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本編
愛しい人の色
しおりを挟む「ふんふんふーん♪」
僕はいまものすごく気分が上がっている。理由は簡単、やっとレオンさんとデートするからだ!
本当はもっとはやく温泉街へお出かけするつもりだったんだけどレオンさんに抱き潰されて数日潰してしまった。
そして本日、回復した僕はレオンさんと手を繋いで温泉街を散策している。
「アサヒが楽しそうでよかったよ、急ぐ予定もないしゆっくり楽しもう」
「はい!」
人混みではぐれないように恋人繋ぎしているレオンさんの手をギュッと握りしめながら僕たちは気の赴くまま温泉街を散策した。
変な形の人形や特産品のお饅頭みたいなお菓子に、温泉水など…色んな商品が所狭しと並べられてたり、お客さんを呼び込む店員さんの声や観光客の声で賑わっている。
「色んなものがいっぱいあって目移りしちゃいますね…あっこれ可愛い…」
目移りしながら色々な商品を見ていたらひとつの商品に目が止まった。それはレオンさんの瞳の色によく似た宝石が品良く飾られたリングだった。
光を反射してキラキラ光るその宝石はとても綺麗で他のどのリングよりも一際輝いて見えた。
じーっとそのリングを見つめていたらお店の店主さんに話しかけられた。
「お客さんお目が高いね!そのリングは滅多に採れない希少な魔石で作られているんだよ。それゆえこの世にふたつと無い一点物だ…まぁその代わり結構な値段になっちまうがね」
「わっ…本当だ、高い…」
宝石の輝きばかりに目がいっていて値段なんて気にしていなかった。こんなに高価なものは買えないな…せっかく見つけたレオンさん色のモノを渋々諦め次の店に行こうとしたら横からスっと手が伸びてきて、今さっき見ていたリングを手に取った。
ふと視線をあげるとレオンさんがそのリングを持っていた。
「レオンさん?」
「店主、コレを買う包んでくれ」
「うぇ!?」
レオンさんの思いもよらぬまさかの発言で変な声が出てしまった。
「レオンさん!そのリング高いですよ!」
「でもアサヒはこれが気に入ったのだろ?」
「そ、そうですけど…でも」
「俺が贈りたいんだ…ダメか?」
「あぅ…」
そんな子犬のような顔で見つめられたらダメとはいえなくなってしまう…僕のばかぁ
そんなぼくをみてレオンさんは嬉しそうに笑った。
「それにアサヒのこの綺麗な指に俺色の宝石がついたリングがはめられているのもいいと思ってな」
「っ!」
レオンさんは王子様のようにちゅっと僕の手の甲にキスを落とした。びっくりして顔を真っ赤にしながら固まっていると周りから黄色い歓声が聞こえた。
きっと僕の手にレオンさんがキスをするところを見ていたのだろう。恥ずかしくてより一層の顔を赤らめながら僕は俯いた。
「はいよ、お待ちどさん!」
タイミングよく店主さんが袋に包んだリングを渡してくれたが、一刻もはやくここをさりたい僕は紙袋を受け取ったらペコッと軽くお辞儀をし、レオンさんの手を引っ張って足早に歩き出す。
顔を真っ赤にしながらずんずん歩きながらチラッと後ろを見たら、僕に連れらるようにして歩くレオンさんはにっこにこ笑顔だった。
「はは、顔が真っ赤だぞアサヒ…どうした?」
「うぅ…もうっ分かってるくせに!」
「はははっ」
もうデート所ではなくなった僕は楽しそうに笑うばかりのレオンさんを放って旅館に向かって歩き出した。
僕たちの早い帰りに支配人のルージュさんも「もう帰ってこられたのですか?」とはじめは驚いていたが僕の顔を見てなんとなく状況を察したらしくその後はとくに何も言われず暖かい目で微笑まれてしまった。
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