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外の世界を知った
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その日の昼には、封筒を置いて行った人が来た。その人は障害者に対して、飛込競技を指導するコーチであった。コーチは説明するより、実際の競技を生で見た方が早いと言う。百聞は一見にしかず。その通りであるが、私は躊躇した。この部屋から出るのが怖いのだ。扉から両親とコーチの会話が聞こえる。コーチはとても熱い人だった。
「娘さんのためにも、今日見に行くべきです。明日でも、明後日でもなく、今日です。不安はあって当たり前です。それでも勇気を出して、一歩踏み出したのです。ここで私たちがやる気を削いで、何の意味がありますか。私たちは彼女の勇気を受け入れ、背中を押すべきなんです」
コーチは私の行動を勇気と認めてくれた。それが素直に嬉しかった。正直、不安の方が遥かに大きい。それでも、私のために動いてくれている人がいる。ここで甘えていて先延ばししていては、私はこの部屋から一生出ることができない。
私はゆっくりと起き上がり、義足を手に取った。冷たさが不安を増加させる。それでも私は立ち上がったのだ。ゆっくりと、ゆっくりと。そして、扉を開けた。部屋の扉であったが、これは未来の扉に違いない。そう、信じて。
両親は私の姿を見て、泣いていた。母はその場でしゃがみ込み、父は優しく何度も頷く。私も自然と涙が溢れ出していた。
「お父さん、お母さん。ごめんなさい。今まで」
何度も何度も謝った。久しぶりに見た両親の顔はくしゃくしゃになっており、白髪も増えていた。私のせいで苦労ばかり掛けて、申し訳ない気持ちで胸が締め付けられる。コーチも目頭を熱くしていた。コーチは私を見て、優しく微笑んだ。
「はは。うん。よく頑張ったね。泣いてばかりでは、美人が台無しだ」
コーチの冗談に、久しぶりに笑った気がする。
コーチの車の助手席に乗ると、母と父は深々と頭を下げて見送ってくれた。コーチは言う。
「素敵なご両親だね。君の顔を見て、大事に育ててくれたのが伝わってくるよ」
私はミラーに映る自分の顔を久しぶりに見る。そこには痩せこけて、色白になっている自分がいた。コーチは続ける。
「私は大学で障害者向けに飛込競技を教えているんだ。もちろん高所恐怖症の人もいて、自由に泳いで楽しんでいる人もいるよ。君は高いところはどう?」
「へ、平気、です」
うまく舌が回らない。コーチは気にしないで続けた。
「ならよかった。けど無理することはない。私も最初始めたときは、意外と高くて驚いたよ」
コーチは笑う。私は平凡な外の景色に怯えていた。鼓動が高まる。コーチはそんな私に気を使って、話を続けてくれた。
「着いたよ。ここが大学で借りている練習場だよ」
市で運営しているプールであった。飛込台が設置されているのを思い出す。コーチは車を降り、私の座る助手席側も開けてくれた。私は車から降りることに躊躇していた。
コーチは急かさず、待ってくれている。私は右手で服を強く握り、心臓付近をしわにさせた。呼吸が乱れ、今にでも口から何かが出てきそうだ。震える私の頭を、コーチは優しく触った。
「大丈夫。うん」
コーチは今とも言わず、またの機会とも言わず、私のさらなる一歩を優しく見守っていてくれた。コーチが履いているズボンの隙間から、義足が見えた。私は初めて自分以外で義足の人を見た。コーチもそれを乗り越えて、今では私のような障害者に希望を与えようとしてくれている。それに答えなければ、私は一生変わらない。呼吸を整え、心臓の高鳴りを抑える。
正直、まだ怖い。けどその怖さが何か、それを言い表せない私。一体何に怯えているのか。目に見えない、脳内で作り上げた何かしらの恐怖。その恐怖に打ち勝つためには、今の私を受け入れるべきだ。目の前にある地面は脆く、簡単に崩れてしまうかもしれない。私はゆっくりと足を下ろし、車から降りた。
小学生ぶりの市民プールであった。あと数十分もしたら、コーチの生徒たちも集まるそうだ。正直、他人とかかわるのは得意ではなかった。
生徒たちが来る間、コーチは飛込競技について教えてくれた。飛板の弾力性を活かして高さ一メート―ル、三メートルから飛込む飛板飛込。弾力性のない飛込台から高さ五メートル、七・五メートル、十メートルから飛込む高飛込の二種類がある。
ここのプールでは着水地点の安全面を考慮して、飛板飛込と五メートルの高飛込のみが行える。コーチは、まず身体を動かすことに慣れることが大切だと語った。
通常より負荷のかかる有酸素運動は、義足に慣れる良い手段であると。おそらく、実体験から得た知識だと私は思った。
「身体を慣らすためなら、プールの中を歩くだけでも大いに効果あるよ。今では義足を使った陸上競技もある。というか、そちらの方が有名だよね」
コーチは私が百メートル走の競技者であるのは、監督から聞いて知っていた。あくまでもコーチは義足に慣らすことと、体力を付けるために私を呼んでくれたのだと悟った。
コーチは大学で借りている備品庫で、私の義足とは違う種類のものを見せてくれた。
「これを付けてみないか」
私生活用の義足よりも細く軽く、しなやかで驚いた。
「いわゆる、競技用ってやつだ。もちろん、防水性だぞ。君にちょうどいいサイズだと思う」
そう言ってコーチは私を更衣室の前まで案内し、新品の水着を渡した。
「奥にあるけど、大学用のロッカーが五つある。表記もされているから、好きなところを使っておいで」
私は言われるがまま、更衣室へと入る。今日は見学だけかと思っていたが、いつの間にかコーチのペースに身を任せていた。
奥には大学名が表記されているロッカーがあり、他のロッカーよりも大きなサイズであった。不思議と付けてみたい気持ちが大きかった私は義足を外し、競技用の義足に付け替える。
装着しても痛くなく、重さも軽減された。しかし、バランスを取るのが少し難しかった。私は水着に着替え、ぎこちなく更衣室から出る。
水着姿で出るのは抵抗もあったので、一緒に渡されたタオルを肩から掛けて。私の姿を見て、コーチは親指を立てた。
「いいね。今にも飛込みそうだ。違うか。競技用の義足は歩きにくく感じるけど、慣れたらもう楽で仕方ないよ」
そう言って、コーチはゆっくりとプール場へ向かった。私はその後ろについて歩く。
塩素のにおいが懐かしく感じた。私が義足でプールに入ることに躊躇していると、コーチはその場で脱ぎだして先に入る。コーチはいつも水着を着用しているのかと思うほど、入るまでが早かった。
私が駐車場で見た通り、コーチの右足も義足であった。
「意外と問題なく入れるよ。プールで杖をついてる感じかな」
そう言って、平泳ぎを見せてくれる。私は恐る恐る左足をつけ、次に義足をプールに入れた。ここ三年間はシャワーのみを浴びていたため、水に浸かるのは久しぶりの感覚であり、素直に気持ちいいと感じた。私がプールに入ると、コーチはそのまま平泳ぎで近づき、その場で足を立てた。
「よし、じゃあ散歩でもしようか」
私は転倒するのが恐ろしく、プールサイドに掴まりながらゆっくりと水の中を歩いた。コーチは私の方を向きながら、ゆっくりと歩く。私の姿を見て、コーチは満面の笑みを浮かべる。
「はっは。上手じゃないか。競技用付けたことあるのか」
お世辞とは分かっていても、何だか嬉しく感じた。私が照れ笑いをすると、優しく頷き、端まで散歩を続けた。ゴールまで到着すると、コーチは拍手と共に称賛してくれる。私は義足になってから、初めて何かを成し遂げた気がした。照れる気持ちの裏に、高揚感は確かに存在していた。
集合時間になり、生徒たちが六人ほどやってくる。コーチが手を振る方に視線を変えると、私は驚愕した。両腕がない生徒、両足が義足の生徒など、身体の一部分以外を失っているのだ。それでもみな明るい表情を浮かべ、プールの中に入っていく。私は自分が惨めに感じた。世界で私が一番不幸だと思っていたが、私以上に辛い思いをしている人が目の前にいる。それなのに自暴自棄になって、両親を傷付けて。
私が俯いていると、優しく頭に手を置いた。
「今日から入る新しい生徒だ。お互い分からないことあったら、教え合っていこう」
まだ入るとは言ってもいなかったが、断ってもいなかった。生徒たちは私に挨拶をし、簡単な自己紹介をしてくれた。私がうろたえていると、生徒たちは各々の練習を始めた。コーチは生徒たちの姿を見て言う。
「みんな、気持ちが分かるんだよ。俺もそうだった。それでも過去をどう後悔したって、戻ることはできないんだ。だから、今を大切に生きるんだよ」
私の考えていることを汲み取って、コーチは投げかけてくれた。私は恥ずかしさから堪えようとしたが、溢れる涙を止めるすべは知らなかった。
「娘さんのためにも、今日見に行くべきです。明日でも、明後日でもなく、今日です。不安はあって当たり前です。それでも勇気を出して、一歩踏み出したのです。ここで私たちがやる気を削いで、何の意味がありますか。私たちは彼女の勇気を受け入れ、背中を押すべきなんです」
コーチは私の行動を勇気と認めてくれた。それが素直に嬉しかった。正直、不安の方が遥かに大きい。それでも、私のために動いてくれている人がいる。ここで甘えていて先延ばししていては、私はこの部屋から一生出ることができない。
私はゆっくりと起き上がり、義足を手に取った。冷たさが不安を増加させる。それでも私は立ち上がったのだ。ゆっくりと、ゆっくりと。そして、扉を開けた。部屋の扉であったが、これは未来の扉に違いない。そう、信じて。
両親は私の姿を見て、泣いていた。母はその場でしゃがみ込み、父は優しく何度も頷く。私も自然と涙が溢れ出していた。
「お父さん、お母さん。ごめんなさい。今まで」
何度も何度も謝った。久しぶりに見た両親の顔はくしゃくしゃになっており、白髪も増えていた。私のせいで苦労ばかり掛けて、申し訳ない気持ちで胸が締め付けられる。コーチも目頭を熱くしていた。コーチは私を見て、優しく微笑んだ。
「はは。うん。よく頑張ったね。泣いてばかりでは、美人が台無しだ」
コーチの冗談に、久しぶりに笑った気がする。
コーチの車の助手席に乗ると、母と父は深々と頭を下げて見送ってくれた。コーチは言う。
「素敵なご両親だね。君の顔を見て、大事に育ててくれたのが伝わってくるよ」
私はミラーに映る自分の顔を久しぶりに見る。そこには痩せこけて、色白になっている自分がいた。コーチは続ける。
「私は大学で障害者向けに飛込競技を教えているんだ。もちろん高所恐怖症の人もいて、自由に泳いで楽しんでいる人もいるよ。君は高いところはどう?」
「へ、平気、です」
うまく舌が回らない。コーチは気にしないで続けた。
「ならよかった。けど無理することはない。私も最初始めたときは、意外と高くて驚いたよ」
コーチは笑う。私は平凡な外の景色に怯えていた。鼓動が高まる。コーチはそんな私に気を使って、話を続けてくれた。
「着いたよ。ここが大学で借りている練習場だよ」
市で運営しているプールであった。飛込台が設置されているのを思い出す。コーチは車を降り、私の座る助手席側も開けてくれた。私は車から降りることに躊躇していた。
コーチは急かさず、待ってくれている。私は右手で服を強く握り、心臓付近をしわにさせた。呼吸が乱れ、今にでも口から何かが出てきそうだ。震える私の頭を、コーチは優しく触った。
「大丈夫。うん」
コーチは今とも言わず、またの機会とも言わず、私のさらなる一歩を優しく見守っていてくれた。コーチが履いているズボンの隙間から、義足が見えた。私は初めて自分以外で義足の人を見た。コーチもそれを乗り越えて、今では私のような障害者に希望を与えようとしてくれている。それに答えなければ、私は一生変わらない。呼吸を整え、心臓の高鳴りを抑える。
正直、まだ怖い。けどその怖さが何か、それを言い表せない私。一体何に怯えているのか。目に見えない、脳内で作り上げた何かしらの恐怖。その恐怖に打ち勝つためには、今の私を受け入れるべきだ。目の前にある地面は脆く、簡単に崩れてしまうかもしれない。私はゆっくりと足を下ろし、車から降りた。
小学生ぶりの市民プールであった。あと数十分もしたら、コーチの生徒たちも集まるそうだ。正直、他人とかかわるのは得意ではなかった。
生徒たちが来る間、コーチは飛込競技について教えてくれた。飛板の弾力性を活かして高さ一メート―ル、三メートルから飛込む飛板飛込。弾力性のない飛込台から高さ五メートル、七・五メートル、十メートルから飛込む高飛込の二種類がある。
ここのプールでは着水地点の安全面を考慮して、飛板飛込と五メートルの高飛込のみが行える。コーチは、まず身体を動かすことに慣れることが大切だと語った。
通常より負荷のかかる有酸素運動は、義足に慣れる良い手段であると。おそらく、実体験から得た知識だと私は思った。
「身体を慣らすためなら、プールの中を歩くだけでも大いに効果あるよ。今では義足を使った陸上競技もある。というか、そちらの方が有名だよね」
コーチは私が百メートル走の競技者であるのは、監督から聞いて知っていた。あくまでもコーチは義足に慣らすことと、体力を付けるために私を呼んでくれたのだと悟った。
コーチは大学で借りている備品庫で、私の義足とは違う種類のものを見せてくれた。
「これを付けてみないか」
私生活用の義足よりも細く軽く、しなやかで驚いた。
「いわゆる、競技用ってやつだ。もちろん、防水性だぞ。君にちょうどいいサイズだと思う」
そう言ってコーチは私を更衣室の前まで案内し、新品の水着を渡した。
「奥にあるけど、大学用のロッカーが五つある。表記もされているから、好きなところを使っておいで」
私は言われるがまま、更衣室へと入る。今日は見学だけかと思っていたが、いつの間にかコーチのペースに身を任せていた。
奥には大学名が表記されているロッカーがあり、他のロッカーよりも大きなサイズであった。不思議と付けてみたい気持ちが大きかった私は義足を外し、競技用の義足に付け替える。
装着しても痛くなく、重さも軽減された。しかし、バランスを取るのが少し難しかった。私は水着に着替え、ぎこちなく更衣室から出る。
水着姿で出るのは抵抗もあったので、一緒に渡されたタオルを肩から掛けて。私の姿を見て、コーチは親指を立てた。
「いいね。今にも飛込みそうだ。違うか。競技用の義足は歩きにくく感じるけど、慣れたらもう楽で仕方ないよ」
そう言って、コーチはゆっくりとプール場へ向かった。私はその後ろについて歩く。
塩素のにおいが懐かしく感じた。私が義足でプールに入ることに躊躇していると、コーチはその場で脱ぎだして先に入る。コーチはいつも水着を着用しているのかと思うほど、入るまでが早かった。
私が駐車場で見た通り、コーチの右足も義足であった。
「意外と問題なく入れるよ。プールで杖をついてる感じかな」
そう言って、平泳ぎを見せてくれる。私は恐る恐る左足をつけ、次に義足をプールに入れた。ここ三年間はシャワーのみを浴びていたため、水に浸かるのは久しぶりの感覚であり、素直に気持ちいいと感じた。私がプールに入ると、コーチはそのまま平泳ぎで近づき、その場で足を立てた。
「よし、じゃあ散歩でもしようか」
私は転倒するのが恐ろしく、プールサイドに掴まりながらゆっくりと水の中を歩いた。コーチは私の方を向きながら、ゆっくりと歩く。私の姿を見て、コーチは満面の笑みを浮かべる。
「はっは。上手じゃないか。競技用付けたことあるのか」
お世辞とは分かっていても、何だか嬉しく感じた。私が照れ笑いをすると、優しく頷き、端まで散歩を続けた。ゴールまで到着すると、コーチは拍手と共に称賛してくれる。私は義足になってから、初めて何かを成し遂げた気がした。照れる気持ちの裏に、高揚感は確かに存在していた。
集合時間になり、生徒たちが六人ほどやってくる。コーチが手を振る方に視線を変えると、私は驚愕した。両腕がない生徒、両足が義足の生徒など、身体の一部分以外を失っているのだ。それでもみな明るい表情を浮かべ、プールの中に入っていく。私は自分が惨めに感じた。世界で私が一番不幸だと思っていたが、私以上に辛い思いをしている人が目の前にいる。それなのに自暴自棄になって、両親を傷付けて。
私が俯いていると、優しく頭に手を置いた。
「今日から入る新しい生徒だ。お互い分からないことあったら、教え合っていこう」
まだ入るとは言ってもいなかったが、断ってもいなかった。生徒たちは私に挨拶をし、簡単な自己紹介をしてくれた。私がうろたえていると、生徒たちは各々の練習を始めた。コーチは生徒たちの姿を見て言う。
「みんな、気持ちが分かるんだよ。俺もそうだった。それでも過去をどう後悔したって、戻ることはできないんだ。だから、今を大切に生きるんだよ」
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