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本編

真っ白な世界

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ここどこだろう…




見渡すと真っ白な空間が広がっており自分は空中に浮かんでいた。ふわふわと漂い流れに身を任せゆっくりと進む。



なんで僕はこんな所にいるんだろうか…さっきまで婚約パーティしてたよね?…あれ、なんか忘れてる気がする…でも何を忘れてるんだろう…うーん、思い出せない。


考えても考えても思い出せなくてモヤモヤするけど、思い出せないものはしょうがないと吹っ切れる。




そして今僕がいる誰一人いないこの白い空間に恐怖心はなくむしろ心が落ち着く様な気がする。しばらくすると厳かで美しい装飾が施された大きな扉が突然現れた。




「びっくりしたぁ…それにしても大きいなぁ…」



高さ数十メートルはあるだろう扉を見つめていると扉がゆっくりと開き中からこれまた大きな人が出てきた。



びっくりして口をポカンと開けたまま呆けているとその扉から出てきた人と目線が合い微笑まれる。





「私はこの世界の創造神…ララジールと申します。貴方が鳳旭ですね。お会いできて良かった。私の事はララジールと呼んでください。」



淡い光を身体から発しながら中性的な声で僕に話しかけてきたのはまさかの神様、しかもこの世界の創造神様だった。


ララジール様は虹色に輝く綺麗な長髪で、頭から角が生えていた。




「はい…僕が鳳旭です…」




ララジール様の圧倒的なオーラにたじろぎながらも何とか返事をする。


そんな僕をみて少し眉を下げ申し訳なさそうにララジール様は話し出す。



「まずは貴方に謝らなければならないことがあります。本当は貴方はこちらの世界で産まれてくる予定だったのですが邪神ファルナルに邪魔をされ貴方の魂が地球へと飛ばされてしまったのです。」

「…ふぇ!?」





衝撃の事実だった。


まさか僕がこちらの世界の住民だったなんて…。しかも邪神に邪魔されて魂が飛ばされたということに驚きを隠せないで叫んでしまった。



一気に色んな情報を教えられ僕の頭の処理能力は限界でパンク寸前。


そんな僕を優しい眼差しで見つめながらララジール様が話し出す。




「一度にたくさんの情報で混乱させてしまいましたね、すみません。そして旭…貴方にはとても苦労させてしまいました。しかし貴方はそんな苦労を物ともせず卑屈にもならず己より他人を優先する心優しい少年になってくれたことに私は救われました。」




ララジール様が手を伸ばし僕を優しく大きな手で包み込む。そして淡く暖かな光がララジール様の手から僕の身体に流れ込む。



「こちらの世界に送る際に私から【神の愛し子】という加護を送りました。そして今改めて新しい力を旭に授けます。貴方なら悪用せず上手に使ってくれるでしょう。」





なんかよく分からないけどララジール様から新しい力を貰ったらしい…どういった力なのかは目が覚めてからと言われ素直に頷くと僕の身体からぽわぽわと小さな金色の光が溢れ出し身体が透けて足元から消えていく。





「あら…もう時間ですね。旭、私はここから貴方たちのことを見守っています。この世界では幸せな人生を歩めることを祈っています…さぁ、お行きなさい…大切な人があなたを待っています。」

「僕幸せになります…ありがとうございました」





僕は涙をぽろぽろ零しながらララジール様にお礼を言うとララジール様は慈愛溢れる笑顔で僕に笑顔を向けていた。


そして僕がお礼の言葉を言い終えるのと同時にスーっと意識が遠のき白い空間から一気に現実世界へと引き戻され目が覚める。



見覚えのある天井…僕たちの寝室の天井で、僕はベットに寝かされているらしい。まだ覚醒しきっていない頭で状況整理をしていたら左手に暖かな温もりを感じた。






「アサヒっ!!!」





名前を呼ばれた方にゆっくりと顔を向けるとそこには涙を流しながら僕の名前を呼ぶレオンさんがいた。








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