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あの日の報想 14
しおりを挟む──どうやら横抱きもされ慣れているらしい敬吾は上手く体重を分散してくれ、浴室の引き戸を開けながら「そこ降ろせ」と浴槽の縁を指さした。
その間とりあえず逸はシャワーを出して湯温を確かめる──が、気怠げに立ち上がった敬吾がシャワーヘッドを奪い、やはり体が辛いのか逸に凭れながらその胸に湯を掛けた。
温かなお湯と一緒に敬吾の手で撫で下ろされ、逸が後ずさる。と、自然敬吾もよろけた。
「あ、っごめんなさい────」
逸が慌てて手を伸べるが敬吾はそのまま膝を折ってしまう。
シャワーの位置も肩口から胸、腹へと下って行き、雪いでいると言うには少々淫らな手付きで敬吾の手も一緒に肌を撫でた。
「ちょ………」
そうしてその手がやはりその通りのいやらしさで局部をすくい上げる。
まだ、清めているのだと言われれば強く反論できない範疇。だがやはり、敬吾にそんなことをされては──
「っけ、敬吾さんっ」
見る見るうちに膨らみ、立ち上がり始めるそれを敬吾が口内に収める。
また急激に質量が増して全てをとは言えなくなってきたがそれでも飲み込める限りは飲み込んで離さなかった。
シャワーはもう、敬吾の膝下で誰にともなく湯を吐き出していた。
「正気ですか……………っ」
またそんなことを言う。
少しでも分からせてやるべくゆっくり、ゆっくりと唇を引き上げていき、その括れも膨らみも丹念に扱き上げながら敬吾は逸のそれを解放した。
そうして顔を傾けて上目遣いに逸を見上げ、その混乱しきった顔を眺めながら先端に口づけた。
逸の頬も肩も今口づけた鈴口も、全てがビクリと揺れる。
ぐっと力の込められた下腹を眺めて目を細め、敬吾はそこに舌を這わせた。
「、うそ………」
「ふっ、………」
何を恐れているのか、逸は牽制するように敬吾の頭に手を添えた。
せめて撫でれば良いものをそれもしない。
幾度も小さく口づけ、子猫のように舐めながら敬吾は何度も逸の顔を見上げる。
何度と無く果てているせいでそうはならないが、表情だけ見ればもう限界だ。
きつく寄った眉根も荒い呼吸もとっくに上限を超えている。
また視線を下ろして慈しむように根本まで唇で下り、硬く張り詰めた睾丸を猫の喉でも撫でるように弄りながら裏筋に舌を伸ばす。途端逸が呻いた。
その声に反応して敬吾が視線を上げるが、毒々しく怒張した自らの欲望の影から敬吾がこちらを覗いている、などというその絵面は──
「………やばいって、………」
「んん………?」
絞り出すような逸の声に楽しげに笑い、敬吾はゆっくりと、だが滑らかに裏筋を舐め上げてみせた。
「うぁ、………!」
「もうイきそう?早いな」
「っだって!…………!」
──こんなにも淫らに滑らかに、敬吾が己の肉棒に口を付けている。
嫌悪感の欠片もなく、それどころか──合間に落とされる唇、頬ずりでもしそうに首を傾げて角度を変えるさま、その視線は、まるでそれを好いてでもいるようで──
「なんで………っ」
──頭が痛い。
なぜそんなことができるのだ。
夢だからか?
夢ならばこんな苦悩を感じさせないで欲しい。
誰がそんなことを教えたのだ、寄りにも寄って自分のものさえそんな風に咥えられるようになるほど、誰が。どうやって。
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