RPG

第ニ章

ゴブリン

老婆に連れられ家に案内された。

老婆「疲れとるんじゃろ？少し休んでいなさい。」

そう言うと老婆は俺を居間に座らせ夕飯の支度を始めた。

翔太「なぁ婆さん、俺爺さんの杖代わりの剣持ってきちゃったけど爺さんちゃんと帰って来られるのかな？」

老婆「あんなの飾りみたいなもんさね、うちの爺さんは杖なんて無くても普通に歩けるさ」

老婆は料理を作りながら振り向きもせずに答えた。

翔太「だとしても爺さん武器も持ってるようには見えなかったけど…。」

老婆「武器は物だけじゃないんよ、うちの爺さんの事なら心配せんでも大丈夫。」

翔太「………？」

言ってる意味が良くわからなかったが、婆さんは心の底から爺さんを信頼しているのは良くわかった。

しばらくすると、老人が帰ってきた。

手には大きな網を抱えている。

老人「今日は大漁じゃったわ、はっはっはっ。」

網の中には魚が沢山入っていた。

老婆「爺さん、お客さんが来とるよ。」

老人「わしに客じゃと？」

俺は老人と目が合い軽く会釈した。

老人「おぉ、お前さんか！無事に辿り着いたようじゃの。」

翔太「おかげさまで、助かりました。」

老人は俺の前に腰掛けた。

老人「よくわしの家がわかったのぉ。」

翔太「お婆さんがこれを見て。」

俺は折れてしまった錆びた剣を老人に見せた。

老人「はっはっはっ、やはり折れてしまったか！まぁ無いよりはマシじゃったろう？」

俺は村に来る最中モンスターに襲われた話を老人にした。

老人「そりゃゴブリンじゃよ、あれはお前さんの仕業じゃったんか。」

老人は立ち上がり玄関の外から鉄の胸当てを持ってきた。

翔太「あっ、それあいつが着けてたやつ！」

老人「帰り道に弱ったゴブリンがウロウロしとったんで、仕留めて剥ぎ取ってきたんじゃ。売ればいくらか小遣いになるかと思っての。」

俺が苦戦したあいつをいくら弱っていたとはいえ、こんな老人が倒せるなんて信じられなかった。