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本編

僕の適正魔法

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いま僕は王宮の一室でレオンさん、国王陛下、宰相、元帥閣下に見守られながら適正魔法を鑑定魔法士のアリルさんに調べてもらっている。




事の発端は遡ること3日前…




僕はレオンさんにくっついて騎士団詰所に行き体力作りとして騎士団の人たちと一緒にトレーニングしている。もちろん僕はレオンさんとダルイズさんが考えてくれた皆より軽いトレーニングメニューになっている。



ずっと邸に篭もりっぱなしで流石に体を動かさないとなって思いレオンさんに相談したら「騎士団詰所で一緒にトレーニングしてみるか?」って言ってくれた。



本当は邸の庭で僕と2人っきりで運動したかったみたいだけど、団長としての仕事もあるから渋々詰所でのトレーニングを提案してくれたみたい。



レオンさんに「手取り足取り教えてやる」って腰を抱かれ耳元で甘い声で囁かれてゾクゾクしてちょっと勃っちゃったのは秘密…のはずだったのに結局バレて寝室に連れ込まれ、えっちな運動をした。



そんなこんなで騎士団詰所で体力作りに励んでいたら宰相が僕とレオンさんに話があると言って詰所に顔を出した。



詰所内にある会議室で僕とレオンさんが隣同士で座り、向かいのソファに宰相が座り話し始める。



「お久しぶりですね。お元気そうでなによりです。そして早速ですが…アサヒ殿の適正魔法を王宮で鑑定魔法士を呼び調べることになりました。」

「適正魔法…?」




疑問形で聞き返すとすかさずレオンさんが付け加えで教えてくれる。




「この王国では5歳になると教会に行き適正魔法を鑑定魔法士に調べてもらうんだ。そこから自分に合った魔法を習い将来どの職に就くか決めたりもする。最低でも必ずひとつは適正魔法がある。多ければ複数の魔法に適性がある人もいる。まぁ、使える魔法が多ければいいって訳でもない。1つの魔法を極めて複数の魔法を持つ者に勝ったという話も聞いたことがある。」

「なるほど…じゃあ本当は教会で調べるんですよね?」

「はい、そうなりますね。ここ王都では1番大きな教会が中央聖教会です。ほとんどの人がこの聖教会で適正魔法を調べてもらいます。聖教会とは魔獣に襲われ負った怪我や穢れ等を魔法で治療したり、聖水や治癒ポーションを作り治療院としての役割もしています。そして教会のトップの教皇様と聖女様がいらっしゃます。」



魔法かぁ…ちょっとワクワクする。僕はどんな魔法なんだろう…そもそも使えるのかな?



まぁなんとかなるだろう精神で宰相の話の続きを聞く



「この世界には火、水、風、雷、土、光、闇の7つの基礎魔法があり、ほとんどの人がこの基礎魔法から魔法が使えるようになります。そして、稀にですが基礎魔法の上位互換にあたる炎、氷、天空、大地、聖、時空間を扱える人もいます。それらを扱える人は大体が魔力量が多い場合があります。」




ダメだ覚えらんない…ちんぷんかんぷんだ。せっかく分かりやすく教えて貰ってるのに僕の頭がキャパオーバーだ…



ぷしゅううぅ~…と音も立てて僕が固まっていることに2人が気づいた。



レオンさんは「そんな深く考えなくていい。自分に適性がある魔法を調べるだけだ。」と大きな手で優しく頭を撫でてくれる。



レオンさんに撫でられるのが嬉しくてニヤニヤしてるのを宰相に見られ笑われたのはちょっぴり恥ずかしかったからなんとか話を戻す。




「そ、それより僕の適正魔法を見てくれる鑑定魔法士の方はもう決まっているのでしょうか?」

「はい、この王国1番の鑑定魔法士アリルです。黒を持つアサヒ殿の適正魔法を知る人数を限定し、よからぬ事を考える者になるべく情報を与えるのを減らしたいのです。その点アリルは品行方正で口が固く信頼のおける者です。」

「アリルなら心配ないですね」

「ん?レオンさん知り合いですか?」

「あぁ、アリルは昔から知っている。【癒しの麗人】と言う二つ名を持っているぐらい可愛く整った顔をしている。」





レオンさんの口からと僕以外に向けて【可愛い】と言葉を発せられ少しムッとした…僕はほっぺたを膨らませちょっと涙目になりながら





「…僕以外に可愛いって言わないでください。」




そんな僕を見たレオンさんは慌てて「俺の一番はアサヒだ」ほっぺたにキスしながら抱きしめてくれる。嬉しくてむふむふしているとまた宰相に笑われた。






そして冒頭に戻り僕は今適正魔法をアリルさんに調べてもらっている。アリルさんを始めてみたときはその美しさにびっくりした。女の人かと思うくらい綺麗な顔で、すらっとした体型にグレーの長髪がとてもよく似合っていた。




「きれい…」




つい口から漏れてしまい僕の言葉が聞こえたアリルさんが微笑む。





「はじめまして今日アサヒさんの適正魔法を鑑定する鑑定魔法士のアリル・サーランと申します。」

「よ、よろしくお願いします」

「私の手にお手を置いてください。では始めます。」

緊張しながら挨拶しアリルさんに手を差し出す。優しく握りられ僕とアリルさんの周りがキラキラと金色の粒子が舞い上がる。



時間にして30秒くらいで金色の粒子が消えてなくなりアリルさんが「これで終わりです。お疲れ様でした」と僕の手を離す。




「それでアサヒ殿の適正魔法は?」




国王陛下が代表してアリルさんに聞く。




「はい、アサヒさんの適正魔法は【聖】と【時空間】でした。そして【神の愛し子】の加護をお持ちです。」

「やはりそうであったか…」






皆かアリルさんの言った言葉に驚き僕を見つめる。なんと僕には上位互換の【聖】と【時空間】の適正魔法があり、【神の愛し子】と言う加護までついていた。



国王陛下はなんとなく分かってたみたいな反応をしていた。



僕はこれからどうなるのだろうか…加護は滅多に授からないと聞いていたからこれが特別なことなんだろうとは理解している。



1人で考え込み不安になっているとアリルさんが優しく手を握ってくれた。



「加護は大変珍しく持っている方は少ないです。過去に加護を持っている人を囲い込みその力を使い潰すこともありました。でもアサヒ様の周りには貴方を大切に思い守ってくれる人が沢山います。一人で悩まず信頼おける誰かに相談してください。きっとアサヒ様の力になってくれるはずです。」



アリルさんの言葉に涙がぽろぽろこぼれ落ちた。不安だった気持ちがすっと軽くなる。



隣に座っているレオンさんが優しく抱きしめてくれて僕は厚い胸板におでこをぐりぐりと擦り付ける。



しばらくして僕は泣き止み、お開きになる。するとレオンさんが帰り支度をしているアリルさんに声をかけた。




「アリル忙しいところ来てくれ助かった。ありがとう。」

「いえいえ、これくらいお易い御用です。いつもルイズがお世話になっていますから」

「…ルイズさんって?」




突然アリルさんの口からルイズさんの名前が出て頭にはてなマークがでる。




「あぁ、言ってなかったな。ルイズはダルイズの愛称だ。そしてアリルはダルイズの恋人だ。」

「…ほぇ!?」




驚いてアリルさんをみるとふふふっと女神のような笑顔で笑っていた。まさかダルイズさんの恋人だったなんて…1人で勝手に嫉妬して恥ずかしい…




「ルイズからアサヒさんのことは聞いております。あのレオンさんを虜にしていると。」

「と、虜…僕が…レオンさんを…」




ぷしゅううぅと顔から湯気が出そうなくらい真っ赤になる。




「あらあら、お顔が真っ赤ですよ…ふふふっ可愛らしい方ですね」

「アリル…あまりアサヒを揶揄うなよ」

「分かりました…残念ですが程々にしておきます。」





にこにこと笑顔でドSな発言をするアリルさん。ちょっぴり怖くてレオンさんに抱きつく。



王宮からレオンさんと邸に戻る馬車に乗り色々と濃い1日が終わった。




そして数日後僕に一通の手紙が届く。







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