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海の世界で呪い解き
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俺は矢を弾き飛ばし、一気に相手との距離を詰める。
フェニたちをかばうときにできなかったことが、今はできる。
ずっとアマテと戦う練習をしていた成果が出た。
「うおおおお!」
と、叫びながらエルフに切りかかった。
刹那。俺が振った短剣が彼女の腹部に刺さ―――否。刺さらずに止まっている。なにか硬いものが当たっている。
それはナイフだった。
「たしかに弓しかないとは言ってないけど!」
「備えあれば憂いなし。」
彼女はナイフを俺に叩きつける。
傷ができ、血が溢れるが、ナイフは小さく、そこまで致命傷ではない。
俺は体制を崩した上体から短剣を二本同時に振り下ろす。
「ぐっ」
その声とともに彼女の両肩に短剣が当たる。
こちらも血は溢れるが、体制を崩していたために力が入らず致命傷にはなっていない。
彼女はナイフを持ち直し、今度は俺の心臓に―――
「十分だ!戻れ!」
そんな声が聞こえる。この声は確か。
「イシリオン。準備ができたのね?随分と早かったけど。」
俺はそんなことお構いなしに再び短剣を振るう。
「ガキぃ」と鈍い音を立てて再び短剣がナイフに防がれる。
そして、女性は言った。
「散!」
その瞬間、家来が三手に分かれる。
それぞれが向かう先は、この部屋にある俺たちがきたところとは別の三つの扉だった。
三つのドアが一気に開き、一気に閉まる。
その部屋には、俺とアルテだけが残った。
「どれを追えばいいのかな。」
「とりあえずリーダーが入った扉にしよう。」
そう言って近づくアマテの手から、いくらか流血していた。
「ごめん、俺が弾いた矢のせいだよな」
「私が防ぎそこねただけだよ。先を急ごう。」
「……うん。」
フェニたちをかばうときにできなかったことが、今はできる。
ずっとアマテと戦う練習をしていた成果が出た。
「うおおおお!」
と、叫びながらエルフに切りかかった。
刹那。俺が振った短剣が彼女の腹部に刺さ―――否。刺さらずに止まっている。なにか硬いものが当たっている。
それはナイフだった。
「たしかに弓しかないとは言ってないけど!」
「備えあれば憂いなし。」
彼女はナイフを俺に叩きつける。
傷ができ、血が溢れるが、ナイフは小さく、そこまで致命傷ではない。
俺は体制を崩した上体から短剣を二本同時に振り下ろす。
「ぐっ」
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こちらも血は溢れるが、体制を崩していたために力が入らず致命傷にはなっていない。
彼女はナイフを持ち直し、今度は俺の心臓に―――
「十分だ!戻れ!」
そんな声が聞こえる。この声は確か。
「イシリオン。準備ができたのね?随分と早かったけど。」
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「ガキぃ」と鈍い音を立てて再び短剣がナイフに防がれる。
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そう言って近づくアマテの手から、いくらか流血していた。
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「……うん。」
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