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第三章
友
しおりを挟む時はさかのぼり…
翔太が病院から運び出された数分後のこと。
病室に一人の男が駆け込んできた。
「奥さん!翔太さんは!?」
男の名前は小林。
翔太とは古い付き合いの男で通称コバ。
翔太が就職する前に働いていたバイト先の後輩。
面倒見のいい翔太に惚れ込みバイトを辞めた後も行動を共にしていた。
翔太が親友と呼べる人間の一人だった。
妻「旦那はどこかへ連れて行かれたわ。」
コバ「どこかってどこへ!?」
妻「そんなの知らないわよ!私はただ大丈夫としか言われてないもの!」
妻はその場に泣き崩れた。
コバは病室を出てナースセンターへと向かった。
コバ「日向って患者の担当医を呼んでくれ。」
看護師たちの動きが一瞬止まった。
カンの鋭いコバは何かを感じた。
明らかな悪い予感というものだった。
看護師「ここでしばらくお待ちください。」
少しして医師の斎藤が現れた。
斎藤「日向さんの担当医の斎藤です、あなたは?」
コバ「日向さんの友人の小林です、日向さんの事で伺いたい事があります。」
斎藤「………、わかりました。場所を変えましょう。」
コバが斎藤の後をついていくと応接室に通された。
斎藤「お掛け下さい。」
コバは皮で出来た高級そうなソファに腰掛けた。
斎藤「で、話とは?」
コバ「日向さんはどこへ行ったんですか?」
斎藤「私の友人のところです。」
コバ「なぜ事故で重傷の人間が次の日にあんたの友人のところにいるんだ?」
斎藤「………。」
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