異世界に落っこちたら溺愛された

本編

一目惚れside第2王子バニス

謁見が終わり俺は廊下ですれ違うメイド達の驚いた顔をよそにカツカツカツと早足で歩き自室へと向かう。バタンと扉を開け寝室に一目散へ向かいベットへダイブし枕に顔を埋める。




｢か…可愛すぎるだろうっ！！！｣





感情が抑えられず叫ぶ。大声で叫んだが枕のおかげである程度声量は抑えられたと思う。


謁見で見たアサヒ殿の美しい姿を思い出し足をバタバタさせのたうち回る。





｢うるさいですよ｣




ガチャと俺の断りもなく軽口を言いながら部屋へ入ってくるのは執事で従者のライ。俺の乳母がライの母親で兄弟のように育ってきた。





｢なんだあの美しさは…心臓が止まるかと思った…｣

｢まだ動いてますよ、よかったですね｣

｢ライ！俺は真剣なんだ！｣

｢思わず求婚するくらいに？｣

｢！？｣




驚いた…なぜ謁見の内容をその場にいなかったライが知っているんだ。




｢な、なぜ知っている！？｣

｢ここに来る途中ジャン様に会いましてバニス様の突拍子のない行動を教えていただきました。｣

｢兄上が！？｣




まさか兄上がライにそんな話をしているなんて…でもなぜ兄上はライにその事を伝えたのか…さっぱりわからん。驚きすぎて呆然としていたらライが話を続ける。




｢たしか、第1聖騎士団団長のレオン様に保護されているとお聞きしましたが…｣

｢そうなのだ！レオンの邸ではなくアサヒ殿は王宮で暮らす方が安全だと思わないか？｣

｢確かにそうですね…｣

｢だろう！？｣





尊い【黒】をもつアサヒ殿は王宮の護衛騎士たちや結界魔法が施されている王宮で暮らす方がいいに決まっている！ライに自分の意見が肯定されたと思い心が弾む。




｢ですか…レオン様の邸も王宮に負けず劣らない守護の結界が施されていますよ｣

｢なに！？本当か？｣

｢はい。なんせ王国きっての剣と魔法の使い手です。王国とその民を守る騎士団長でもあるんですから当たり前ですよ。｣




俺はベットへ崩れ落ちるように倒れる。




まさか王宮程の結界が張っているとは…くそぉこれではアサヒ殿に会える機会が全然ないでは無いか…





｢どうすれば会えるだろうか…｣

｢お茶会に招待すればよろしいのでは？｣

｢それだ！！！！｣





俺はガバっとベットから起き上がりライに向かって走り出しギュッと抱き上げクルクルとまわる。




｢！？ちょっ…やめっ…うわぁっ｣




ライがなんか言っているが気にせずまわり続け暫くしてライを降ろす。




｢よし！さっそく招待の手紙を書こう！ライ便箋を持ってきてくれ！｣

｢…かしこまりました｣





俺はホクホク顔でお茶会に出すお菓子は何がいいかと考えていた。





まさか便箋を取りに行ったライが俺に抱きしめられた事で顔を真っ赤に染めて照れていたとも知らずに…