもジューシーなお肉のハンバーガーと真っ赤なりんごジュース。
僕はこのハンバーガーセットを食べる時に、自分のお腹のお肉を切り落としてハンバーガーの材料にしてる鈴菜さんと、自分の血をグラスに注いでいる鈴菜さんを想像する。
「ハァ、ハァ、ハァ」
「あらあら、待ちきれないの?そんなに息を切らしちゃって」
「あっ、え、えへへ、そうなんですよぉ、鈴菜さんの料理は絶品ですからねぇ」
あっぶねぇぇぇ!!想像が捗りすぎて顔に出てしまった。
「はい、お待たせ、ハンバガーセットよ!!」
「わーい!!いっただっきまーす!!」
鈴菜さんが笑顔で料理を食べようとする僕を見守っている。
あぁ、鈴菜さん、鈴菜さんの肉を食べようとする僕をそんな笑顔で見られたら興奮が抑えられないよ。
ガツガツガツガツ
「あらあら、そんなにがっついちゃて、よっぽどお腹がすいてたのね」
うまいうまいうまいうまい、鈴菜さん鈴菜さん鈴菜さん鈴菜さん鈴菜さん。
噛んだ瞬間鈴菜さんの肉汁が口全体に広がる、僕の口の中は鈴菜さんの味でいっぱいになる。
鈴菜さんの甘い甘い血も頂く。
ごくっごくっごくっごくっ
「どう?今日のりんごジュースは?前に使っていたリンゴよりもいいリンゴに変えてみたの」
「くぅぅぅ!!!、美味しいですねぇ!!最高です!!」
「あらあらうふふ、いい顔するわねぇ、こだわったかいがあったってもんだわ」
あぁ、甘くて美味しい鈴菜さんの血液。
お姉さん特有の甘い香りと味、どんどんと体に注ぎ込みたくなる。
ガツガツごくごくガツガツごくごく
「ふぅ、おなかいっぱい、ご馳走様で~す」
「はーい、じぁあお会計ねぇ。えーと、ハンバーガーセットだから...500円になりまーす」
うん、安い、安すぎる。ハンバーガープラス飲み物付きで500円はかなり良心的だろう。この価格設定も僕がこの喫茶店に通っている理由の一つだ。
僕は財布から500円ちょうどを取り出した。
「はーい、500円ちょうど頂きまーす」
「それじぁ、ご馳走様でしたぁ、また来ますねぇ」
「うん!!待ってるからねぇー」
鈴菜さんは無邪気に手を振っている。

「ふふふ、いつか本当に鈴菜さんを食べられる日が来るといいなぁ」
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