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ルアナ・クリストフ

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 「お前なんか嫌いだ」

 ルアナ・クリストフは目を見開いた。
 
 今日はストンヘッジ公爵家の次男ジョエルとの、お互いの顔合わせも兼ねたお茶会で、このまま婚約という流れになるはずだった。
 しかし、目の前の男の子は来たときから不機嫌さを隠しもせず、あろうことかルアナに向かって先程の発言をしたのだ。

 彼の両親は慌ててジョエルを叱った。
 それもそのはず、彼女はこのクリストフ国の第1王女だったからだ。
 子供の発言と言えど、不敬に当たることに変わりはない。

 対して、ルアナの周囲は彼女に慰めの言葉やストンヘッジ家に苦言を呈す者もいたが、そんなことは関係なかった。
 
 だって彼はルアナのだったから──
 
 (彼は私がだとは気づいていないの?)

 困惑を隠せないルアナだったが、ある可能性に気づいた。

 (そうよ…通常フェロモン香りは体が成長しないと出ないって先生は言っていたわ……だから、それまでに色々学ぶ王族もいると…ということは彼はまだ気づいていないのよ……感のいい者ならそんなのなくても惹かれ合うらしいけど…彼はきっと鈍いのよ……ふふふ…それなら私はフェロモン香り関係なしに私自身を好きになってもらいましょう)

 


 ルアナ・クリストフ 
 ジョエル・ストンヘッジ 
 
 お互いが5歳の時の出来事だった─・・・







 
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