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本編
愛する人の怒りsideレオン
しおりを挟む俺は呆然としながらアサヒを見上げていた。自己中で自分勝手な物言いをする王女に向かってアサヒが激怒した。
あんな穏やかで優しいアサヒが激怒するほどの事をこの王女は言ったのだ。
数十分前…
どこで情報を得たのか知らないが突然なんの連絡もなしにあの王女が別荘に突撃してきてズカズカと勝手に乗り込んできた。
隣国の王女だから穏便に済ませようとしてこちらが下手に出ているのをいい事にわがまま王女はつけ上がる。
俺には媚びるように甘ったる声で擦り寄り、気分が悪くなるほどの強烈な香水の匂いを振りまいて身体を絡ませてくる。
それに対し俺が嫌悪感を示しながら拒絶すると怒りを露わにして標的をアサヒに変え睨めつけ喚き散らかす。
『貴方が邪魔するから!』
『私の方が身分的にも釣り合っている』
『美男美女でお似合いでしょ?』
『ただの平民が!』
『さっさと別れなさい』
『どうせ捨てられるのだから』
俺がなびかないのをアサヒのせいにして怒鳴り散らかす王女に俺の怒りが頂点に達した。そして言ってはならない言葉をこの女は口にしたのだ。
この女っ…アサヒに向かってなんてこと言うんだっ!
我慢ならず口を出そうとしたら突然隣に座っていたアサヒが立ち上がり王女に向かって怒りをぶちまけた。
「さっきから聞いていれば…なんなんですか!!さんざん僕たちのデートを邪魔したり勝手にレオンさんを婚約者だと言ったり、挙句の果ては別荘まで乗り込んできて!!レオンさんは僕の婚約者でお互いに愛し合ってます!!王女様だからって何でも思いどおりになるとは思わないでください!!」
目に涙をためながら怒りでぷるぷると震えている。
俺は一瞬何が起こったのか理解できなくてただ呆然とアサヒを見上げていたがアサヒが俺のために怒ってくれたことを理解した途端、怒りで支配されていた気持ちがスーっと静まり代わりに嬉しさが込み上げてくる。
アサヒの正論に王女は顔を真っ赤にさせ机を思いっきり叩きながら逆ギレしてドタバタと王族らしからぬ態度で帰って行った。
しばらく放心状態で王女の出ていった扉を見つめていたら、頭上でアサヒの小さい声が聞こえ上をむくと「どうしようっ…」と慌てふためいていた。
可愛い…この子は何でこんなにも可愛いのだろう。
愛おしい…俺の心はアサヒに支配されてしまった。いまだオロオロする可愛いアサヒを勢いよく抱きしめキスをする。
口を開かせ舌をねじ込み絡めとり吸いつくような深いキスをするとアサヒの青ざめた顔は見る見るうちに熱をおび、とろけた顔に変化する。
「あぁ、アサヒ…好きだ…愛してる」
胸いっぱいの気持ちが口から溢れ出てアサヒの耳元に愛を囁き、先程アサヒの発した言葉を思い返す。
「『愛し合っている』いいな…いい響きだ。アサヒが俺のために怒ってくれたのもグッときた…もう我慢ならない…抱き潰す」
「…へ?」
状況について来れずいまだキスで惚けて蕩けて潤んだ瞳のアサヒはとても妖艶だった。
「うぐっ…」
俺はアサヒを抱き上げ寝室へ直行し、そのままベットへ押し倒し俺が満足するまでアサヒを愛した。
アサヒが「無理」「もうでない」と言っても止めず、何度目かの空イキでアサヒが落ちるまでどろどろに愛しあった。
そしてアサヒが寝落ちている間に先程の王女とのやり取りを魔道手紙を書き国王宛に手紙を飛ばす。
あれはもう俺たちだけで解決する範疇の域を超えたのだ。
俺はアサヒを傷つけたあの女を絶対に許さない…そう誓い俺は腕の中で眠るアサヒを抱きしめた。
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