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来ちゃった! 6
しおりを挟む「「ごちそうさまでしたっ!」」
「はいよー」
大満足な様子でそう言うと、双子は進んで後片付けも手伝い始める。
本当に良い子だなあと敬吾が言うと、調子に乗りすぎた大樹は逸に叱られた。
「大、百合、これ余ったの明日の弁当に入れてもらうか?」
「もらう!」
「もらうー!」
「んじゃ帰り持ってけなー」
「んじゃいちにーあれも作って!照り焼き!」
「えーっじゃああたしも卵焼き食べたいっ」
「えー!?……もーしょーがねーなー……」
ぶつぶつ言いながらも逸はすぐに作り始めてやっていて、本日客人の敬吾はリビングでそれを笑いながら眺めている。
料理に大樹の相手にと逸がかかりきりになっている間、百合は子猫のように静かにリビングにやって来てそっとドアも閉めた。
そのまま敬吾の右手にちょこんと座る。
「どした?」
「……あのね、いちにーのご飯、美味しかったでしょう?」
「? うん、凄く美味しかった」
「……えへへ」
自分のことのように嬉しそうに百合が笑うので、敬吾はその頭を撫でてやった。
すると力づけられたらしい。
百合は庵座の敬吾の膝にちょんと手をついて軽く立ち膝になる。
「……あのね、良いこと教えてあげるー」
「良いこと?」
「いちにーね、けーごさんのこと好きなんだよー」
「………………」
敬吾が目を丸くすると、にこにこと満開だった百合の顔が少し萎れた。
「……あっ、あのね、いちにー男の人だけど男の人好きなんだって、変?……気持ち悪い?」
そう言う顔があまりに焦っていて心配そうで、敬吾はまた優しく撫でてやる。
「──ううん、知ってた。気持ち悪くないよ」
ほっとしたような百合に更に「びっくりしただけ」と付け足してやると、口を滑らしたと思っていた百合は更に安心したように笑って、手は敬吾の膝に乗せたままぺたりと座り直した。
しっかり者とは言えまだ子供だ、だからどうだという追及は全く感じない。
ただ、兄の好意は喜んでもらえるものだと純粋に思っている。
本当に逸のことが好きなのだ。
「いいお兄ちゃんなんだな。百合ちゃんも大樹くんも良い子だし」
「うーん……すごい怒られるよ?」
「……好きだからちゃんと叱ってるんだよ」
いまいち納得のいかない様子で百合は首を傾げる。
当事者のうちは分からないか。
「しかし百合ちゃんなんでいちにーが俺の事好きって知ってるの」
「え?んっとねー、前にいちにーが帰ってきた時好きな人いる?って聞いたの」
「えっ」
──それで、そう答えたのか?あの馬鹿は。
ビンタ追加だな……と敬吾が思っていると。
「いちにーって、寝起きだと大体なんでも喋っちゃうよね!」
「ゆ、百合ちゃん………」
「しかも喋っちゃったこと忘れるし!」
なかなかどうして小悪魔である。
可哀想なので、ビンタは免除してやることにした。
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