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第一章
第一章7「進む先には―――。」
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「もう一回行くぞ!」
二人は氷の上を、靴の下に付けた氷の柱で走る。
傍から見ると遊んでいるようにしか見えないが、二人は危険から逃げ続けている。
「リア!いつまで語彙力を無くしているんだ。お前の意見も十分な道筋になるだぞ!」
「ほんと?―――確かにこのままじゃマズイ。相手がこっちを把握している限り、正面からくる可能性もある。」
「正面から!?正面から来たら囲まれて詰むぞ!?」
「私たちがこんなに速く走ってるのに追いついてきてるんだよ?連携があるやつらでもおかしくない。それかなにか特殊な魔法とかがあるのかも。」
「今のところ正面には―――。いる!三方向から囲まれてるぞ。正面に3体、俺視点で南南東、南南西に3体ずつだ。俺の考えとしては正面の3体をぶっ飛ばして突破するのがいいと思うんだが?リアは?」
「私も、同じ、相手の実力は分からないけどそうするしかない。先制攻撃を仕掛けたいところだね。」
「すまんが俺は魔法を使いすぎたっぽい。リアいけるか?」
「結構自信あるよ。この杖もあるしね。」
「そうだな。撃つ魔法とタイミングはリアに任せる。」
「了解。」
二人は2本目の氷の橋を越える。
「もう一本いるか?」
「魔法使えそうだったらお願い。」
「頑張ってみる!―――ふぅ。イプ・グラシエス!!はぁはぁ。これ以上は無理そうだ。」
「了解。よくやってくれたよ、あとは私に任せて。」
正面にいた3体が残り100m近いところにいる。
リアはどうするつもりなのか。
「セイナ!目を閉じて!!――――マグ・ルックス!!」
直後、周囲5km程が真っ白になる。
何事かと思ったが、リアが光魔法を使ったと瞬時に判断できた。
しかし、マグは上級魔法であると、受付の人に教えてもらっている。
そうすると、リアは今非常に危険な状況ではないのか。
それと、この光はあの3体に効くのか。
「リア!敵に効いている様子はあるか?!」
「うん!かなり効いてるっぽい!!」
「よくやった!マナには余裕がありそうか?」
「うーん。あと2割くらいだと思う!でもちょっとまって。」
「了解。多分代償みたいなやつだろうな。そうか。なら俺が―――、イプ・グラシエス!!」
捨て身覚悟で3本目の氷の橋を作る。
「行くぞ!リア!!」
「うん!!」
3本目の橋を渡り終わるころにあの町、デンテイルズが見えてきた。
後ろを確認するが、敵は追ってきていないようだ。
町に着き、またあの門番と話す。
「こんばんわー。ってあれ?さっきの二人じゃないですか?それにとても疲れている?」
「すみません。ちょっと聞きたいんですけど、最近戦争している王国とかってありますか?」
「あーなるほど。襲われましたか。」
「質問に答えてもらえますか。」
「そうですね。今は北の王国と中央王国が対立していて、東と中央も対立している状況ですね。」
「なるほど。では、その状況を知っているのに俺たちを止めなかったのはなぜ?」
「―――。」
「ちょっと止めなって。門番の人困ってるよ。」
「でも本当のことだろ?こいつは戦争のことを知っていて俺たちはそっちの方向に行くのを止めなかった。知らない人には気を使わない人かもしれないが、さっき黙ったことでその可能性はなくなった。こいつは目的があって、俺達を行かせたんだ。何か間違っているか?」
リアは顔を赤くし、
「それは違う。門番の人に私たちを助ける義務なんかない。現に私たちは生きてる。しかも魔法を使う経験になった。」
「ポジティブすぎるだろ。分かった。行くぞ。」
「―――。」
門番の人は何も言わない。
二人は町の中へ入り、宿を探す。
丁度いい宿を見つけたのでそこに泊まることにした。ワンルームだが仕方ない。しかも話し合いがしたかったので都合がいい。
「おいリア、さっきのはどういうことなんだ?」
「さっきのって門番の人のこと?」
「当たり前だ。」
「さっき言ったとおりだよ、あの人に私たちを助ける義務なんかない。」
「そんなに殺伐とした街なのかよ、戦争も参加してねえのに。―――分かった。この話は終わりだ。そして今日の出来事について話そう。」
そう言い、二人はそれぞれ違うベッドに入る。
「リア、お前、上級魔法使ったよな?」
「使ったね。なんか使えた。」
「使った時、どうなるか教えてもらっていいか?」
「どうなるって?」
「例えば、俺が氷の中級魔法を一回使うと、ちょっと体調が悪いように感じる。二回目だと、全身がだるくなる。三回目だと、意識が朦朧としてくる。こんな感じだ。」
「そういうことね。えーとね。使うと、5秒くらいスタンする。目の前が真っ暗になる。5秒後には全ステータスが下がってるっていうか、全デバフを食らってるっていうか、そんな感じがする。」
「なるほど。かなり分かりやすい説明だった。ありがとう。」
「ほんと?それは嬉しいな。」
「じゃあお休み。」
「お休みー。」
二人は氷の上を、靴の下に付けた氷の柱で走る。
傍から見ると遊んでいるようにしか見えないが、二人は危険から逃げ続けている。
「リア!いつまで語彙力を無くしているんだ。お前の意見も十分な道筋になるだぞ!」
「ほんと?―――確かにこのままじゃマズイ。相手がこっちを把握している限り、正面からくる可能性もある。」
「正面から!?正面から来たら囲まれて詰むぞ!?」
「私たちがこんなに速く走ってるのに追いついてきてるんだよ?連携があるやつらでもおかしくない。それかなにか特殊な魔法とかがあるのかも。」
「今のところ正面には―――。いる!三方向から囲まれてるぞ。正面に3体、俺視点で南南東、南南西に3体ずつだ。俺の考えとしては正面の3体をぶっ飛ばして突破するのがいいと思うんだが?リアは?」
「私も、同じ、相手の実力は分からないけどそうするしかない。先制攻撃を仕掛けたいところだね。」
「すまんが俺は魔法を使いすぎたっぽい。リアいけるか?」
「結構自信あるよ。この杖もあるしね。」
「そうだな。撃つ魔法とタイミングはリアに任せる。」
「了解。」
二人は2本目の氷の橋を越える。
「もう一本いるか?」
「魔法使えそうだったらお願い。」
「頑張ってみる!―――ふぅ。イプ・グラシエス!!はぁはぁ。これ以上は無理そうだ。」
「了解。よくやってくれたよ、あとは私に任せて。」
正面にいた3体が残り100m近いところにいる。
リアはどうするつもりなのか。
「セイナ!目を閉じて!!――――マグ・ルックス!!」
直後、周囲5km程が真っ白になる。
何事かと思ったが、リアが光魔法を使ったと瞬時に判断できた。
しかし、マグは上級魔法であると、受付の人に教えてもらっている。
そうすると、リアは今非常に危険な状況ではないのか。
それと、この光はあの3体に効くのか。
「リア!敵に効いている様子はあるか?!」
「うん!かなり効いてるっぽい!!」
「よくやった!マナには余裕がありそうか?」
「うーん。あと2割くらいだと思う!でもちょっとまって。」
「了解。多分代償みたいなやつだろうな。そうか。なら俺が―――、イプ・グラシエス!!」
捨て身覚悟で3本目の氷の橋を作る。
「行くぞ!リア!!」
「うん!!」
3本目の橋を渡り終わるころにあの町、デンテイルズが見えてきた。
後ろを確認するが、敵は追ってきていないようだ。
町に着き、またあの門番と話す。
「こんばんわー。ってあれ?さっきの二人じゃないですか?それにとても疲れている?」
「すみません。ちょっと聞きたいんですけど、最近戦争している王国とかってありますか?」
「あーなるほど。襲われましたか。」
「質問に答えてもらえますか。」
「そうですね。今は北の王国と中央王国が対立していて、東と中央も対立している状況ですね。」
「なるほど。では、その状況を知っているのに俺たちを止めなかったのはなぜ?」
「―――。」
「ちょっと止めなって。門番の人困ってるよ。」
「でも本当のことだろ?こいつは戦争のことを知っていて俺たちはそっちの方向に行くのを止めなかった。知らない人には気を使わない人かもしれないが、さっき黙ったことでその可能性はなくなった。こいつは目的があって、俺達を行かせたんだ。何か間違っているか?」
リアは顔を赤くし、
「それは違う。門番の人に私たちを助ける義務なんかない。現に私たちは生きてる。しかも魔法を使う経験になった。」
「ポジティブすぎるだろ。分かった。行くぞ。」
「―――。」
門番の人は何も言わない。
二人は町の中へ入り、宿を探す。
丁度いい宿を見つけたのでそこに泊まることにした。ワンルームだが仕方ない。しかも話し合いがしたかったので都合がいい。
「おいリア、さっきのはどういうことなんだ?」
「さっきのって門番の人のこと?」
「当たり前だ。」
「さっき言ったとおりだよ、あの人に私たちを助ける義務なんかない。」
「そんなに殺伐とした街なのかよ、戦争も参加してねえのに。―――分かった。この話は終わりだ。そして今日の出来事について話そう。」
そう言い、二人はそれぞれ違うベッドに入る。
「リア、お前、上級魔法使ったよな?」
「使ったね。なんか使えた。」
「使った時、どうなるか教えてもらっていいか?」
「どうなるって?」
「例えば、俺が氷の中級魔法を一回使うと、ちょっと体調が悪いように感じる。二回目だと、全身がだるくなる。三回目だと、意識が朦朧としてくる。こんな感じだ。」
「そういうことね。えーとね。使うと、5秒くらいスタンする。目の前が真っ暗になる。5秒後には全ステータスが下がってるっていうか、全デバフを食らってるっていうか、そんな感じがする。」
「なるほど。かなり分かりやすい説明だった。ありがとう。」
「ほんと?それは嬉しいな。」
「じゃあお休み。」
「お休みー。」
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